異世界ファンタジーという分類の抽象性に関する一斑

作者 槙野京

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★★★ Excellent!!!

論文として適切な言葉遣いを用いて表現なさっているので、一見難しい話をしているかのようですが、よくよく読んでみればいかなる種類のファンタジーをも否定しない、読み終わった時にほっとする内容になっています。
というのも私はハイファンタジーというものに劣等感があって、私の心の片隅には「ちゃんとした」ファンタジーへの憧憬と嫉妬があったのですね。でも私の思うところの「ちゃんとした」ファンタジーはまさにトールキンのことで、「ナルニア型ファンタジー」や指輪物語でさえ現実と地続きであること、また朝食の描写の例示などを読んで、自分の書いているものも胸を張ってファンタジーと言ってもいいのでは?と思いました。
ただファンタジーの中に細分化されたジャンル分けがあって、第二者性など、どういう視点で物語を進めていくかについては考える必要はありそうです。
たいへん勇気づけられます。

★★ Very Good!!

「異世界ファンタジー」というくくりは、大雑把すぎる。
そういう意味で、現状のカクヨムのカテゴリ分けに異を唱えたいという点については同意です。

本作で語られている内容の詳細部分については、自分には不勉強にしてわからない事もありますが、
少なくとも、トールキンもロードス島もスレイヤーズもこのすばも同一カテゴリになってしまう現状の分け方は
あまりに大雑把であり、不親切だと言わざるを得ない。
書き手も読み手も、まるで畑が違うのですから。

そもそも「異世界ファンタジー」という言い方からして、まず我々の住む現実世界ありきな言い方ではないでしょうか。
「異」とは相対的な概念であり、我々の現実世界から見た別世界という意味合いになり、
それだけで一種のメタフィクションとしての要素を含む言い方であるかのように聞こえてしまいます。
ただでさえ、「異世界」という枕詞には「転生」とか「転移」という単語を連想しがちなご時世だというのに。

そんな現状のカテゴリ分けに対して一石を投じるという試みに、敬意を表します。

★★★ Excellent!!!

あまり顧みられなかったテーマをかなり丁寧に論じてあると感じた。とてもこの分野の素人とは思えない。引用文献もファンタジー通史として判りやすくなるよう流れを意識していると思われ、説得力がある。
ハイ・ローファンタジーの分類は、身も蓋もない言い方をすればそれが現在の論壇で力を持っているから成立しているわけで、絶対にこの分類が正しいという根拠はない。「異世界ファンタジー」という単語を用いてファンタジーが分類できるのであれば、そのような新しい分類手法を提示すれば良い。
しかしこの論が問うのはそのような仔細な論点ではないと私は思う。今まで多くの評論家や作家が構築して来たファンタジーのサブカテゴリは、読者に物語の概形をわかりやすく導入させるための有効な道具だった。果たして「異世界ファンタジー」というサブカテゴリは、そのような道具としていま機能しているのか。あまりに雑に、漠然と、巨大にジャンルをまとめすぎていやしないだろうか。
本論が問いかけているのは、そういう安易なカテゴリー化への懐疑ではないだろうか。