第671話 キャンプ最後の昼食

―――――――――――――――キャンプ場



 調理を開始してから数分後、アイリスや耀子も自分たちで卵を焼き上げケチャップライスと混ぜオムライスを完成させると。

悠一が休んでいるテントへと運びテントの前に到着し代表として耀子は由里たちにオムライスができた事を伝えるために中へ入ると悠一はすっかり夢の中という状態で眠っていた。




「由里ぃ~~ゴメン・・・みんなで作った超うまいオムライスができたんだけどさ??悠一はどう??食べれそう??」

「ん~眠り始めてからそんなに時間は経ってないからどうかな・・・

だけどすごくいい表情だからもう少し寝かせてあげた方がいいかもしれないかな。

だから耀子たちは先に食べてていいよ?私は悠一君が目覚めるまでここで・・・・」

「そうはいかないわよ?

だってそんなことしたら次に倒れるのは由里になるわよ。

だから悠一はそこに寝転がしといて起きてる私たちは先に食べちゃいましょ。」

「彩花さんの言う通りよ。

健康な人だからこそ病人を見れるわけだから私たちが倒れる訳にはいかないでしょ。

それに由里が倒れえたら悠一は自分の責任だと思うと思わない??」

「由里さん・・・一緒に食べよ??由里さんだってお腹空いてるでしょ?」

「さぁ悠一はこのまま静かに寝かせておいて食べようじゃないか。

皆で作ったオムライスは耀子が言った通りすごくいい出来なんだ。

冷める前に食べてしまわないとな。」

「すんすん・・・・いいニオイだな・・・・」

涼孤たちに連れ出されていく間際に悠一は匂いで目覚め、その声を聞き洩らさなかった由里はテントの中へ戻り悠一の顔を一目見ると泣きそうな顔をして喜び悠一にへと飛び込んでいた。




「あはは・・・まだ完全じゃないんだがこれだけ由里に心配させたってことだな。

その、看病してくれてありがとな・・・それにしてもお腹が空いて目がクラクラだ。」

「もう悠一君は・・・すごく心配したんだからね。

―――――――――――でも・・・本当に良くなって良かった。」

「オーイ、なにを親密に抱き合ってるのかなぁ??私たちが見てるってことに気が付いてない系??それとも見せつけちゃってんのかなぁ???

それはそうと・・・悠一に食欲が戻ったという事は私たちの作った特製オムライスを食べてもらわないとね。」

「とかなんとか言ってるけど私たちの作ったモノと言えばオムライス用のソースとオムライス用の卵を焼いた程度だけれど。

悠一の口に合えば・・・いいのだけれど・・・」

「アイリスちゃんは行かなくていいのかしら??

それとも恥ずかしくて行けない??ついて行ってあげようか?」

「大丈夫、その・・・悠一が元気になってくれて嬉しいだけだから直接言うようなことでもないと思うから・・・えへへ。」

「そうだな・・・ならばアイリスは悠一たちにこのオムライスを渡してやってくれないか??

――――――――――それともな??」

涼孤の言葉にアイリスや耀子たちは持ってきていたオムライスを悠一たち全員に手渡すとアイリスはデミグラスソースの入った小さな鍋を持ってテントの中へ入り何やら恥ずかしそうな顔をしながら・・・・




「彩花さんから教えてもらった風習?とかいうのをやるね??でも絶対に笑わないでよ?初めてだから・・・えっと確か・・・おいしくなーれおいしくなーれ元気エナジー注入!!!えいッ!!よし・・・ミスせずに言えたけどどうしてみんなそんな顔を・・・・もしかして・・・・わわわわ私からかわれて!?」

「ぷふッ・・・ごめんごめんアイリスちゃん。

悠一を元気させたいって言うからちょっと違うベクトルからのアプローチを考えて教えたのだけれど・・・まさかの虚無リアクションになるなんてねぇ。

ん?あれ?何かすごく重くなっているような・・・・あぁ!?アイリスちゃんソース入れすぎよ!?」

「彩花さんのおもちゃにされるアイリス・・・何と言うか新鮮というか可愛かったね。

お嬢様って風習とかいう言葉に弱いのかな??」

「きっとそうじゃないの。

あれだけ真剣な顔で唱えてたんだものこれからの食事の際にも取り入れてもらいましょ。」

コトハたちは張本人である彩花の皿が波打つくらいにまで注がれたソースを見ながら呟くと。

謝罪に応じたアイリスは一番顔を合わせにくい悠一の元へとやって来るとどれくらい必要かと聞いてきた。


「そうだなせっかくだし貰おうかな、量は適量で頼む。

あとさ・・・心配してくれてありがとな。

それにさっきのは驚いたけどアイリスは何でもできるんだな。」

「ッ!?も、もうさっきの事は忘れて!!!

じゃないとソースを彩花さんのようになるまで入れちゃうよ!!!

もう・・・本当に私に好きな事ばかり吹き込んで・・・グロリアで酷いんだからね・・・・」

「プリプリ怒ってないで私のオムライスにもソースをかけてかけてぇ~」

「私もそこまで多くはいらないから適量でお願いよ。

――――――――――のアイリス。」

コトハは悪い顔をしながら呟くがコトハには逆らえないという何かがアイリスの手を固定しソースをかけアイリスの役割が終わると準備に時間がかかったがついに昼食が開始された。

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