第24話 肉欲狂いの魔女と、狂気的絶倫を仕事に使わない魔導師

 モンス島のあるところに法に背くことと特定資格が必要なこと以外ならなんでも引き受ける魔女なんでも屋の女がいる。

 彼女は今回の依頼主が待つ、我々でいうビジネスホテルに相当するホテルの一室へ向かった。

 今回の依頼主は芸術家の男で、依頼内容は絵のモデルだった。

 おしゃべりもそこそこに絵を描きあげた彼は彼女への報酬として性的奉仕をする。

 彼女の知人の男達は、性欲が薄かったり、無自覚だったり、特定の女以外への性的関心が薄かったり、女に性欲持たなかったりな者が多く、数少ない例外との性行為があっても彼女はそれで満足出来なかった。

 それでこうして依頼主に情熱的に抱かれようと、彼女はこの仕事をしている――ただし依頼主が彼女との性行為そのものを依頼してきたり、諸事情で性的奉仕が出来ない場合は良心的に金銭を要求する――。



「……ね、ねえ、いち……、ど……、やす……も……?」

「いいけど、まだ三回だよ? 体力持つ?」

 彼は魔女なんでも屋に絵のモデルを頼み、性交渉ほうしゅうをfor youする最中、彼女の身体を気に入り、追加料金を支払い、ゴムありで十回――彼の射精を一回として――性交させてと契約し、今三回射精したばかりであるが、ケロリとしている。

 だが彼女の方は、どういうわけか、たった一度性交したばかりの彼に体外体内問わず性感帯を熟知され、巧みに焦らされたり攻められたりして彼の倍回は絶頂し、息も絶え絶えであった。

 しかも彼が息を吐くたびに彼女は性的快感とは別の、言葉にしがたい恍惚を覚えるし、彼が彼女に何か命じれば、その通りに身体が反応うごく。

 このことに違和感を覚えつつも彼女は、彼からの命令に心も身体も逆らえなかった。

 


 あれから二人で滅茶苦茶性交して落ちついた後、お互い服を着ながら彼女は彼にこう尋ねる。

「……あなた、本当にただの芸術家?」

「芸術家なのは半分……いや、四分の一ぐらい本当だよ」

 そんな中途半端な……という彼女のツッコミをよそに彼は続ける。

「ボクもキミと似たようなことをしてるんだ。違うのはNG依頼が、ボクとの性行為と子供を殺すこと、あと医療行為以外の特定資格が必要なことって所かな」

 話をする間に二人とも着替え終わり、彼がこう言いながら彼女に連絡先を書いたメモを渡す。

「そうそう、ボクとの性交ことが恋しくなったらここに連絡して?」

 微笑む彼からメモを受け取った彼女は、知り合いも連れてきていい? と口にする。

「いいね、男も女も肉欲狂キミとおそろいにしてあげるよ。それじゃあね、肉欲狂にくよくぐるいの魔女こと

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