第221話 持久戦

 セーフティーハウスには未だに大勢のハンター達が残っていた。その大半は新米や結成して日も浅いチームを逃がす為に残った、正義感と自己犠牲の強い熟練ハンターだ。が、中には逃げ遅れた新米や、一度は逃げたもののパニックで道に迷って舞い戻ってきたハンター等も居た。

 セーフティーハウスに通じる四つの出入口を結界で封じながら、魔法使い達は向こう側に険しい眼差しを投げ掛けた。ギラギラと核を輝かせたゴーレム達が結界の先に殺到し、侵入する瞬間を今か今かと心待ちにしている。

 やがて痺れを切らしたゴーレムが結界に剛腕を叩き付けた。ドォンッドォンッと間近で花火が打ち上がったような轟音が鳴り響くも、結界の表面に波紋を描くだけで破れる気配は見えない。

 それは結界の質の高さを物語っているが、だからと言って安心は出来ない。封印のような複雑な術式ならばいざ知らず、防御として用いる結界などその場しのぎにしかならない。現にゴーレムから攻撃を受ける度に鮮やかな緑色だった結界は徐々に薄れていき、今にも消え入りそうになっていく。


「くっ……! そろそろ魔力の補充を頼む!」

「分かった!」


 結界を張っている魔法使いの依頼を受け、補給役の魔法使いが中央に固まっている者達へ振り返る。向こうも何をするかは了承済みらしく、不安気な面持ちを浮かべながらも「やってくれ」と頷いて了解の意を示した。


「魔力吸収(マジックドレイン)!」


 一ヵ所に集まった人々の身体から魔力が粒子状に引き抜かれ、魔法使いが掲げた掌へと吸収されていく。そして自身の肉体をバイパス代わりにするかのように反対側に掲げた手から魔力が放出され、結界を張っている魔法使いへと明け渡された。


「助かった!」


 そう礼を言うや魔法使いは受け取った魔力を自身が張った結界に注ぎ込んだ。薄れていた結界は息を吹き返すように鮮やかな緑色となり、そしてゴーレムの攻撃を耐え凌ぐだけの強度を取り戻した。

 これで少しは耐える時間も伸びるだろうが、だからと言って安堵を覚える者は少ない。ダンジョンに潜るとは言え、彼等の殆どは日帰り労働の如く短期間の活動を想定した準備しかしていない。即ち、長期間に渡る籠城などは想定外であり、このままではジリ貧に陥るのは明白であった。


「くそ、何時まで続くんだよ……」

「こんな事になるんだったら田舎で農業をしてた方が良かったぜ……」

「畜生、こんな所で死んじまうのかよ……」


 新米や冒険者としての志の低い人間から零れた弱音に、熟練者達は苛立ちの籠った目を寄越した。こういう場面で気弱になるのは分からないでもない。しかし、それが他の冒険者の精神に強く影響を及ぼす事を知っており、故に悲観や悲嘆は禁句(タブー)だという暗黙の了解があった。


「おい、魔法使いが俺達の為に命張っているんだ。気が萎えるような事を言うんじゃねぇ。ったく、その程度の覚悟しかしてねぇんだったら最初からダンジョンに潜るんじゃねぇ」


 四十台程の熟練者が窘めるように言うと、他の冒険者も同意するように頷いたり表情で賛同を訴える。しかし、最後に添えられた一言は明らかに余計であり、新米や足手纏いとなっている冒険者の怒りを燃え上がらせる火種となるには十分であった


「何だと!?」


 新米冒険者の一人が先の発言を飛ばした熟練の冒険者に食って掛かり、瞬く間に険悪な空気が両者の間に形成される。加えて限界に追い込まれた状況下で双方の苛立ちは最高潮に達しており、それも攻撃的な雰囲気を助長する一因となっていた。


「よさないか!」


 その時、『薄明りの希望』のリーダーであるデナンが双方の間に割り込み、仲裁に入ると同時に険悪な空気を緩和させる。既に相当量の魔力を結界に吸い取られているらしく表情は疲弊を意味する鈍色だが、瞳の輝きには微塵の諦念も宿っていない。


「此処で争っても何も解決しない! 何より、救援が来て逃げる体力も無ければ此処から脱する事も出来ないぞ!」


 新入りは忌々し気にデナンを睨み返すも言い返す事は出来ず、癪に障ったかのように「ふん!」と息巻きながら踵を返した。もう一方の熟練者は「すまねぇな」と大人の態度でデナンに謝罪を告げるものの、胡乱気な眼差しが本心を物語っていた。


「お前さん、助けが来ると思うか?」

「騒動は街の外に広まっていると思います。自警団が動かない筈がありません」

「自警団……か」熟練者は鼻でフッと嘲笑う。「確かに自警団は街を守る存在だ。だが、ダンジョンに潜れるだけの熟練者は一握りだけだ。ましてやガラムの野郎、団長だったダンブルさんを見せしめのようにクビにしやがった。正直言って絶望的と言わざるを得ない」

「詳しいのですね?」

「おう、俺はエルドラ生まれエルドラ育ちの冒険者だからな」


 熟練者は一息付くように嘆息を零し、目線を石畳に落とした。精神的な疲労も当然ながらあるが、その眼差しに二度と戻らぬ過去を思い起こす懐古の念が籠っているのをデナンは見抜いた。


「もしもラカム様が生きていたらな……」

「ラカム様?」


 デナンがラカムという人物を深掘りしようとした時、結界を張っていたリリアンから「デナン!」とSOSじみた叫び声がやって来た。パッと振り返ると彼女の作った結界にゴーレム達が押し寄せ、一丸となって強引に突破しようとしていた


「彼女に魔力を――」


 と、言い掛けてデナンは口を閉ざした。既に自分を含めた冒険者達は度重なる魔力吸収によって疲弊状態にあり、これ以上は命に異常を来たす恐れがある。そもそも我が身を守る為に魔力を明け渡しているのに、それが原因で死んでしまえば本末転倒も良い所だ。


「魔力ポーションは!?」

「駄目だ!」別の熟練者が叫ぶ。「もう全部使い切っちまった!」


 魔力を回復させる方法は魔法以外にも、ポーションと呼ばれる錬金術で作った薬液が存在する。魔法に依らないので魔力を消耗しないという利点があるが、生産性が低く値が高いという欠点を兼ね備えている為、これを持ち込めるハンターは一握りだけだ。

 尤も、それを手に入れられる程に資金力に余裕が出始めた頃には、恐らく当事者の防具も魔術も一級品となっているだろう。そういった理由もポーションの必要性を下げる要因となっていた。


「もう駄目だ! 決壊が壊れちまう!」

「畜生! どうして、どうしてこんな目に遭うんだよ!!」


 そうこうしている間にゴーレム達の勢いは増し続け、それに比例して結界の色と厚みが薄れていく。決壊寸前の結界を目の当たりにして新米冒険者から絶望に富んだネガティブな叫びが起こるが、デナンの心は未だに絶望に抗っていた。


「覚悟を決めるしかないな……! ダカン! リリアンの護衛を頼む!」

「おう、任せろ!」


 防御の構えを取りながら前へ出るダカン。その後ろをデナンとローズが追従し、三人は一丸となってリリアンの元へと急いだ。スタークは何時でも仲間を援護できるように後方に待機し、愛用の弓を構えて戦いに備えた。

 その姿は実に場慣れした熟練の冒険者という風だが、実際の所、そんな余裕は彼等に無かった。彼等もまた多くの魔力を結界に割いており、その体調は御世辞にも万全とは言えなかった。

 だが、助けが来ると豪語してしまった以上、自分から真っ先に意見を翻す訳にはいかなかった。少なくともリーダーであるデナンの考えはそうであった。だからこそ、仲間を巻き込んでしまったのではという罪悪感が少なからず芽生えていた。


「すまないな、俺があんな事を言ったせいで……」


 思い詰めたようなデナンの謝罪にダカンとローズは目線を合わせ、フッと鼻で嘲笑った。但し、それは彼を嘲笑ったのではなく、彼の思い詰めている悩みなど屁ではないという意思表示であった。


「馬鹿言ってんじゃないわよ。此処で逃げ出すような男なら、最初からあたしはチームを抜けているさ」

「ローズの言う通りだ。お前のそういった一直線なところが好きでチームに入ったんだぞ? 今更ソレを責めるヤツは居ないさ。後で他の皆にも聞いてみろ、きっと同じような事を言うぞ?」


 仲間のフォローにデナンはきょとんと呆けたような顔を浮かべるも、やがて重荷から解放されたかのような微笑みを浮かべながら「有難う」と小声で感謝を告げた。

 そして気を取り直すように視線を前方に移すと、既に結界はゴーレム達の猛攻によって限りなく空気に近い半透明の色合いとなっていた。少しでも決壊を遅らせようと、リリアンは顔中を汗まみれにしながら紡いだ魔力を必死に注ぎ込む。

 だが、その努力も空しく遂に結界は砕け散り、ダムで堰き止められていた水が放出されるかのように魔獣がセーフティーハウスに雪崩れ込んできた。そして真っ先に飛び込んだゴーレムが結界を張っていたリリアンに向けて巨椀を振り下ろした。


「させるかよ!」


 だが、あわやという所でダカンが滑り込み、魔法使いを狙った巨椀を受け止めた。身動きが止まった隙にローズが身軽さを活かして飛び出し、ゴーレムの核に愛刀であるククリに似たナイフを振り下ろした。

 その一撃は猫に引っ掻かれた程度の浅い傷しか作れなかったが、牽制には十分だったらしくゴーレムは蹈鞴を踏むように後退った。そしてローズが着地して飛び下がると、彼女と入れ替わる形でデナンが前に出た。


「はあああ!」


 彼が繰り出した鋭い突きは狙い違わずにゴーレムの核を穿った。剣が半ばまで刺し込まれ、稲妻を彷彿とさせる太い縦線を主軸とした深刻な亀裂が核に走った。それが致命傷となったゴーレムは仰向けに倒れ込み、程無くして粒子状に分解されて消滅した。


「下がるわよ!」

「は、はい!」


 ゴーレムを倒して安堵する間も無く、ローズはリリアンを御姫様抱っこしながら脱兎の勢いで下がった。殆どの魔力を使い切って疲労困憊の極みにあるリリアンも、振り落とされまいと必死にローズにしがみ付く。その直ぐ後をデナンが続き、ダカンは殿となって追撃を警戒する。

 既にリリアンが張っていた結界を除いた残り三方の結界もゴーレムに破られるなり、侵入してきたゴーレムの対応に追われて結界を張るどころではなくなり、最早セーフティーゾーンは安全な場所ではなくなっていた。

 熟練のハンター達は互いの長所を理解した上で巧みに連携を取り合い、また卓越した武器裁きと高い技量で自分よりも遥かに巨大なゴーレムと互角に渡り合う。だが、新米達は技量不足のせいで協力する事も出来ず、戦意を喪失して逃げ惑ったり恐怖で腰を抜かすばかりだ。


「畜生! 死んでたまるか! 死んで――!」


 背後から忍び寄った水晶で出来たクリスタルゴーレムが蟻でも潰すかのように、武器を振り回して喚いていた新米ハンターの一人を踏み潰す。ゴーレムが持ち上げた足の裏に張り付いた臓物が血の糸を垂らすのを見て、それ以上の直視が出来なくなったデナンは咄嗟に目線を切り替えた。

 

「くそ!」ローズが悪態を吐く。「このままじゃ全員御陀仏だよ!」

「各個撃破しようにも数が多過ぎる。かと言って、この混乱した状況じゃ今一度防衛線を築くのは不可能だ」

「リーダー、こりゃ引いた方が良いんじゃないか?」


 スタークの提案は尤もだったが、デナンは即答を避けた。いや、正確には出来なかったと言うべきか。引くと言っても、既に四方の出入り口の先にはゴーレムが蔓延っている。それを掻い潜って強行突破出来るかと言われれば、正直なところ自信が無い。

 仮に全員が無事に強行突破出来たとしても、まだダンジョンの外へと続く通路を渡らなければならないのだ。体力的にも魔力的にも限界であり、脱出は絶望的であった。しかし、此処で弱音を見せれば仲間のモチベーションに悪影響を与えてしまう。デナンはグッと奥歯を噛み締め、弱音を胸中に押し込めた。


「引くにしても数が多過ぎる。この場に居る熟練者と協力し合って、ゴーレムの数を減らそう。逃げるならそれからだ」そう仲間に告げてからデナンは新米達の方へ振り向いた。「戦いに不慣れな者は中央に集まれ! 身勝手に動けば死ぬぞ!」 


 それまで逃げ惑っていた新米達は指針を見出したかのように、デナンの言葉に従って中央の空間に身を寄せ合った。新米達が一ヵ所に集まったことで巻き添えにする心配も無くなり、熟練者達は余計な煩わしさを覚えることなく戦いに専念する事が出来た。


「サポート魔法を使えるヤツは援護を頼む!」

「クソ、こっちの武器は駄目だ! おい、使っていない武器があったら寄越せ! 出来れば長剣をだ!」

「どうぞ!」


 生き延びるという共通した大前提の目的も働き、熟練者と新米者は息が合ったかのように協力し合いながらゴーレムの猛攻を耐え凌ぎ続けた。だが、如何せん消耗した体力と魔力はどうする事も出来ず、徐々に負傷者と犠牲者の数が増していく。

 そして十分後には猫の子一匹も通れぬゴーレムによる完全包囲網が完成し、デナン達を始めとする冒険者は閉じ込められてしまった。既に満身創痍な彼等に抗う力は残されておらず、まるで此方を見据えているようなゴーレム達の核を不安気に窺うばかりだ。


「はは、魔力も体力もない。こりゃ積みだね……」

「スターク、態々口に出すんじゃないよ」

「とは言え、最後にしては派手に暴れた方じゃないのか?」

「うう、私がもっと頑張って結界を張り続けていたら……」

「いや、リリアンは十分に頑張ったさ。勿論、皆もだ」


 『薄明りの希望』のリーダーとして最後を締め括ると、デナンは覚悟を決めた面持ちでゴーレムと向き合った。肉体も得物も既にボロボロだが、胸の内にある闘志は未だに燃え続けいた。いや、厳密には事此処に至っては最後まで戦い抜いてやるという、捨て鉢に近いものだった。

 だが、急にゴーレム達は何かに気付いたかのように中央に集めたデナン達から東西の出入り口へと振り返った。直後、西側の入り口からダイヤモンドの槍が押し寄せ、東側の入り口から炎の津波が押し寄せた。


「伏せろ!」


 我が身を庇うようにデナン達は頭を抱えながらその場に伏せた。鋭利なダイヤモンドが石畳を引っ繰り返す轟音が、ゴオオオッとジェット音のような唸りを上げて室内を舐め回す炎の音が、デナン達の頭上を埋め尽くす。

 やがて全ての音が止み、デナン達は恐々と顔を持ち上げた。目に入ったのは研磨されたダイヤモンドの壁、それが自分達を取り巻くように囲んでいる。そしてゴゴゴッと音を立てて壁は地面に吸いこまれるように埋没すると、東側と西側に見覚えのある冒険者の姿が現れた。


「ヤクトさん!」

「デナン、無事やったか!」


 駆け寄ってくるヤクト達とガーシェルを見て、デナンは緊張の糸が途切れたかのようにぺたんと座り込んだ。「大丈夫か?」とヤクトが不安げに問いながら手を差し出せば、彼は心底安堵した笑みを浮かべながら手を受け取って立ち上がった。


「いえ、大丈夫です。正直、本当にこれで自分の人生が終わるかと思ったら安心してしまって……」

「よう耐えたな」


 ヤクトに褒め称えられるように肩を叩かれ、デナンは安堵で込み上がった目尻の涙を人差し指で拭い取った。他の冒険者達も『三獣士』が応援に来てくれた事で生きて帰れるという実感を得たらしく、先程まで押し潰さんとしていた絶望は無く、寧ろ希望が溢れ返っていた。


「既に出入口までの魔獣は粗方始末しておいた!」フドウが声高に叫ぶ。「俺達はこのままダンジョンに潜って他の魔獣共の相手をする! すまんが、後の事は其方の自己責任だ!」


 冒険者達は満身創痍の身体を引き摺るようにして出口へと繋がる通路へと足を進めた。この戦いで多少の絆が得られたのか、それとも救われたという恩義があるからか、熟練者に肩を貸す新米の姿がチラホラとだが見受けられた。


「デナン達も一緒に此処から非難するんや」

「しかし、ヤクトさん達は……?」

「俺っち達はフドウはん達……三獣士達と一緒に下へ潜るつもりや。どれくらいの魔獣が発生したかは分からへんけど、これ以上を街へ出す訳にはいかへんしな」


 当然、その目的はダンジョンの暴走を食い止める為だが、そこら辺を説明し出すとキリがない為、ヤクトは敢えて尤もらしい理由を添えて真の目的をはぐらかした。


「しかし、四人……いや、五人だけで大丈夫ですか?」


 デナンは見覚えの無い五人目に眼差しを投げ掛けた。全身を自警団と同じ衣装で身に纏っているが、どうしてヤクト達や三獣士と一緒なのかという点が気掛かりだった。だが、彼の深追いを阻むようにフドウが進言した。


「安心しな。コイツ等の強さは俺達も重々承知済みだ。それにだ、戦力的に不安だと言ったところで其方が付いて来れる余裕なんざ無いだろ?」


 フドウに痛い所を指摘され、デナンは少し落ち込むように俯いた。確かに魔力も体力も無く、無理に付いて行けば却って足を引っ張るだけだ。すると、フドウはデナンの肩に手を置き、諭すように語り掛けた。


「別にお前さん達が足手纏いだとは言っちゃいねぇよ。それにだ、まだお前さん達には生き延びた連中を守るっていう役割があるんだ。そっちの方は任せたぜ?」


 デナンは大きく目を見開き、「はい!」と微かに上擦った声で返事を返した。だが、無理ない話だ。冒険者の中でもトップを独走すると言っても過言ではない三獣士の一人から直々に依頼されたのだ。冒険者ならば緊張するなというのが無理だ。


「ほな、せめてもの手向けに……ガーシェル」

『はい、聖水!』


 ガーシェルは二本の触腕から聖水のシャワーを優しく放出し、デナン達を始めとする『薄明りの希望』の面々に振り掛けた。白銀の輝きを帯びた聖水はみるみると傷を癒し、瞬く間に彼等を無傷な状態へと戻していく。

 また聖水には体力と魔力を回復する治癒に類する効力も付与されている。それを実感した面々は治癒された自身の肉体に驚きに染まった目線を落とした。


「これは……!」

「ガーシェルの聖水や。本当ならあの場に居た全員に掛けてやりたかったけど、流石に数が数だけに魔力の消耗が多くなりそうやからな。堪忍やけど、冒険者達の撤退は任せたで?」

「有難うございます。これなら冒険者を守りながら脱出する事も無理ではないでしょう」


 最後にヤクト達の武運と無事を祈り、そして改めて感謝を告げてデナン達はセーフティーゾーンを後にした。彼等の後ろ姿は通路の暗闇に呑み込まれるのを見届けると、ヤクト達は下層へと続く通路を目指して再び進み出した。

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