#003 戦の女神のプロファイル

#003-第一話「HDKエプロン」

 絶望的な気分で風呂から出ると、リオさんが裸エプロンで出迎えてくれた。


 裸エプロン……!?


 思わず二度見する。


 間違いない。裸エプロンというヤツだ。丈の短いエプロンから、生足が生えていた。上半身も大事な部分こそ隠れているが、脇や鎖骨がもろに露出している格好である。


「サクっと作れるものってことで、親子丼になっちゃったけど」

「え、うん、それはいいんだけど、その、裸エプロン……」

「あは♡」


 リオは天使の微笑みを浮かべる。そしてニッと口角を上げると、くるりと一回転した。


 まぁ、なんていうか? 背中からお尻まで全部丸見えですよね。もうね、今すぐ押し倒したいとかそんな事すら考えるよね。アハシマとをしたばかりだというのに、しょうもない。


 ……でも、これも全部アハシマの力のなのか? あいつなしでは失ってしまうのか? 冗談じゃない、失ってたまるかって。リオは、俺のものだ。そして、俺は、リオのものだ。


「リオ……!」


 俺はリオに駆け寄ると、その華奢な身体を力いっぱいに抱きしめた。リオは驚いたような声を上げたが、抵抗はしない。リオの全身を感じ、その唇を感じた。絶対に失ってはいけない感触、忘れてはならない感覚。それを意識と記憶に刻み込むために、俺はリオの唇をむさぼった。


「どうしたの? 何かあったの?」


 抱かれながら、リオは俺の頬を手で包む。


「ハルくん、泣いてる」

「え……」


 言われて気付いた。視界が歪んでいる。不規則に揺れている。


「だいじょうぶだよ、ハルくん」


 リオは俺の頭を撫でながら言った。


「ハルくんは負けない。信じて良いんだよ、自分を」


 それでも。


 リオや姉ちゃんの身に何かが起きるかもしれない。だったら……。


「ハルくん。悩む前に、まず相談だよ。とりあえずさ、せっかく作ったんだし、ごはん食べよ。そしてゆっくり考えよう?」


 リオはもう一度俺の唇にキスをして、そして「んしょっ」と声を掛けながら身体を離した。そして寝室に引っ込むと、白いTシャツに黒いジーンズを穿いて現れた。


「さすがに真面目な話しようかって時に裸エプロンはないかなーって」


 俺の愛しい人は、はにかみながらそう言った。

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