いけず

作者 氷月あや

沖田総司、病床にて。

  • ★★★ Excellent!!!

沖田総司というのは美しいひとである。

容貌が美しかった、という話ではない。
(史実における彼の本当の容貌については論じない)

彼は新選組に最強とも謳われる剣士でありながら、
斬り合いの中で死ぬることもなく、戦場に潰えることもなく、
ただ、肺を病んで儚く死んだ。

こんなに美しく死んでいった剣客は、日の本の歴史にも他にそうない。
故に、その死にゆくさまは、
彼の死から来年でちょうど百と五十年になるという今日においてなお、
多くの人々の想像を掻き立ててやまない。

この物語の中の沖田は、既に病篤く、もう剣を執ることもない。
その生と死のはざまの淵に立って、
一人の少女が、ただ切々と沖田のことを想っている。

沖田総司は、ただ涼やかな眼で少女を見、
そして、己の死と向かい合っている。

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