第二章 優しすぎたお姫様のお話

昔々でない物語

 あるところにとてもとて心の優しい、お姫様がおりました。


 お姫様は家族にも、家臣にも、国民にも、慈悲深く、


 お姫様は家族にも、家臣にも、国民にも、深く愛されいました。


 お姫様は幸せに暮らしていました。


 そんなあくる日、お姫様は家族と共に森へ狩に出かけました。


 お姫様のお父さんもお兄さんも狩がとても上手で、それはそれは大きな鹿を何頭も何頭も仕留めてきました。


 早速その鹿を焼いて食べようと、近くの村へと立ち寄りました。


 村人たちは村を上げてお姫様たちを歓迎してお祭り騒ぎでした。


 村人たちは村で作ったワインを献上し、お姫様たちは鹿のお肉を振舞って、それはそれは楽しい宴となりました。


 お姫様も楽しんでいると、宴の外にみすぼらしい人たちがいるのに気がつきました。


「彼らはだーれ?」


 お姫様が尋ねると、お父さんが答えました。


「あれは奴隷だよ」


「奴隷ってなーに?」


 お姫様が尋ねると、お兄さんが答えました。


「彼らは便利な道具だよ」


「私には同じ人間に見えますわ」


 お姫様がそう言うと村人たちが笑います。


「奴隷に気をかけるなんて、なんてお優しいお姫様だ」


 みんなは笑い、歌い、楽しみました。


 でもお姫様だけは違いました。


 そうして宴が終わって、お城に帰ってからもお姫様は奴隷の事ばかり考えるようになりました。


 彼らは私たちにそっくりなのに、人間と奴隷、どうちがうのだろう?


 考えて考えて、それでお姫様は思いつきました。


 奴隷が人間にそっくりなんだから、人間も奴隷にそっくりじゃないの。


 だったら、人間の私が奴隷に変装することも簡単じゃない!


 お姫様は思いつくと、お姫様はこっそりとお城を抜け出しました。



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