かすみ燃ゆ

作者 坂水

神聖さすら感じる官能シーンと時代を超越したリアルな人間模様

  • ★★★ Excellent!!!

文明と隔絶された山里を舞台に繰り広げられる愛憎奇譚です。

物語の舞台となる「安是の里」は架空の里ですが、柳田民俗学を基盤として描かれたという本格的な地理描写とそこに暮らす人々のやり取りからは、嫌になる程リアルな近代ムラ社会の臭いが漂います。

そしてそんなリアルな世界に、「安是の女は恋をすると光る」という非現実的な要素が加わることによって、本作を単なる「劇」でなく「奇譚」たらしめるのです。
ある種、ただでさえ汚い人間が最も汚く、また滑稽になる性交の場面がやたらに神秘的に映えるのです。

しかしこの物語の主人公は、里で唯一光らぬ女「かすみ」。彼女には他にも様々な皮肉があり、また闇を抱えてもいます。そんな彼女を主軸に据えることで初めて、リアルで神秘的な二つの要素は物語を展開させる最高の装置となるのです。

ことカクヨムにおいて、他では絶対に読めない小説です。是非一読をオススメします!

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その他のおすすめレビュー

★★★ Excellent!!!

本作は、古い日本の村落を思わせる「安是の里」を舞台にした愛憎劇です。安是の女は恋焦がれるとその身から光を放つ。さながら蛍のように。自らの意思とは関係なく、光ってしまう女たちの暮らす里ゆえに起きる悲喜… 続きを読む

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