かすみ燃ゆ

作者 坂水

102

35人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

なんとも筆舌に尽くし難い、この作品の良さを何という言葉で言い表せばいいのだろう。レビューにあたってしばしば、そんなふうに身悶えます。苦しみ悩みうちふえながら己のうだつの上がらなさを思い知ります。でもレビューすべき価値のある作品に対し、自分の力不足で言葉が紡げないからと素通りになることはそれはそれで悔やまれる。読み逃げなんてもってのほか。ので、いいですか?言語化限界を超えた心の声でレビューするのであって大概意味不でも察してください。作品の素晴らしさは各々確認されたし。私はただ自分の気持ちを伝えるだけです。(言い訳完了)

人間力がすごい。人間力ってなによ。いやわかんないんだけどそれはそれ。主人公から脇役まで一人一人が持つ人間みや魅力、人格、才能、気高さ、良い悪いとか好き嫌いを置いといて、個々の意志が迸ってるよね。目が離せない。緊張。迫真。いつだって刮目しちゃう。

ステータスカンストしたミラクル最強パーティを率いているはず、なのにいつだって孤軍奮闘崖っぷちで一人追い詰められて戦っているような。壮絶な。狂おしいほどの愛情と憎しみと感情に流されているべきではない必死の理性で推理と戦略、守るために戦う、ただ幸せになりたい。人としてただ当たり前の安寧を。

狂っている。狂いそう。一緒に狂ってしまえば気は楽だろう。だけど狂えない。だから逃げない。戦うんだ。持てる全てを総動員して、弱くても汚くても、真っ直ぐに全身全霊をかけて。愛されているから。愛しているから。

そんな全力パンチの電波を受信したらこっちの士気も上がるんですけど?俺はまだまだ戦えるね!辛いことなんてないね!オチャノコサイサイだし!
だからしんどいものを抱えて戦うひとにオススメです。読めばフィーバー。脳内麻薬。許された解放を。

(個人の感想です)

★★★ Excellent!!!

世は文明開化、されど時代の波とは無縁の里で虐げられて生きる娘、かすみ。
対立する里の男と密かに夫婦の契りを交わし、光る。
抑えきれぬ恋慕の光は古くからの因縁を燃え上がらせ、避けようもなくかすみに降りかかる。

恋をして救われる話かと思いきや、ぞっとするようなホラーかつサスペンスな展開になり、民話的な謎に触れていくミステリーでもあり、でもやっぱり恋の行方が気になる、そんなドキドキさせてくれる作品。ほどよく官能的な描写も魅力です。

助けを待つのではなく、欲しいものを手に入れるために強かさを身につけていくかすみが、ちゃんと欲しいものを手にできるのか……。

続きが待ち遠しいです。

★★★ Excellent!!!

様々な人々の思惑と欲望、情熱が交差する作品。過去の日本を思わせる隠れ里の女たちは恋をすると体ごと光る。
まさに、身を焦がすような、蛍のような女たちと、それを取り巻く男たち。そしてなぜか「光らない」女、かすみ。
こうしたお膳立ての上に乗っているのが、むっとむせるような「ムラ」の空気。湿度まで伝わってくるような端正で音楽的な文章。
すべての糸が、複雑に交錯し、ダイナミックに物語が紡がれていく。圧巻。

★★★ Excellent!!!

――かすみ燃ゆ 焔の娘 我が妻よ 夢も現も 君とあらん

安是という里に住む娘は、恋をすると身体が光る……
それがこの物語の始まりです。
お年頃になっても身体の光らないかすみという娘が主人公で、かすみを中心に語られています。

そして、かすみと燈吾という寒田の里に住む男が出逢ってしまった。
里の運命、恋、ふたりの情熱が交差し、この世界観が壮大に綴られていきます。

私なんかがこの素晴らしさをレビューしていいの?と躊躇するくらいの御作です。
日本文学の文壇に必要な作家さんだと思います。

私には読めない難しい漢字や言葉遣いが時々ありましたが、行間から感じたりして、それさえもうっとりするくらいの美しい日本語の文章です。日本語を誇りに思えました。
私的には、かすみと燈吾のセリフはもう宝物。すごく素敵なんですよ。

構成の素晴らしさも群を抜いていて、作家さんのたゆまぬサービス精神を感じました。

ぜひ、いろんな方に読んで頂きたいと思います。
ミステリー・ホラー・恋愛・ファンタジー……いろいろなジャンルの混ざった物語。

お読み頂くと、冒頭の歌が胸に迫り、心が切なく燃え上がるようです。

★★★ Excellent!!!

安是の女は、しとどに光り濡れる。
このような不思議な単語がお目にかかれるのは、正に本作だけ!!

舞台は安是という山間の閉鎖的な集落。そこに住む女は恋する男相手に文字通り発光し、求愛をするという不思議な世界観を発端に始まります。
その点だけ掻い摘んでしまえば見目麗しい華やかなものです。……しかし、残念。おきのどくですが当作品はホラージャンル。

主人公かすみは、亡くなった母が残した罪と、誰にも光れないことから「かすのみ」と揶揄され、虐げられる毎日。しかし村へ反目する集落の男と恋に落ちたことから……更なる地獄がかすみを襲います。
序盤は初めての恋に心ときめかす乙女の丁寧な描写に絆されますが、話は次第に凄まじい展開を迎えます。
その中で特に注目したいのは、ピュアなシンデレラ境遇のかすみが、更なる転落で見せる肉薄した心理描写です。女の弱さ、集団の恐ろしさ、そして自身が狂っていくことの愉しさ。この変容はある意味で成長物語でもあり、我々読者は否応なく変わっていくかすみの心情を受け入れて他ありません。……だからこそ、物語中盤から始まる新展開を、かすみと共に空しい目で眺めなければならないのです。

物語構成が見事なのは言わずもがな、全体としては日本古来の美しい文章が魅せるどこかノスタルジーな雰囲気が素晴らしい。
ライト文芸が多いカクヨムに現れた正にダークホース、彼女が巻き込まれる激動の人生にぜひとも皆さん一緒に光り濡れていきましょう!!

★★★ Excellent!!!

舞台となっている安是の村では、女は恋をすると、それこそ蛍のように光を放つ。

だがこれは、可愛らしいおとぎ話ではない。人間の生々しい感情が煮こごりのように混ざり合い、凝縮された恐ろしい作品だと思う。

近代化の節目にあって、今なお執り行われる因習。見えもしないものを怖れた人々によって繰り返される血みどろの惨劇。

ヒロインであるかすみも含め、登場人物に正義はない。皆等しく業を背負い、それぞれの愛憎や保身のために欺き、殺し、滅びを願う。

醜い争いには違いない。だがその感情は剥き出しであるがゆえに切実で、真に迫るものがある。

そしてフォークロアへの確かな理解が、本来はおぞましいものであるはずのその争いに厚みを、一文一文に詩のテンポと豊さを持つ圧倒的な文章力が美しくも妖しく彩りを持たせることに成功している。

ファンタジーにして、ここまで人の感情の機微や美醜と向き合った作品は、昨今見たことがありません。
疑いようもない、珠玉の名作です。

★★★ Excellent!!!

緻密な舞台設定と豊富な語彙によって綴られる物語の持つリアリティは圧巻の一言。
実在する山里に語り継がれる伝承なのではないかと、そう思わせる程です。

恋を知り光る安是の女という、とてもロマンチックな設定を持つ本作ではありますが、ホラージャンルということもあり、愛憎劇的な様相を見せていきます。そのさらに先には――

独特な風習を持つ山里「安是」を舞台としている本作は、前述の圧倒的なリアリティもあり、個人的には民俗学的な楽しみ方も出来ました。
作り込まれた世界観を観覧する。これもまた、読書の醍醐味というものです。

こういったホラーと民俗学的な要素の絡んだ物語は好物なので、本作はよく刺さりました。

今後の展開も楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

このような暗澹とした山間の里が、実在すると錯覚するほどのリアリティ。

美しいと思います。

気味の悪い慣習、それを問うこともなく踏襲し続ける里の人々。

その気味悪さがわかるようになればなるほど、胸に迫るものを感じます。

そして胸をかきむしりたくなるような嫌悪感。

大変好みです。

★★★ Excellent!!!

とにかく描写が艶やかです(特に物語前半に着目して欲しいところ)。下品な色っぽさは全くなく、読んでいて、ただただ圧倒される描写力は感服で…秘められた情事をその場で覗き見ているような臨場感と後ろめたさがたまりません…!

その一方で、和風独特の薄暗さ、滲み出るような恐ろしさが物語後半で体感できます。ここの部分もぜひ注目してください。読んでてすごく、ぞくぞくします。

日本語あるいは和文学を極めるとここまでできるのだ、と実感させてくれる作品です。皆さん是非、ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

その里では、恋をした女は光る。
しかし、かすみは「里の男」には光らず、忌み嫌われていた……。

すごい。
何がすごいって全部すごいんですよ。
山女、風習、伝説、地名に至るまで、よい。民俗学好きの私は心臓ぶち抜かれました(ズギューン)そして所々に小難しい言葉が並びます、なんだか読んでいるだけで自分が賢くなってきたような錯覚に陥ります、この現象をエヴァンゲリヲン効果と呼びます(呼ばない)

はじめは異類婚姻譚かと思いました。
そして「あれちがうんか、ちぇー」と思って読み進めると、やっぱりどうやら「ある意味異類婚姻譚」でありました。やったね!

かすみは闘う、「かすのみ」と嘲られながら、母の影に怯えながら、なんのため、夫のためか、自分のためか。人々の思惑と割り切れない思い。息が苦しい。えろい。やめて。素晴らしい。

読み終えるのが怖くてちびちび読んでいたのについに追いついてしまった。
どのようにこの物語を終えるのか、息をひそめて見守ります。

★★★ Excellent!!!

昔誰かのエッセイで、志賀直哉の「城の崎にて」でこういう一文がある、と紹介されていました。

「いい色をしている」

「いい」は主観です。描写ではないのかもしれない。でも、「いい」としか表現できないものがあるんです。

この小説は「いい」小説です。
過不足なくそう思います。

あらすじやストーリーテリングについては他のレビュアーさんたちがとても的確に表現されています。

「いい」小説を、推薦します。

★★★ Excellent!!!

本作は、古い日本の村落を思わせる「安是の里」を舞台にした愛憎劇です。安是の女は恋焦がれるとその身から光を放つ。さながら蛍のように。自らの意思とは関係なく、光ってしまう女たちの暮らす里ゆえに起きる悲喜劇やいかに。

SFにも似た手触りで架空の村落を作り上げ、その設定であるがゆえに起こる恋愛模様を耽美な言葉で紡いでゆきます。ただそれだけに留まらず、何やら宿怨浅からぬ隣村との因縁も絡んできて物語はいよいよ混沌へと向かいます。

それにしても、主人公の「かすみ」。恋する乙女と言うと聞こえが良いかもしれませんが、とにかくもう、本当に一人なのです。それはもう徹底的に。あれ?恋愛ってこんなにひとりだったかな?と思ってしまうくらいひとりすぎて息が詰まります。

本作はまだ結末を迎えてはいませんが、皆様もぜひ、この恋する乙女と村落のゆくすえを見届けてください。

ぶっちゃけて言うと、こんな話カクヨムのカラーに合うわけねーじゃんバカなのかすみかわいそう早く味方カモンやっぱいいですとか思いますが、一人でも多くの方に読んでほしいお話なのです。そういうのって、ありますよね。それです。さあさあ皆様、ぜひご一読を。

★★★ Excellent!!!

純粋であるがゆえに直情的。

過酷な境遇に生まれた少女・かすみの恋と復讐の物語。
身体の火照り、光る身体、男との逢瀬を通じて表現される恋心は濃度が濃く、みるみる引き込まれていきます。

時には直視できないような惨状も目にしてしまうけれど、それすらも彼女の生きざまとして相応しい。きっと美しいだけではない、綺麗とは言えない。
そのきずが外側か内側かは定かではないですが、自分の一途な思いが燃えるような光となって小さな世界を焼いていく。そんな小説です。

★★★ Excellent!!!

文明と隔絶された山里を舞台に繰り広げられる愛憎奇譚です。

物語の舞台となる「安是の里」は架空の里ですが、柳田民俗学を基盤として描かれたという本格的な地理描写とそこに暮らす人々のやり取りからは、嫌になる程リアルな近代ムラ社会の臭いが漂います。

そしてそんなリアルな世界に、「安是の女は恋をすると光る」という非現実的な要素が加わることによって、本作を単なる「劇」でなく「奇譚」たらしめるのです。
ある種、ただでさえ汚い人間が最も汚く、また滑稽になる性交の場面がやたらに神秘的に映えるのです。

しかしこの物語の主人公は、里で唯一光らぬ女「かすみ」。彼女には他にも様々な皮肉があり、また闇を抱えてもいます。そんな彼女を主軸に据えることで初めて、リアルで神秘的な二つの要素は物語を展開させる最高の装置となるのです。

ことカクヨムにおいて、他では絶対に読めない小説です。是非一読をオススメします!

★★★ Excellent!!!

その里では、女は男を慕えば、光を帯びる。されど十八歳をすぎても光らず、かすのみと蔑まれる女がひとり。
かすみは光らない。《里の男》には決して。
 

読みはじめてすぐに、嗚呼、凄い小説だと思いました。まさにこの著者さまにしか書けない小説でございましょう。
光らぬ女の奇譚は、耽美でありながら情緒のある繊細な文章で綴られており、言葉の細部からも深い知識が窺えます。美醜、清濁、そういったものを書ききった小説というのはなかなかに出逢えるものではありませんが、こちらの小説はまっこうからそれらを書き抜いていて、感服するばかりです。
重ねて、男女それぞれの優越感と劣等感が書かれているところが実に凄いです。男はみずからを慕い、濡れ光る女に優越を覚え、支配欲を満たす。故に女の呪縛からは逃れられない。女は光ることで男を縛りつけ、庇護され、優越に浸る。けれどゆがみがないはずはなく、里は男女それぞれの呪縛で雁字搦めになっている。
優越と劣等があるのは男女だけではありません。光っても慕う男に選ばれなかった女と光らない女のあいだにも、劣等感と優越感がある。
清濁がないまぜになって、されどもひとつにはなりきらず、怒涛のように打ち寄せるさまは見事としか言いようがありません。

まだまだ謎の多い幻想愛憎奇譚……今後の展開に期待を寄せて、星はふたつとさせていただきます。これだけのものを執筆するのは大変かと思いますが、これからも更新を御待ち致しております。


ずいぶんと物語が進展し、星ふたつでは辛抱たまらなくなりましたので、8月30日をもって星をみっつとさせていただきます。ほんとうに素晴らしい小説です。かならず最後まで追いかけます。