第3話 やさしい人間
気持ち悪くなり僕は自転車置き場で吐いた。
自転車にゲロがかかった。
どっかその辺にいた自転車の持ち主に殴られた。
僕は朦朧としている。
僕は昔のことを思い出した。
中学生のころ具合が悪いのに担任の糞ババアに無理やり給食の牛乳を飲まされて吐いた。
ある女の子が雑巾を持ってきてゲロを掃除してくれた。
いつでもだれにでもやさしい女の子だった。
いつでもだれにでもやさしい人間は誰からも好かれない。
人はだれでも特別になることを望み、特別にされることを期待する。
自発的な善意はやがて義務になる。
そのゲロ拭きの女の子は中学を卒業せずして自殺した。
僕はよろよろと立ち上がりもう一度吐いた。
今度は腹を蹴り上げられた。
クソが。
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