第670話 体調の回復と最後の仕上げ
―――――――――――――――キャンプ場
やる気に満ち溢れた涼孤がフライパンを温めて待っていると、涙を拭きとりながら切った玉ねぎを持ってやって来たアイリスたちが戻って来ると。
耀子とコトハはすぐさま飯盒に取り掛かり涼孤は早め早めの行動をするためにと考えてはいたが飯盒の炊きあがりタイミングがずれてはいけないと慎重にタイミングを窺い・・・・
「よし、飯盒から泡が噴出してきたこのタイミングで調理を始める。
まずはアイリスが下ごしらえしてくれた玉ねぎを炒め・・・次に鶏肉の順番で調理していくから脂が跳ねるから気を付けてくれ。」
「あちち!飯盒部隊の方にまで脂が飛んできてるんだけど!?
ふ~ふ~もう・・・けど涼孤さんメチャ張り切ってんね。」
「そりゃ・・・さっきまですごかったから仕方のないことよ。
それに私たちも悠一には元気になってもらわないと今後に支障が出るかもしれないし体調はしっかりと完全にしてもらわないとだわ。
飯盒はアイリスもついててくれるから問題ないと思うから私は少し2人の様子を見てくるわね。」
「うん、戻ってきたらその・・・・悠一の容体を教えてね。
私もこう見えて少しは心配してるから・・・執事に連絡すると病院に運んでくれるとは思うけれどそんなことをしたらせっかくのキャンプが台無しになっちゃうからそれは最終手段ということでだから状態が悪ければ頼ってもらっていいから。」
アイリスたちの言葉を聞いたコトハは由里と悠一の2人でいる救護用テントと化しているテントの前で声をかけると中から声が聞こえ入ると・・・・
「今から悠一君の体をこのウォッシュペーパーで拭こうとしてたの。
ちょっと手が足りないからコトハちゃん・・・手を貸してくれたらすごく助かる。」
「あはは・・・すまない・・・水を飲んでから汗が止まらなくてな・・・」
「ハァ・・・本当にグロリアならスペルですぐに疲労は取れるのにリアルは本当に面倒ね。
わかったわ、耀子たちに妙なスイッチが入っちゃう前に片付けちゃいましょ。
私は背中を担当するから由里は前をお願いね。」
コトハは由里のサポートとしてテントの中へと入り悠一の服を脱がして体の汗を拭きとり終えると綺麗な服を取り出し着せ替えると悠一はさっぱりしたと言う顔をして落ち着き。
ぼそっと2人にありがとうと呟くと・・・コトハは状態が安定しているという事を察し悠一に食欲はあるかと聞いた。
「そうだな・・・このまま水を飲んで体を冷やせば食べられそうかな。
―――――――――――だからそれまでちょっとだけ眠る・・・・」
「寝ちゃったね・・・さっきよりも熱は下がってるみたいだからコトハちゃんには助かったよ。
あと、私も調理に参加したかったのだけれどさぼっちゃってごめんね。」
「そうね、それはいけない事だけれど悠一をこのまま1人にもできないしましてや他の誰かに任せるのも不安だから由里がこうして看病しているのが妥当じゃないかしらね。
私も耀子とアイリスが飯盒を焦がしていないか少し不安だから戻るわね。
それじゃ引き続き悠一を頼むわよ。」
コトハは由里の小さく返事を返してテントから出ていくと涼孤はすでに鶏肉を炒め終えておりあとは飯盒で白米が炊き上がるのを待つだけとなっており。
テントから出てきた耀子に悠一の容体を真っ先に問いかけていた。
「ゆ、悠一の容体はどうだった??熱にうなされて私の事を呼んでいなかったか??水は足りているか??足りなければ私が運んで・・・・」
「落ち着いて涼孤さん、水も足りてるし悠一の容体はかなり良くなってるわ。
それにさっき眠ったところだから静かにしてあげないといけないから静かにした方がいいわよ。」
「そう、悠一の体調がよくなっているのなら良かったわね。
涼孤さんもコレで肩の荷が下りたという事でここからスパートをかけてオムライスを完成させないといけないわね。」
「よし!!涼孤さんタイミングバッチシの白米を投入可能だぜ!!!
いつ入れる??今??今入れていいよね!?」
「耀子落ち着いて。
それに一気に入れちゃうと溢れちゃうから優しく少しずつだよ。」
さっきから悠一の容体が気になってそわそわしっぱなしの耀子は話を聞いただけでは納得できず暴走気味な動きをしているとコトハは耀子の頬に手を当て・・・落ち着くようにと声をかけた。
「耀子の気持ちはわかるから今は悠一が休んでるから少しだけ静かにして上げなさい。
それにオムライスが完成したらみんなでテント前で一緒に食べたらいいじゃない。
だから完成までは静かに作業をしてあげることが大切じゃないの??」
「うぐぅぅ・・・むぅぅ・・・うん、わかったよ・・・コトハの言う通りだね。
すっごくすっごく気になるけど悠一が今一番安心して休めている状態なのなら・・・私たちが騒ぐとかえって迷惑だったらそうするよ。
涼孤さんごめん・・・その、いてもたってもいられなくって・・・」
「あぁその気持ちは私も痛いほどわかるから謝らなくていい。
それどころか悠一をここまで心配してくれている耀子や皆がいると思うとすごく安心した。
だからココからの仕上げはみんなで作ろうじゃないか。」
そう言って涼孤はオムライスのメインともいえる卵焼きをみんなで作ろうと提案するとアイリスに彩花も何かを問うようなことはせず調理に参加し卵の調理を開始した。
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