第624話 修練の戦いへ

―――――――――――――――古代の遺跡後地



 ユキシロはムクロの隣で服を引っ張りながら自分の方を向かせるとにっこりと笑みを浮かべて新しく作ったグローブの出来栄えを見せ。

ユリハもこの場で初めて装備しているのを見たと興味津々に見ておりレイも不思議な効果を解き明かすためにユキシロの許可をもらい確かめていた。




「やはり戦闘中で特定条件を達成しない限りアビリティが見られないですね。

攻撃力の上昇値やそのほかのステータス補助は前回まで使っていたものと比べてはるかに性能は高く放っておりますがアビリティが全てこの謎のモノだけというのもどうしたモノでしょうか・・・」

「ん~だけどさっきの戦いでもユキシロはファムとすごくいい動きをしてたからそれだけ良い効果が発動するんじゃないかな??

私のこのヴァレンシアはもっと過酷な戦闘を想定して作りだした武器だから少し重いけどすぐになれるようにするからね。」

「ふむふむ・・・のじゃ!?確かに少し重いのじゃ・・・・

こんな武器を振り回しておるとユリハの腕の筋肉はムキムキに・・・のわ!?」

「あはは・・・それは禁句だったらしいな・・・

それにしても2人ともの武器が想像以上にこだわって作っていて俺が口を出すこともないな。

それにユリハもユキシロもきっと自分が作った武器の悪い部分もしっかりと見つけているだろうしさ。

でもユリハの腕は少し筋肉がついて来てるかもしれないな。」

ムクロがユキシロの言ったように腕の筋肉の事を呟くとユリハは恥ずかしそうに腕を隠したがその後方からはレイの魔の手が伸びておりユリハの腕をむにむにと触っていた。



「もう・・・レイちゃんも酷いよ~腕はいつもと同じで大丈夫だから。

それに武器を振り回してるくらいですぐに筋肉になったりしないでしょ??」

「ん~プレイヤーの頑張り次第で早まるからユリハの場合だとすぐかもしれないしどうなんだろうな・・・アハハ。」

「アタイだけが筋肉系キャラじゃと寂しいのじゃ・・・じゃからユリハも筋肉を付けてアタイの仲間になってほしいのじゃ!!」

「と、言っておりますがユリハはどうしますか??

私はご主人様が望むのなら筋肉でも駄肉でも何でも増やして見せます。

それとももう少し胸に脂肪を集めた方がよろしいでしょうか??」

レイの暴走をムクロはそっと手で口を押えて止めるとミストたちが遅いと気になりユキシロに向かわせると丁度終わったばかりなのか3人揃ってムクロの前にやって来ていた。



「お待たせ・・・少し長くなっちゃったけどキンの所で買ったクスリが効いてすごく快調だよ。

またクスリを買っておかないとだね。」

「じゃのぉ~キンのアイテムは効果はいいのじゃが少し高いものと安いもののバラツキがすごくて大変なのじゃ。」

「だが効果が良いのならそれはそれでいいと思うがな。

待たせたなムクロにユリハも。

ファムの傷は本人が言った通り完治とまでいっていないが戦闘に出ても問題にならない程度まで来ていると私の口からも言っておこう。

で、だ・・・ムクロがここにきて合流したという事で戦う前までに話していたプランを実行しようと思うのだがどうだろうか??」

「プランですか??それは武器の性能を測るテストを再び開始するという事でしょうか??

それともボスモブの所在が分かっているということですか??」

レイの言葉に合わせミストはコクリと頷きこのクエストのマップを広げるとそこにはボスモブがいる場所に大きな赤マークで丸が書かれており他のボスモブも点々とその周囲を囲むようにして点在していることから他の中ボスクラスのモブが中心にいる本命のボスモブを護衛していると考えて間違いはなさそうで。

ムクロはその先のプランという内容をミストに問うた。




「プランと言っても2通りあるんだ。

1つ目のプランは私たちの武器を先ほども言ったように計測し自分たちがすぐにでも扱えるよう中心のボスモブを除く中ボスだけを狙って回るルートを選ぶか2つ目のプランのこのままボスモブを叩き武器の計測をしつつホームに戻るという事なのだがムクロたちも来た事で戦いやすくなったのだがこのクエストは私たちの武器を訓練であることが最大の目標でオマケ程度に素材を集めるという流れなのだがムクロはきっと私たちのピンチに手を出すことだろう・・・だが、今回の戦いではある程度になるまで隠密状態で見ていてはもらえないか??」

「もともとユリハ達はそのつもりでこのクエストを受けたんだったら俺はいわれる通りに動くとする。

ユリハ達はユリハ達で戦い俺はそれを隠密状態になりひっそりとユリハ達の武運を祈ろうと思う。

それにレイも同じだ。」

「ご主人様がそう決めたのでしたらこの不肖レイ何も申し上げることはございません。」

「アタイも主殿がいたらすごく助かると思うのじゃがそうじゃの。

今はアタイたちのためのクエストなのじゃったな。

じゃったらアタイは無茶をしてでも鍛え上げたいと思っておるのじゃ。

じゃからアタイは1のプランで中ボスの取り巻きも全てを倒し進むプランに1票なのじゃ。」

「本当にムクロが我慢できるのかすごく心配だけど私も高貴なんだしゆったりとして見ててくれていいのよ??

見惚れちゃってもね??だから私も自身のこの武器をもっともっとうまく扱えるようにユキシロに賛成よ。

べ、別に・・・そんなんじゃないからその目をやめなさいユキシロ!!!」

「あはは、ムクロ君は少しだけ私たちの戦いを見ててね。

絶対にこのクエストをムクロ君のサポートをにしてクリアして見せるからね!!

だから私も1つ目のプランで皆と一緒に強くなりたい!!」

ユリハ達の意見からボスモブに直行するのではなく周りの中ボスモブを倒しつつ進むことになりユリハ達は善は急げとテントを片付けに入りムクロとレイは隠密状態になって姿を消すとユリハ達は準備が完了し次の中ボスモブのいる場所へと歩みを進めた。

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