第675話 キャンプの中で見た現実

―――――――――――――――キャンプ場



 川へと向かうと悠一はさっそく日陰のある場所に座り水分を補給用のボトルに口を付けていると。

川では耀子や由里達が元気よく水をかけ合い楽しそうな声を上げている中で涼孤が誰にも気づかれないよう悠一の隣に座り声をかけてきた。




「どうだ調子は?顔色を見たところ気分は悪くなさそうだが・・・・」

「みんなのおかげで体調は良くなってるかな。

水分補給と塩飴を食べて日陰でゆっくりさせてもらったけどまだ激しく動けるかどうかちょっとわからない感じだ。

―――――――――えっと・・・姉さんは由里たちと遊ばないのか??」

悠一はここへ来た事よりも目の前で楽しそうに遊んでいる由里達に混ざりにいかないのかと問うと涼孤は少し顔を曇らせ悠一を倒れさせてしまった事について謝りたいと言い出し。

悠一はそのまま涼孤の言葉をまずは聞こうと耳を傾けた。




「さっきのアスレチックでの事なのだけれど・・・私の不注意と体調管理ができていなかったばかりに悠一が倒れるようなことになってしまって本当にごめんなさい。

私がずっと悠一を見てたのに見ないといけなかったのに・・・本当に本当に・・・」

「姉さん、そんなに謝らなくても・・・これだけ楽しいキャンプなんだしちょっとくらいハメを外して遊んだらこうもなるって事だな。

それに俺じゃなくても誰かがこうなってたかもしれないと思うと俺でよかったとも俺は思う。

だからこうしてみんなが注意してキャンプを楽しめるのならさ。

だから姉さんにも最後の最後までキャンプを楽しんでほしいから由里たちと一緒に遊んでもいいんだ。

それにさっきからアイリスたちがこっちに手を振っているけど返さなくていいのかな??」

悠一は涼孤から川の方でこちらに手を振っているアイリスや耀子たちの姿を見ると涼孤にどうするのかと尋ねたがその答えはすぐに出ていた。




「もちろんこのキャンプは最後の最後まで楽しむに決まっている。

だがそれは悠一も一緒にだ・・・だから早く体調を整えて水遊びに来るんだぞ?

―――――――――あぁ、今いくから待っていてくれ。」

「そうだな・・・もう少し日陰で休んでからになりそうだがそうさせてもらおうかな。」

悠一の答えを聞いた涼孤はアイリスたちへ返すように手を振り移動していき。

その背中を見送るかのようにして悠一はボトルに再び口を付け塩飴を口に含みカラコロと音を鳴らしていた。




「えぇ~い!!!わッ冷た!?

やったなぁ~~おりゃぁおりゃぁ!!!」

「耀子も彩花さんもみんなびしょ濡れになっちゃえ!!!

あははは!!!それそれぇ~~あぁ~こんなに楽しいのも今日で最後だなんて本当に寂しいね。

もっとこうやってみんなと一緒に何かをして過ごしてたいけれど・・・・コレ以上は私のワガママになっちゃうよね。」

「そうね、だけどアイリスの言いたいこともわかるわ。

楽しいことがずっと続けばいいそう願うのも悪くはないけれどその先に待つもっと大きなイベントが私たちを待っていると思うと立ち止まるのも勿体ないというものよ。

それにこのキャンプが終わったとしても私たちはグロリアでずっと繋がっているのだから悩むことも何にもないわよ。」

「でも戻るとなると私は課題のレポートをしなくちゃならないと考えると少し憂鬱ね。

アルバイトもあるし・・・本当に進路はしっかりと考えた方がいいわよ?

少しだけ先を行く私からの心の言葉と受け取ってくれれば嬉しいわ。」

「彩花さんも色々と苦労しているということだな。

私も今年には新たな進路を決めて進まないといけないから頑張らないとだ。」

涼孤は彩花の言葉を聞いてやる気をチャージする傍で耀子は夏休みの宿題をどうするべきかと悩んでいる様子で・・・・頭にぴかっと何かが閃いたのか由里にキャンプが終わったら勉強会でもしないかとコソコソと話すと由里はどうしてコソコソ話すのかと尋ねた。




「そ、そりゃ・・・アイリスたちが来られるかわからないしちょっとだけ気を使ったんだよ。

コトハは宿題何て一瞬でやってそうだけどねぇ・・・・見せてもろっかなぁ・・・」

「そう言って私が見せるとでも思うのかしら?

宿題なんて1学期のおさらいのようなモノなのだからパパッとやればすぐに終わるわよ。

一分一秒も無駄にしていい時間なんてないのだから耀子も少しは頑張らないとこの先の進路に響くわよ?」

「あはは・・・私も戻ったらしっかりと宿題をするつもりだから一緒に勉強会をするのは歓迎だよ。

わからないところがあったら教えるしこの際だからアイリスちゃんもコトハちゃんもよかったら一緒にどうかな??」

「私?みんなの勉強の邪魔にならなかったら良いのだけれど・・・こんなに一緒にいて迷惑とかじゃないかな?」

「いいんじゃない?私は大学の情報保管室で調べないとできない事もあるから時間が合うかわからないけれど合流できそうだったら一緒に勉強しましょ。」

勉強や宿題の話になった途端、水遊びが止まり現実の話を濃密に語る空気に耐えられず耀子はキャンプモードに戻すべくコトハや由里に対して水鉄砲で水を放射すると2人も負けていられないとやり返し・・・・いつの間にかその流れは彩花達にも及んでおり再び水の掛け合いが始まった。

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