第550話 克服の時
―――――――――――――――――イベントクエスト:輝石の洞窟
ミスティックリザードの戦闘が終わり、ムクロたちの元へと集合したクーリアたちはさっそくイベントのクリア報酬を確認するべくリザルト画面を出して確認し始めると。
アヤカは想定通りとラストキル枠に必要だった鉱石の塊が複数入手できたと全員に感謝し。
ラストキルを多少卑怯な手で無理矢理手に入れたと詫びを入れるがユリハ達は文句を言うことなく受け入れてクーリアの方を見ると・・・・
「べ、別に私も気にしてないからいいけどさ・・・・ずっとアレでラストキルを取るのは控えてくれると助かるかも・・・
あとさ・・・今回の報酬は鉱石と宝石ばかりでちょっと物足りない感じだよぉ。」
「それは仕方ないでしょ。
元々アヤカが目的としていたのは鉱石のクエストであってモブの素材じゃなかったのだから。
アヤカもコレで素材が集まったのなら次までには新しい武器が完成しているのかしら??」
「ん~どうかしら。
ガヘリスに私の設計した通りに作ってもらおうと思うけれどガヘリスは銃系統の武器製作にはちょっと不慣れなのよね。
私が付いて一緒に作らないとミスをするかもしれないから今回も一緒に作ることになりそうね。」
「言われてみればアヤカたちのガンナージョブはまだ一般に流れ出してからそこまで期間が過ぎていないから製作者側が間に合ってないのかもしれないね。
ガヘリスさんも剣とかそう言った装備ばかりだったと思うし手こずるよね。」
「だな、だがいい武器って言うのは時間がかかる程仕上がりもいいのは確かだ。
ガヘリスの腕からして時間がかかるのはいい武器を作ろうとしているから近道のない世界なんだろうな。」
「だったらアヤカは今すぐにでもガヘリスの元へ行って武器の製作に取り掛かってはどうだ??
時間は1分1秒もロスしたくないだろ??なに私たちの事なら心配しなくて大丈夫だ。」
ミストの言葉にムクロたちも同意してアヤカにガヘリスの元へと向かうように語り掛けるとアヤカは完成したら全員にお披露目するからと楽しみに待ってるように言ってポータルで街へと戻るとムクロたちはもう少しだけその場でリザルト画面を見て休んでいると・・・・
「ねぇねぇ・・・ムクロッちは何か良いアイテムドロップした??
私さ~この金ぴかのコレを集めてるんだけどあったらくれないかな??」
「それってゴールドチタンか?
それならそこそこ出てるから・・・・・」
「ダメよムクロ。
それをクーリアにあげては駄目よ・・・クーリアの目を見てみなさい。
あれは金に換える気の目をしているわよ。」
「このゴールドチタンって相場でどれくらいするのだ??
競売をしているわけじゃないからアイテムは基本的にアイテムボックスに片付けるが価値が気になるモノもないわけじゃないのだが・・・コレはどうなんだ??」
「高貴な私に任せて!!
ゴールドチタンでしょ??1つ50万リムドで売買されてるわよ。
他のレア鉱石に比べると値段が10倍近くも高い所から察するに・・・・エリの言った通りクーリアは束売りして荒稼ぎする気だったのかもしれないわね。
そんな小銭を得てクーリアはどうしたいの??」
「へぇ~この金色の石がそんなに価値があるんだね。
本当に調べてみないとわからないことだらけだからちょくちょく調べてみるのもいいかもしれないね。」
ゴールドチタンの価値がわかるとエリエントが警戒した理由もわかり。
クーリアはとうとう取り押さえられている状況から少しでもお金を集めてレジェンダリー武器の素材と資金にしたかったとしょんぼりとして答えると。
ムクロは今回ドロップした全てのゴールドチタンをクーリアの目の前に山積みにした。
「おっと、間違えてゴールドチタンを捨てちまった。
これだとあげるにならないから誰でも取ってくれて構わないんだけどなぁ~~
あと3分で消滅するが・・・・誰か取ってくれないかなぁ~~」
「いいの??こんなにたくさんの金ぴか貰ってもいいの!?
いや違った・・・落ちてるヤツ拾ってもいい!?ねぇみんな!?」
「私はクーリアが欲しいのなら取ってもいいと思うよ?」
「うむ、私もリムドに困っているわけではないから拾うといい。」
「私もパスよ。
そのアイテムを加工すればいいアクセサリーになるって言うけれど注文してから時間がかかりすぎるからあまり好きじゃないのよね。
それにお金はあるのだから直接買う方が早いじゃない??
これぞ高貴な私流よね!!!」
「本当にムクロは甘々で困りものね。
どこからどう見てもこのやり取りは上げるになると思うのだけれど・・・クーリアはその甘えにずっと浸っていくつもりなの??
誰かに足りないモノを補ってもらいながら進む気かしら??
私はそう言う生き方を否定するつもりはないけれど、それは自分の力の限界をそこで諦めてるプレイヤーのやり方だと覚えておきなさい。
―――――――――――だから取りたければ取ると良いわ。」
ゴールドチタンをあと少しで手が届くと言うところでエリエントの言葉がクーリアのウサミミに流れ込むとその手はピタッと停止し。
チカチカと点滅が始まる中、目の前のゴールドチタンを拾えば今後の武器製作やアイテムの購入に多大なる力を発揮するだろうと甘い誘惑を漂わせており。
余裕が生まれると同時に何かプレイヤーとして決定的に何かが狂うと感じたクーリアは決断を下した。
「ぐぅぅぅッ!?!?ぐあぁぁ!!!わ、私・・・やっぱり受け取れないよ!!
こんなことして楽して誰かに欲しいものを奪うやり方が違うってことくらい知ってるから・・・・ムクロッちそれをしまっていいよ。」
「本当にいいのか??これは誰のモノでもない状態のゴールドチタンだぞ??
―――――――そうか・・・そう言うことなら・・・・・」
我慢するクーリアの目の前で点滅するゴールドチタンがとうとう滞在時間の超過で消滅して消えると。
クーリアはどうしてムクロに拾わなかったのかと問うた。
「言っただろ?誰のものでもないってさ。
だから俺のモノでもないから消えただけだ。
それに・・・俺はクーリアをちょっとだけ試していたんだ。
だがその結果でクーリアの大きな成長が見たんだからそれに比べればアレは安い代償だと思わないか??」
「ふぇ??私を・・・・試した??」
「確かに安い代償かもしれないわね。
それに・・・もしもクーリアがアレを拾ってたら軽蔑してたわ。
だけどクーリアはその誘惑に打ち勝った。
その信念があればこの先も私の背中は任せられるわ。」
「良かったねクーリア!!
ほらほらそんな所でずっと座ってないで帰ろうよ。」
「そうだな、新たなクーリアと共にホームに戻ろう。」
話の内容が頭に入らず何が何だかと整理のつかないクーリアはあたふたしながらムクロたちと共にホームへ戻り。
脳の整理がやっとの思いでできたクーリアはムクロに今後は不用意に試験をしないようにと注意をして自分の部屋へ消えていくのであった―――――――
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