第668話 唐突なスピン

―――――――――――――――キャンプ場



 負けた悔しさから耀子は次も誰かと滑ると言い出すとその言葉にやっと準備ができたアイリスが返事をし。

マットを片手に準備をして待っていると耀子が到着するまでに人数が増えており彩花に由里も一緒に滑るといって並んでおり耀子は何人でも相手をしてやると言って準備し同じようにスタートの合図を待っていた。




「ちょうどいい所に悠一がいるしスタートの合図は悠一に任せるよ。

それにこの戦いはある意味負けられない戦いだよ。

由里にアイリス・・・そして彩花さん・・・絶対に勝ってやる!!!

だから悠一は私の姿をしっかりと目に焼き付けておいてくれていいからね!!!」

「こらこら、アイリスもいるんだからあんまりそう言う独占するようなことを言っちゃだめじゃない。

アイリスにも意地とか見られたいという願望くらいあるのだからね。」

「えぇ!?わ、私は別に誰かに見せつけたいとかそう言うのはないよ!?

だって・・・悠一は由里とつ、つつつ付き合ってるわけだから・・・うん・・・でも・・・ふわぁ!?違うから見ないで!!!」

「あはは・・・悠一君、そう言うわけだからスタートの合図をよろしくね。

私たち全員の滑りを一瞬も見逃さず見ててね。」

由里たちも準備はバッチリという事で悠一は表情を変え、真剣な顔でカウントダウンし・・・・スタートが切られると由里たちは一斉に滑り熾烈な追い抜き合いが始まった。




「スタートが切られて由里と耀子が同じ位置にいるのか。

先ほども中々の滑りだったけれどこの坂滑りもグロリアの鍛錬と同じように何度も滑ることによって腕が上がるといったところか。

ついに耀子が由里を抜いて1位になろうとしているがそのまま独占できるかな??」

「そうだな、後ろには彩花とアイリスの伏兵・・・コレは気を抜くと2人に横取りされるかもしれないな。」

「横取りじゃないわ、コレは戦略よ。

勝つための作戦だから横取りという卑怯者の言葉を出さないでくれるかしら?

これも彩花さんたちと考えたなのだから。」

「ぐぅ・・・もうダメェ・・・コレ以上スピードも上がらないし・・・・何回も遊んでる耀子がやっぱり上手だったのかな・・・」

「由里さん!!あとの事は任せて!!!由里さんのその気持ちを持って私は勝つから!!

彩花さん・・・本当に例の作戦で行っちゃう感じなの??」

「えぇもちろんじゃない。

これもコトハと考え抜いた作戦であり誰か耀子を抜き去るためのスキルのようなモノなのだからアイリスが私たちの代わりに勝って耀子をぎゃふんと言わせてやりなさい。

だから準備を始めるわよ・・・さぁ私の前に付きなさい。」

「あ~ッはっはっはっは!!!これであたしの勝利は確定ッ!!!誰も私の前にいない事から断言できる!!!勝った!!!私の勝ちだよ!!!

――――――――――――――んんんんん!?!?ナニ!?さっきのぎゅんッ!!てヤツ・・・もしかして・・・あんにゃろめぇ~~~アイリスと彩花さんめ図りおったなぁぁあぁぁぁぁあぁ!!!!」

耀子は勝利を確信し蛇行走行をしてアピールしているとその隣に勢いよく何かが滑り抜いたと感じ・・・後ろを振り返ると彩花と由里の2人だけだと認識すると。

再び前へと視線を向けた途端、そこには先ほどまでいなかったアイリスの背が見えていた。




「ハァハァ・・・何とか成功したようね・・・・

コトハと考えて編み出した技・・・キャノンブースト作戦が・・・」

「キャノンブースト・・・うん、その名前は正しいかもしれないね。

まさか彩花さんとアイリスの足をくっつけて弾き飛ばすなんて・・・想像もつかない技だよ。

それにその技もあってアイリスちゃんは本当に1位になってる!!すごいよ2人とも!!」

「ぐあぁぁ!!!そこをどきなってアイリス!!!1位は私だけのロードなんだよ!!ビギナーのアイリスにはまだまだ早いからそこをどいて・・・・ね??悠一も見てるしさ??1回くらい堂々と勝つ私の勇姿を見させてよ・・・」

「ん~ダ~メ。

これも彩花さんとコトハさんに由里さんの意志を受け継いだレースなのなら譲るなんてことはできない。

だから私はこのまま1位でゴールするよ!!!

―――――――――――――――――いっけぇぇぇ!!!!1位は私たちのモノよ!!!え!?きゃぁぁあぁ!?」

「まさかあのタイミングで・・・悠一ッ!!!」

「わかってるすぐに救助に出る。」

きゃぁアイリスはゴールラインを超えるか超えないかのあたりで草によってスリップし転がり落ちてしまい。

ゴールはしたもののアイリスは草のじゅうたんの中で起き上がれず倒れていると耀子たちも到着次第すぐにアイリスの方へと駆け寄り意識があるかケガはしていないかと声をかけると・・・・




「うんんん・・・大丈夫、これもプロテクターのおかげだね。

それに私たち勝ったよ・・・悠一も見ててくれたかな??」

「あぁしっかりとみんなの戦いを見させてもらった。

最後のスピンで肝を冷やしたけど無事でよかった。」

「あ~あ・・・あのままいければ勝てると思ったけれど。

まさか最後の最後でアイリスたちに抜かされるなんて甘かったのはあたしの方だったね。

で、ケガが無ければだけどさ??もう一回みんなで滑ってみない??

今度は悠一たちも含めてさ??」

「うむ、それもアイリスの具合次第だが・・・聞くまでもないというほどに元気でやる気満々だな。

よし・・・そう言う事なら私も参加させてもらおうかな。

由里達にコトハもしっかりと参加するのだぞ?」

アイリスの具合も問題ないとわかると最後の坂滑りという事で全員でレースをすることになり悠一たち全員はマットを持ち位置につくのであった。

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