『無』

静けさに連れられて夢を絶った

四鳥の別れは陰を濃ゆく

僕がまたひとつ霞んだ


良識に呑まれて足首を落とした

虚空を孕んだ産みの苦しみに

私さえも侵食された


光も影も空間もれいに帰す

無残に破顔の残るならば

もはやなにものでもない


ただひとつ置き去りにした爪先

持ち主不明の明瞭な空間は

もはやしるべきものでもない

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