3人の合体技
「これで分かっただろう。エンダー相手に戦うことがどれだけ愚かなことか。車田、氷華、空。お前達に恨みはないが、俺はやつでを守るためだ、死んでくれ」
ユウは三人に頼んだ。
だが。
「はい分かりましたと、言うわけないだろうが!!」
車田くんが攻撃する意思を表すかのように、火柱を燃え上がらせる。
「誰かを守りたいって気持ちは立派だユウ! でもな、それで何かを犠牲にしたら意味ないだろうが!!」
車田くんが叫ぶ。
その気持ちは他の二人も同じだった。
氷華ちゃんは水を空くんの顔の近くに発生させ、彼の眼に入った砂を洗い流す。空くん、復活。
「吹雪! 空! あれをやるぞ!!」
車田くんが叫ぶ。
その声に反応し、氷華ちゃんと空くんが戦闘態勢に入る。
「……連続攻撃」
まず空くんがユウの真上にどこでもドアを発生させ、瓦礫を落とす。
ユウはそれをかわす。
だがかわされるのは想定内だ。
空くんがユウの気を引いている間に……。
「火炎砲!!」
「veel!!」
車田くんが三十メートルがある炎の球を発生させ、氷華ちゃんがシャボン玉のように水で火の球を包み込む。
「空っ!!」
「……完全包囲!」
空くんがユウの四方八方に瓦礫を積み上げる。高く高く、積み上げる。
周りを瓦礫で囲まれ、ユウは逃げ場を失う。唯一の脱出は上だけ。
だが、その上には……。
「喰らえ!!」
「ハイドロボムですわ!!」
火と水、二人の能力者が作った、炎が入ったシャボン玉。
それがユウめがけて落下する。
水、H2O。それを構成する元素は酸素と水素。どちらも物が燃えるのを助ける元素。水は衝撃を与えれば……例えば強力な熱エネルギーを与えれば、その二種類の元素に分裂する。
つまり……。
凄まじい轟音とともに、瓦礫のタワーが吹き飛ぶ。私達の方にもいくつか飛んできたが、空くんのどこでもドアで瓦礫を瞬間移動させたのでダメージは無い。
これが三人の合体技。空くんが相手の動きを封じ、車田くんと氷華ちゃんが攻撃に転じる。絆が深まった三人による連携。
ここに来る途中の船で車田くんが考えたばかりの、ユウも知らない技。ぶっつけ本番だったけど、上手くいったようだ。
あれほどの衝撃を受ければ、普通は生きていられるはずがない。
でも。
「効かんな」
ユウは普通ではなかった。瓦礫の中から、その身体を炎で燃やしながら出てきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます