第522話 一件落着??

―――――――――――――初級層:荒れた鉱山跡



 激しい戦闘が始まってから数分が経つ中、2人の戦意は未だに健在で。

今もなお自分の目の前に立つ相手を倒さんとして攻撃を仕掛け合い・・・その攻撃の余波が辺りの壁や天井に炸裂すると大きな音を立てて崩れていた。



「のじゃッ!?ぬぐぅ・・・ついにはこの辺りにまで攻撃が被弾するようになってしまったのじゃ・・・・主殿、もう少し下がっていた方がよいのではないかのぉ?

ここで見てればいつか攻撃を喰らうか天井の岩に潰されてしまうのじゃ。」

「はは、天井の岩に潰されてこの戦いが見れなくなるのは嫌だな・・・

けどこんな特等席から離れるのも考え物だ。

だから岩が崩れ落ちて来たとしても俺はここから離れる事はしたくない。

それに・・・いざとなれば斬るまでだ。」

ムクロの言葉と目からユキシロはいう事を聞かないと呟くユリハの気持ちがよくわかると心の中で呟くと、天井の岩が崩れてきた場合ユキシロがカバーすると言って警戒モードに入り。

そのユキシロの頭をモフモフと撫でてからムクロはそっと2人の様子を窺うと・・・・



「テヤッ!!!!!ぐッ・・・この物理シールドが厄介・・・ケド!!!

そろそろこのシールドも耐久限界じゃないかな!!!あとどれくらいで壊れちゃうのかな!!!テヤィッ!!!!」

「このッ!!!チッ・・・・やっぱ物理特化のファム相手にこれだけじゃまかなえないか・・・・けど、私のスペルでダメージを蓄積させたあの状態の装甲なら・・・・威力を集中させれば射貫けるハズ!!!

だったら・・・このままやってても埒が明かないから私から仕掛けさせてもらうよ!!!

――――――――――――ブチ抜けぇぇ!!!サンダーブレイカー!!!」

「ぬうぉ!?クーリアのスペルがファムの装甲を貫いたのじゃ!!

あの装甲を貫くとはクーリアのスペルも侮れないのじゃ・・・・」

「あぁ、以前よりも的確に動いて何をすればいいかよくわかって来ている証拠だな。

・・・・ファムも同様にやるようになっているな。

―――――――――――これはますます面白くなってきた。」

クーリアの放ったスペルは確実にファムの胴体を貫き致命傷を負わせたと確信していたが・・・その撃ち抜かれたファムは倒れることなく体力が削れつつもランスに最大級の力を籠めてクーリアに一撃を浴びせるために全力で突撃していた。



「なッ!?そんな体で無茶苦茶だよッ!?ぐあぁぁ・・・・シールドが・・・崩れるッ!?

―――――――――――ぐあぁあぁぁあぁぁぁッ!!!!」

「ハァハァハァ・・・・ゲハッ・・・グッ・・・えへへ・・・これで・・・・

何とか私の勝ち・・・だよね??」

ファムの攻撃に対してスキルの対応ができなかったクーリアは最後の砦である物理シールドに力を込めていたがファムのスキル攻撃の方が勝っており、クーリアの腹にランスが突き刺さり勝負が決していた。



「本当・・・ファムはムクロッちと同じくらいのバカなの!?あんな状況でフツー飛び込んでくるとかないじゃん!?

あぁ~あ・・・本当に私もまだまだ詰めが甘かったよ・・・ファムも結構パワープレイをするって言う事を・・・・」

「ひどーい!!!私の戦い方はムクロたちとは違う天世界の戦いなんだから!!!

それにクーリアだって結構無茶してたよ!!!

だから私たちでしょ??

ぷッ・・・・あっははははは・・・本当に何て言うのかな・・・でもこれがムクロが言ってた清々しい気持ちなのかな・・・・」

PVPのリザルトが表示され、地面に寝転がる2人は互いに無茶をしていただの言い合いながらも最後には笑っており。

ムクロたちはその2人の光景を最後まで見届けることなくユキシロとその場から離れ・・・ホームへと帰還していた。



「どうして勝負がついたあと出て行かないのじゃ??

もう隠れてコソコソしなくて良くなったのじゃないのかのぉ。」

「そうだけどさ?こういう時は2人で話し合って何事もなかったかのように戻って来てくれるのが一番だと思ってさ。

だから俺たちもホームに戻る前に何か食べて帰るか。」

ムクロはこのままユキシロにべらべらと話されては全てが台無しになってしまうと感じ・・・ユキシロを口封じのために寄り道に誘うと。

ユキシロは何の迷いもなく目をキラキラとさせてムクロの腕に捕まり商店街の方へ寄り道しに移動していく中クーリアは――――――――



「でさ?私に勝ったんだからファムの命令を聞くけど・・・・ファムはあたしに何の命令をする気??

もしかして!?私からレアアイテムを奪うとかそう言うのじゃないよね!?むぎゃッ!?何!?急にどうしちゃったの!?」

「ううん・・・ムクロが言ってたのを試してみたんだよ。

何かあったらぎゅっとして話せば相手に伝わるって。

だから・・・私ね本当にクーリアのことに対して怒ってないけど無言で私たちの前から消えちゃうなんてことがあったら私はすっごく怒っちゃうよ!!!

つまりね・・・えっと・・・一緒に皆のいるホームに帰ろ?」

クーリアは急に抱き着いてきたファムに驚きつつも、ファムの口から告げられた言葉に安堵したのかクーリアはファムに弱々しく抱き着き・・・涙を流して感謝の言葉を伝えた。



その頃、ムクロたちはと言うと・・・ユキシロのおススメの立ち食いの店に来たのはいいが予想以上に食べるユキシロにムクロは苦笑いを浮かべつつも今頃2人は仲直りしているのだろうとグロリアの夜景を見てからふとユキシロに目をやると。

ユキシロは次の注文を入れてガツガツと食べだしており・・・

ムクロはいつになれば帰れるのかと少し不安に感じているとムクロの隣にとある客がやって来た。



「あら、こんなところで奇遇ね?ムクロにユキシロ・・・・」

「あはは・・・こんなところで奇遇だな・・・・・・」

「ぶはッ!?エリ・・・これは主殿が誘って食べているのであってアタイは別に主殿の財布を目当てに食べているのではなくてじゃの!!!

つまり・・・これは誤解なのじゃ!!食べている事には食べているのじゃがこれには深いわけが!!!」

ムクロの隣にやって来た客人はニコニコと不気味に笑顔を浮かべるエリエントの姿があり・・・エリは2人にメールを送ってきた以降のクーリアたちがどうなったのか聞くことなく、2人は仲直りできそうなのかとだけ質問して来ており。

ユキシロに話させればボロが出る可能性があるとムクロが代わりに仲直りしているんじゃないかと言い返すと。

エリエントはムクロの表情をチラッと見ただけで何かがわかったのか「そう」と言って店を変えると店主に謝罪を言ってから離れ。

ムクロたちもコレ以上長居は危険だと今手を付けている物を片付けてからホームに戻ることにし・・・急いで食べ、ホームへと戻った――――――――――

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