第28話 一緒にお風呂
何度鏡の前に立ってみても、映る姿は可愛らしい女の子だ。それは幼馴染の家の鏡でも変わらないらしい。……まぁ当たり前だが。
というわけで俺は今、風呂場の脱衣所で自分の姿をしげしげと眺めているのだ。
周囲に視線を巡らすと、そこは自分の記憶にない脱衣所だ。中学生以来の幼馴染の家と言えど、風呂にまで入るのはいつぶりだろうか。たぶん小学生以来だろう。
さすがにそこまで前になると、脱衣所の様子も変わるらしい。というか単に俺が覚えてないだけの可能性もあるが。
「まぁちゃっちゃと入りますか」
さっさと気分を切り替えると躊躇なく服を脱いでいく。
シャツを脱いでキャミソールを脱ぐと、次にキュロットスカートも脱いでいく。下着も全部脱ぐともう一度鏡の前に立つ。
洗面の鏡なので、映るのは上半身だけだ。しかしそれでも、形のいいやわらかそうなおっぱいは視界に入っている。
手のひらで下から支えるようにして揉んでみるが、相変わらずやわらかくて触り心地はいい。
――とここにきて最近気になっているところも触ってみる。
左腕を斜め上へ伸ばすと、右手で二の腕をつまんでみる。
うむ。こっちも柔らかい。もにもにと揉んでみるけど、柔らかい上にひんやりとしてて気持ちがいい。あー、これ癖になりそう。
身体測定では自分が標準よりもちょいやせ型だとわかったが、そんな俺でもこの二の腕はぷるぷるしているのだ。
「――何やってんの……よ」
ガチャリとお風呂場へと続く脱衣所の、廊下側の扉が開いたかと思うと、そこには着替えを持ったまま頬を染めてこちらに視線を向けてくる幼馴染がいた。
「アンタも付くところには無駄なお肉が付いてるのね……」
俺の様子を見て何かを理解したらしいが、微妙に恥ずかしそうにちらちらとこっちを見るのはやめろ。
こんな体になった俺としては、今更佳織に見られても恥ずかしくはないが、そういう態度を取られるとなんかね。
「ふーん……。
伸ばしていた腕を戻して両腕をおっぱいの下で組むと、ニヤニヤとした表情で佳織に視線を向けてやる。
これは佳織の二の腕も触って、自分と比べてみないとな。
「……そ、そうだけど。……女の子は気にするものなのよ?」
だから気になってたんでしょ? とでも言わんばかりだが、俺は違うぞ。
というか佳織も気になってるってどういうことだよ。俺から見ても佳織はやせ型に見えるし、太ってるようには思えないんだが。
「……そ、それよりも、脱いだんならさっさと行きなさいよ!」
まったく隠そうとしない俺にしびれを切らしたのか、顔を真っ赤にしながら叫ぶ佳織。
とは言え佳織のいう事にも一理あるのは確かだ。いつまでも素っ裸で鏡に向かってるわけにもいかない。
しかしだ……、それよりも佳織にもすべきことがあるだろう。
「へいへい。っつーか佳織も、んなところでずっと突っ立ってないで、脱衣所の扉くらい早く閉めてくれよ」
さすがにおじさんとおばさんに見られるのは勘弁だ。リビングまで見通せるようにはなっていないとは言え、ひょっこり顔でも出されたら困る。
「……えっ? あっ! ご……、ごめんなさい」
びっくりして背後を振り返り慌てて扉を閉める佳織を尻目に、俺はタオルを掴んで風呂場へと向かった。
タオルを脇に置いて湯船の蓋を開けると、むわっと湯気が立ち昇ってくる。
ふと視界にシャンプーなどのボトルが目に入ったので、屈みこんで眺めてみると。
「シャンプー、トリートメントに……、コンディショナーとボディソープと……。あれ? リンスは?」
いや待て、それもあるがボトルが六本あるぞ。シャンプーとコンディショナーが二本ずつ……。なんだこれは……。
もしかして全部使ってるのか……。いやそれとも何か使い分けがあるとか……。
それに普通に石鹸もあるし。
「ぬぅ……。わからん」
首をひねっていると、またもや背後で扉が開く音がした。佳織が入って来たんだろう。
振り向くと、腕で胸を隠しながらも、その胸元からタオルを垂らし、ちょうど大事なところもギリギリ隠すようにして、佳織が風呂場へと入ってきたところだった。
でも今度はちゃんと風呂場の扉は閉めてくれたらしい。
「……なにが、わからないのよ」
俺の言葉が聞こえていたんだろうか。脱衣所にいた時よりも顔を赤くさせながら、しどろもどろになって尋ねてくる佳織。
いやだからそんなに恥ずかしいなら、なんで俺と一緒に風呂に入るって言ったんだか。
しかしこれ幸いとじっくりと佳織の裸を眺めてみる。
おっぱいはスリーサイズの数字が示す通り、俺と同じくらいだろうか。隠れてよく見えないが。そして白くて柔らかそうなその肌は、赤くなった頬と同じ色が乗っているように見える。
腰もほどよくくびれてるし、スタイルはいいんじゃなかろうか。お尻もふっくらしていて、いわゆる安産型というやつか。
こうしてみると、佳織の二の腕もぷにぷにして気持ちよさそうだな。
……ううむ、やっぱり触ってみたい。
しかしあれだな。やっぱり佳織の裸を見ても、特に興奮はしないな……。
俺が女になったからなのか、それとも幼馴染はやっぱり幼馴染だからなのか。
「いや、シャンプーとコンディショナーが二本ずつあったから、使い分けでもあるのかなと」
秘かな欲望を押し殺しながら、疑問に思ったことを素直に佳織にぶつけるが。
「あ、それお父さん専用のシャンプーとコンディショナーだから」
恥ずかしがっていた態度が素に戻ったかと思うと、あっけらかんと言い放つ佳織だった。
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