かすみ燃ゆ

作者 坂水

閉鎖集落の村娘が巻き起こす、身の毛がよだつシンデレラストーリー!

  • ★★★ Excellent!!!

安是の女は、しとどに光り濡れる。
このような不思議な単語がお目にかかれるのは、正に本作だけ!!

舞台は安是という山間の閉鎖的な集落。そこに住む女は恋する男相手に文字通り発光し、求愛をするという不思議な世界観を発端に始まります。
その点だけ掻い摘んでしまえば見目麗しい華やかなものです。……しかし、残念。おきのどくですが当作品はホラージャンル。

主人公かすみは、亡くなった母が残した罪と、誰にも光れないことから「かすのみ」と揶揄され、虐げられる毎日。しかし村へ反目する集落の男と恋に落ちたことから……更なる地獄がかすみを襲います。
序盤は初めての恋に心ときめかす乙女の丁寧な描写に絆されますが、話は次第に凄まじい展開を迎えます。
その中で特に注目したいのは、ピュアなシンデレラ境遇のかすみが、更なる転落で見せる肉薄した心理描写です。女の弱さ、集団の恐ろしさ、そして自身が狂っていくことの愉しさ。この変容はある意味で成長物語でもあり、我々読者は否応なく変わっていくかすみの心情を受け入れて他ありません。……だからこそ、物語中盤から始まる新展開を、かすみと共に空しい目で眺めなければならないのです。

物語構成が見事なのは言わずもがな、全体としては日本古来の美しい文章が魅せるどこかノスタルジーな雰囲気が素晴らしい。
ライト文芸が多いカクヨムに現れた正にダークホース、彼女が巻き込まれる激動の人生にぜひとも皆さん一緒に光り濡れていきましょう!!

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