グリーンボックス

作者 和田駄々

閉じ込められているのは俺か、世界か?

  • ★★★ Excellent!!!

状況はいたってシンプルです。
主人公は、緑色に塗られた謎の部屋に閉じ込められた高校生。
部屋の中にあるのは、『欲しい物を思い浮かべながら、滅ぼしたい国のボタンを押せ。当たりなら解放』と書かれた世界地図のみ。
そして、主人公は生き延びるために地図のボタンを押すと、本当に国が次々と滅んでいくわけです。

こう説明すると随分と突飛に感じられるかもしれませんが、本作の場合、突飛で終わらせない現実感があるんですよね。

たとえば最初にスマートフォンを取り戻した主人公は、助けを求めて周囲に連絡するのですが、悪戯だと思われて誰も相手にしてくれない。
ところが滅んでいく国の数が増えるにつれて、世間の反応も変わっていき、助けを求めて投稿した動画のコメント欄が炎上したり、「あの国を滅ぼせ」みたいな心無い書き込みが次々されたりとか、そういう世間の反応が本当に生々しくて……。

また、主人公も最初はただ困惑していたのが、罪悪感を抱くようになり、さらにはそれを通り越して開き直ってしまい、軽い理由で国を一つ滅ぼしたりする。
そういった心境の変化も説得力たっぷりに描かれていて、どんなにぶっ飛んだ設定でも書き方次第で説得力を充分に持たせられることを示した、大変面白い作品です。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=柿崎 憲)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

その他のおすすめレビュー

カクヨム運営公式さんの他のおすすめレビュー 291