微妙な匙加減。女は女。

女は妻や母じゃない。女は女なのです。
元カレとの再会。そして……。確かによくある話でしょう。しかしこの作者のドライでなおかつ妖艶な筆致。その微妙な匙加減。唸ります。

(下手すればただの官能小説に落ちてしまうのは、私自身も似たような作品を書いてみて、そして下書きに戻してしまったので、容易いことはよく分かります)。

作者さまが男性であるという時点で、もう脱帽。
心に穿たれた穴を埋めるものを長い時間探し求めていた主人公。しかし彼女は落ち切ってはいかないでしょう。艶めかしいのに乾いた空気が、それを感じさせます。

1話読み切り。サラリと読むのも、深読みするのも読者次第。
秀作です。