#002-第二話「シャワーをトゥギャザーしようぜ」

ものの十分少々で地下鉄は終点・麻生あさぶ駅に到着し、俺とリオは帰路についた。レノレノ先輩もマリア先輩も別れ際は淡泊だった。


「四人で十分だったかもね。盛り上がりすぎて疲れちゃった」


 朝から続く豪雨の中、一歩先を行くリオが声を張ってそう言った。気持ち大きな声で喋らないと聞こえないくらいに雨音がすごいのだ。


「今日もハルくんのうちに泊まっていいカナー?」

「ん? それは別にいいけど」

「お、いいねいいね」


 リオは再び鳴り始めた雷を気にしながらも、ニヤニヤした顔を向けてくる。


「同じお布団で寝てもいい?」


 そう問われて、否と答えられるはずもない。俺はリオの左手を右手で握る。そしてそのまま、雷鳴と雨音の中を無言で歩き続ける。膝から下などもはやずぶ濡れである。リオさんの生足が冷たそうだ。


「ちょっと急ごうか。寒いでしょ」

「う、うん。ちょっときびしーくなってきた」


 いわんこっちゃない。健康的で魅惑的な生足ではあるのだが、この天候の中では見てる方も寒い。心配になってしまって、での観測ができなくなってしまう。だがしかし、濡れた生足は、やはりそれはそれで実に良いものである。せめて気温が高ければ……! こういう時は、ここが北海道であることを少々恨めしく思わないでもない。


「早くおうちに帰ってシャワーを浴びて温まりたいなり~!」

「なり~って……」


 まぁ、敢えては突っ込むまい。


 そんな具合にして、雨と格闘すること十数分。俺たちはずぶ濡れになりながらも、何とかして俺の家の玄関前に辿り着いた。途中で(傘は閉じてしまって)全力疾走したこともあって、二人ともぜえぜえと息を切らせているという始末だった。


「はーるくん!」


 玄関に入るなり、リオが俺に抱き着いて、キスしてきた。濃厚なヤツだ。


「リオさん、風邪ひいちゃうよ」

「シャワー浴びよ、シャワー」


 リオは玄関を上がると、俺の手を引いて浴室へと導いていく。っておい。


「ちょっと待って。リオさん先にシャワー浴びなよ」

「何を言ってるの。ハルくんだって風邪ひいちゃうよ」


 そう言いながら、脱衣所に入ったリオは、ちゃっちゃと服を脱ぎ始めてしまう。


「さ、ハルくんも脱いで♡」


 すっかり下着だけになったリオが、俺のシャツに手を掛ける。


「えーい♡」


 凄まじい手際でシャツとズボンを脱がされ、俺はパンツ一枚だけの姿にされてしまう。身体がすっかり冷えてしまっていて、ぶるっと震えが来たほどだ。


「一緒に入ろ♡」


 いつの間にか一糸纏わぬ姿になっていたリオに抱き着かれる。冷たいその身体を感じながら、だがしかし、冷え切ったはそれどころじゃなくて。


 ええい、もう、ままよ!


 とりあえず温まりたいというのはもう純粋に本心から出る欲望であって、リオの蠱惑的なボディ云々は二の次だった。

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