復活の会のアジトを探す事になったのよ!

 私は箕輪まどか。中学生の美少女霊能者だ。


 え? どうして美少女って入れたのか、ですって?


 みんなが忘れてしまうからよ。


 タイトルにもあるでしょ、私は「超絶美少女」なのよ!


 ああ、血迷ってしまった……。恥ずかしい……。


 


 復活の会が大がかりな方法で仕掛けて来た。


 一計を案じた私の彼の江原耕司君のお父さんである雅功さんは、放課後に私達を江原邸の道場に招集した。


 私、江原ッチ、綾小路さやか、親友の近藤明菜の彼の美輪幸治君。


 そして、クラスの副担任でもある椿直美先生。


 美輪君は霊能力はないけど、以前サヨカ会の残党が使ったりんの攻撃を受け付けないという特殊能力を発動した。


 雅功さんが美輪君を調べた結果、美輪君には広い意味での霊能力があるらしい事がわかったのだ。


「心強いわ、美輪君」


 椿先生にそう言われて、美輪君はデレッとした。


「いやあ、そうれほどでも……」


 明菜が見たら、絶対零度で攻撃されるぞ。取り敢えず、写メで送っておこう。


 早速携帯を操作する。


「ま、まどかちゃん、何してるの?」


 それに気づいた美輪君が蒼ざめた顔で尋ねて来た。


「明菜に定時報告を……」


「○嶋屋の焼きまんじゅうで勘弁して!」(注:焼きまんじゅうはG県名物です)


 美輪君は土下座して頼んで来た。


「私はそれでいいけど、江原ッチはどうかなあ」


 江原ッチも送信しようとしていた。


「江原、てめえ、そういう事するなら、あれをまどかちゃんに見せるぞ!」


 美輪君が反対に脅し始めた。ビクッとする江原ッチ。


「わ、わかったよ……」


 江原ッチは送信をやめた。


「お前、データ消せよな」


「わかったよ」


 渋々画像を削除する江原ッチの背後に立ち、


「私に見られて困るものって、何かしら、江原耕司様?」


と囁いた。


「い、いえ、そんなものはございません」


 江原ッチは汗まみれで否定した。


「ほらほら、騒いでいないで」


 椿先生が言ったので、私は仕方なく並べられた椅子にさやかと隣り合って座った。


 その隣に江原ッチ、美輪君と座る。


「相変わらず、仲がよろしい事で」


 さやかがコソッと言った。


「ええ」


 私は苦笑いして応じた。


 道場に雅功さんが入って来た。その隣に椿先生が立つ。


「お集まりいただき、ありがとう、皆さん」


 雅功さんが頭を下げたので、私達もお辞儀をした。


「復活の会の活動が活発になって来たので、こちらとしても対策を変更したいと思います」


 雅功さんが言うと、江原ッチが、


「どういう事?」


 雅功さんは私達を見渡して、


「今まで我々は、復活の会が現れるとそれに対応するという方法で戦って来ました」


 私達はそれに頷く。


「しかし、それでは追いつかないと思われる事件が、先日起こりました」


 雅功さんが言っているのは、G県警占拠事件とR町の宝石店の強盗事件だ。


 復活の会は同時多発的に事件を起こした。


 今までのように現場に駆けつけて対処するのでは間に合わない可能性がある。


「ですから、今後は、復活の会のアジトを探し出し、潰して行く作戦に変更したいと思います」


 雅功さんが言うと、また江原ッチが、


「アジトって何?」


と小声で私に訊いて来た。私はさっきの事があったので、


「貴方には教えたくありません、江原耕司君」


と返した。江原ッチは泣きそうになった。


「ホントは知らないくせに」


 さやかがボソッと呟く。


「……」


 私はさやかを見てまた苦笑いした。その通りだからだ。


「場所の目星はついているんですか?」


 美輪君が尋ねた。おお、美輪君てば、アジトの意味がわかってるのね。


「先日捕縛した復活人に取り憑いていた女を取り調べて、場所を解明したんだ」


 雅功さんは美輪君を見て答えた。


「どこなの、それ?」


 江原ッチが尋ねる。雅功さんは江原ッチを見て、


「G県の中では、H山だね」


「H山?」


 そんな身近にあるとは思わなかった。H山は私達が住んでいるM市からほんの十数キロなのだ。


「しかも、G県はサヨカ会の最後の残党達も狙っているらしく、両者の間で争いがあったようだ」


 私達はその話を聞いてギョッとした。


 サヨカ会までG県を狙っているの?


「両者が潰し合ってくれればいいなどという消極的な事は考えない。サヨカ会の残党も脅威だが、今は復活の会の方が急を要する脅威だ。叩ける時に叩いておかないと、後で大変な事になる」


 雅功さんは凛々しい顔で言った。


 それをジッと見つめている椿先生。


 尊敬の眼差しというより、愛情を感じてしまうのだが……。まさかね。


 復活の会のG県のアジトを叩くのは次の日曜に決まり、会合は終了した。


 私とさやかは、江原ッチと美輪君を見送って部屋に戻ろうとした。


「まどかさん、さやかさん」


 椿先生に呼び止められた。


「何でしょうか、先生?」


 私とさやかは見事にハモって言った。すると椿先生は顔を赤らめて、


「誤解があるようだから説明しておくけど、私は江原先生に恋愛感情を抱いたりしていませんからね」


 さすが椿先生、私とさやかが何を思ったのか見抜いていた。


「はい」


 私とさやかは顔を見合わせてから返事をした。椿先生はムッとして、


「信じてないわね。本当に違うんだから!」


とますます顔を赤らめる。バレバレだ。でも、相手は結婚している人だからなあ。


「もう、違いますからね!」


 椿先生は真っ赤な顔のまま、プリプリして廊下を歩いて行った。


「ホントはどうなんだろうね、さやか」


 私は椿先生が廊下の角を曲がってから尋ねた。


「恋愛感情じゃないけど、憧れ以上ね」


 さやかは難しい事を言った。


「ふーん」


 椿先生は真面目な人だから、雅功さんの奥さんの菜摘さんと険悪な事にはならないだろうけど。




 復活の会やサヨカ会以上に気になってしまうまどかだった。

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