集められた5人
そうこうしている内に、三十分ほどしたら、ディノコーポレーションに着いた。
テレビで見たことは何度かあったけど、とても大きいビルだ。見上げると首が痛くなる。
「ご案内いたします」
黒服さんに連れられて、私達はビルに入る。
ロビーをしばらく歩き、エレベーターに乗せられた。
最上階に到着する。
エレベーターを出ると、目の前に社長室と書かれた豪華な扉が現れた。
「社長。吹雪様・凩様・不動様をお連れしました」
「入れ」
部屋の中から返事が聞こえた。
社長の了解を得て、私とユウは入室した。
部屋の中にはテレビで見たディーノ社長がいた。そして男の子と小さな少年もいた。
男の子の顔は知っている。NEX一回戦第一試合で氷華ちゃんと戦った、車田烈くんだ。あと一人の少年は誰か分からない。
黒服さんは社長に一礼してから、退室して行った。
「これで全員揃ったな」
ディーノさんが言った。 察するに、どうやらこの二人も、私とユウと同じように招待されたみたいだ。
「まずはようこそ、諸君。ディノコーポレーションは君達を歓迎する」
社長が指をパチンと鳴らす。
それが合図だったのか、メイドさんが入室して来て、私達に紅茶を淹れてくれた。
私はメイドさんにお礼を言って、カップに口を付ける。あ、美味しい。
「挨拶はいいですわ」
紅茶を飲みながら氷華ちゃんが言う。
「ディーノ社長、先ほどあなたは言いましたわ。『これで全員揃った』と。でしたら早く教えてくれませんか、私達を集めた理由を」
氷華ちゃんの言う通りだ。どうして私達が呼ばれたのか、その理由を聞きたい。
「車田烈、吹雪氷華、凩やつで、不動ユウ、常盤空。ここにいる五名にはある共通点がある、その共通点に基づいて、我々は君達を集めた」
「共通点!?」
このセリフは車田くんのもの。彼はとても声が大きい人だ。
「先日のNEX、一回戦第二試合、そこに突如現れた乱入者による惨劇……」
惨劇という言葉を聞いて、私は思い出してしまう。目の前で鈴木さんが殺されたことを。
今思い出しても、ゾッとする。
もう一度紅茶を飲んで気を落ち着かせようとするけど、身震いしてしまう。
「あの惨劇を見て、会場にいた人間は誰もが我先にと逃げ出そうとした。だが、君達は違った。他の人間達とは異なり、君達は恐怖に臆することなく堂々としていた。そこにいる不動ユウくんにいたっては、乱入者を倒すほどだ」
いや社長さん、私は逃げようとしてましたよ?
「逃げずに堂々としていた! それがオレ達の共通点ってわけか!」
車田くんが納得する、そして彼は紅茶を飲もうとしたがどうやら猫舌だったらしく、舌を火傷していた。
「あの乱入してきた奴は、一体何なんだ!?」
紅茶をフーフーして冷ましながら、車田くんが質問する。
「あの乱入者の個の名は知らないが、私はあの生物をエンダーと呼んでいる」
エンダー。英語で終わらせる者という意味。
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