第623話 一難去った後のテント

―――――――――――――――古代の遺跡後地



 グロウスウォームが消滅しモブの気配が完全に消えるとミストはどうしてここにムクロがいるのかと質問を投げるとユリハも同じように尋ねており。

その説明を代わりにと後方からファムと共にレイが戻って来ていた。




「みんな・・・心配かけちゃったね・・・えへへ。」

「ファムぅ~~うあぁ~姿が見えないからてっきりモブにやられてしまったのかと思ったのじゃぁ~~~じゃけど無事で何よりなのじゃ~~」

「ファムはユキシロに任せるとしてご主人様に代わって私がご説明いたしましょう。

どうしてこの場所にいるのかという事を・・・・」

「まぁ私の予想が正しければじゃない??」

ヴァニスの言葉にレイは半分正解だと返事をするとここまでやってきた経緯やどうしてタイミングよく攻撃の最中にやって来られたのかを説明するとミストたちはため息をこぼしながらムクロらしいと納得していた。



「そうだというのならすぐに戦いに参加してくれれば助かったもののどうして・・・・って、あぁ・・・コレに気を使ってくれていたのか。

新たなる武器の調整をしていたことまで知っていたのだったな・・・ならばその力が発揮されるまで放置と言うのも頷けるが・・・趣味が悪いともいえるぞ??

ファムがあれだけ大変な目に合っているというのに見ていただけというのは・・・」

「ううん・・・私は大丈夫。

だって私のピンチにこうして助けてくれたのも事実だしムクロならギリギリの所まで待つのもわからなくもないし。

結果的に助けてもらえて私はむしろ嬉しいよ・・・ありがとねムクロ、レイ。」

「いや、俺たちの方こそすまなかった。

ミストたちの言う通り趣味が悪いと思いつつ見ていたのは事実だ。

言い訳にしか聞こえないだろうがユリハ達ならなんとかできると思っていたんだ。」

「ムクロ君らしいね・・・けれど私の代わりに助けてくれて本当にありがとう。

この私たちが作った新しい武器はまだまだ改良する点もあれば近い方を考えることも多くあると思うの。

だから図々しいかもしれないけれどムクロ君とレイちゃんの力を貸してくれると助かるのだけれど・・・みんなはどう思う??」

「どう思うも何もこの中で一番プレイ時間も経験も長けてるのはムクロだけじゃない??

だったら迷う余地も考える余地もないわよ。

私たちの目はまだまだ濁っているけどムクロの目なら私たちの見えていないモノを見てくれそうだから私はアリだと思うわ。

まぁせいぜい高貴な私の邪魔だけはしないでよ??」

「私もムクロがいてくれたらいいと思う。

いざとなったら助けてくれるし・・・ね?」

「アタイも主殿がいてくれるのであればもっともっと力が出せそうなのじゃ!!

この新しく作り上げたグローブの真の力を見せられるというもの・・・頑張るのじゃ!!!」

ユリハの提案はミストたちも必要な事だとすぐに了承しムクロに動向を頼むとムクロはユリハと軽く握手を交わし自分でよければと武器のあれこれの調整につき合うこととなったが・・・まずは安全な場所でテントを張りファムたちのステータスを整えることとなった。



「のじゃ!!!テント完成なのじゃ!!アタイも随分とテントの立ち上げ速度が上がってきたのじゃがマスタリーが上がったという事かのぉ??」

「え?テント張りもマスタリーがあるの??」

「あぁもちろんだ。

テントを張る事も見えないステルスステータスに含まれるところだな。

現実で言う何か特別な事が早かったり器用さだったりがステルスステータスでユキシロはそのテントを張る事のレベルが上がったという事だな。

それにステルスステータスは自分も他のプレイヤーからも覗く術のない見えないステータスだからどれだけやっても身につかない事もあるし開花させるのが難しいステータスでもあるんだ。」

「つまりユキシロはテントを張る事が早くなったという事か。

そのスキルは現実のキャンプ場で是非とも披露してもらいたいスキルだな。

説明書があったとして何人が完成させられないのだろうか・・・少し興味もあるが・・・今はそんな事よりもファムの回復を完全な物にしよう。

さぁファムは私と一緒にテントの中に来てくれ。」

「う、うん・・・お手柔らかにね?」

そう言ってミストはファムを連れてテントの中へと入り傷の手当てを開始し。

ユリハたちはそれまでに武器のコツを1秒でも早く手に馴染ませるために武器で素振りやスキルの動きの鍛錬をしていた。



「ハァァッ!!!ハァァァァァッ!!!テイヤッ!!!!」

「ユリハの動きは中々キレのあるものに仕上がってはいるが剣の重さが違うのか少しだけズレがあるようにも見える。

ユリハの武器は前の武器よりも重いのか・・・・」

「はい、やはりゲーマーのご主人様の目は人の武器を舐めまわしてみるように作られておいでですね。

ご主人様の言った通り現在使っているユリハの武器は前回の武器よりも一回り重く切れ味を増した武器に仕上がっております。

剣自体の形状等は大きく変わってはいませんが武器を形作る際に使う素材を一変したのでしょう。

それと続けて申しますとユキシロのグローブには不思議な効果が宿っているのか深く内容を読み取ることができませんので実践でのみその効果が図れるかと。

そしてそしてミストとヴァニスの武器も多少こだわったのでしょう・・・武器の形状をある程度変化させ素材も変えているらしく切れ味を向上することに成功し硬いモブの装甲を穿つ特性があると思われます。

最後にファムのあのランスは天世界の素材で作られたでしか扱えないNPC既存のユニーク武器というファム専用ともいえる武器となっておられます。」

レイの分析を聞きながらムクロはユリハ達の動きを観察して見ているとユキシロはちょこんとムクロの隣に現れ服をちょんちょんと引っ張っていた。

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