第521話 衝突、クーリアとファム
―――――――――――――初級層:荒れた鉱山跡
ムクロたちは手当たり次第にフィールドを探し続け、以前クーリアと2人で来た事のある鉱山フィールドに足を運ぶと・・・最奥のフロアでクーリアはボスモブと戦闘をしており。
それを2人はすぐに出ていくのではなく少し様子を窺う事にした――――――
「グオォォォォオォッ!!!!!!」
「本当に・・・私ってバカだよ・・・・ぐッ・・・・
それにファムもファムだよ・・・私が悪かったんだから文句の1つでも2つでも言ってくれればよかったのに・・・・どうしてそんなに簡単に許せるの・・・・」
「どうやらクーリアは1人で心の叫びを吐く場所を探していたようだが話が終わったらどうする??そこに隠れてるんだろ??」
「のじゃ??主殿・・・一体何を言って・・・のじゃ!?」
ムクロは2人の後を追って来ていたファムにこれからの事を委ねると、ファムはムクロの側に降り立って笑みで返し自分が何とかするとだけと言って・・・ムクロはタイミングを待っている間にユリハ達にクーリアが見つかったことと状況的にこちらだけで何とかしてみると伝え・・・・再びクーリアに視線を投げるとクーリアに対してボスモブは自身の持つ最大スキルを発動させていた。
「そう、それだったら私を何とか消せるかもしんないね・・・・だったら早く私を消してよ・・・・ガードも何もしないからさ。」
「クーリアのヤツ・・・ワザとスキルを受ける気か。
さて、こうやって見てるだけって言うのも何だか嫌なもん・・・・
だなって言う前に飛び出してるか・・・・それじゃユキシロと俺はここで待機しつつ2人を見守るとしよう。」
「ぬぅぅ大丈夫じゃろうか??
じゃがファムのあの目は真剣そのものじゃったし・・・・期待して待つしかないのじゃ・・・」
ムクロの言葉を聞き終える前にファムはボスモブとクーリアとの距離を一気に詰めるべくして飛んで移動し・・・ボスモブのスキルがクーリアに叩きつけられる瞬間・・・風の吹き抜ける音と共にクーリアは突き飛ばされすごい態勢ですっころんでおり。
スキルはファムのランスで受け止められていた。
「うッ・・・ファム!?どうしてここにいるの!?
そ、そんな事よりも体調がよくないのに何をしてるのさ!?」
「あは、そうだよね・・・・だけどその前に言わせてもらってもいい??
クーリアはバカだよ!!!大馬鹿だよ!!!私がクーリアのスキルを受けて氷漬けになったくらいで何を悲しんでるの!?
私はNPCだよ?クーリアたちより頑丈だしすぐに元に戻るから平気だよ。
だから・・・全てに決着をつけるために私と勝負して!!!このモブを倒して私と真剣勝負だよ!!!」
「なぬッ!?ファムは一体何を言っておるのじゃ!?
あんな体でクーリアとまともに戦えるはずないじゃろうて!!!
主殿、ここはすぐに止めさせるべきではないのかのぉ??」
「そうしたいのは山々だが、ファムの決意とクーリアの答えによって判断したいと言うところかな。
何せ今回の問題を抱えているのはこの2人だ・・・つまりこの2人が納得するのであれば俺はこのまま戦いになっても手を出さず見守ろうと考えてる。」
ムクロはそう言って不安な顔をするユキシロの頭を撫でて落ち着かせると。
ファムの口から飛び出したとんでもない内容にクーリアはばかばかしくて笑い出し・・・杖を構えてスペルを発動し、ボスモブを一瞬で消滅させるとファムに対してPVPの招待を送り付けた。
「どうやらファムの提案にクーリアは乗ったらしい。
そう言えば2人のサシでの戦いは初めて見るがどっちが強いんだろうな。」
「主殿!?今はそんな悠長に観戦者サイドに立たないでほしいのじゃ!!!
負傷したファムと準備の出来上がってるクーリアとの勝負は始めからわかり切ってる結果なのじゃ!!!」
「それじゃ始める前にルール説明をしておくね。
戦いは1本勝負で体力を削り切るか負けを認めたら終わり・・・それとこの戦いに勝ったものは相手に好きな命令を下せるって言うのでどうかな??」
「いいよ・・・私が勝てばもう私を探さないでと言っても言いわけだね?
だったら頑張って戦わないとだね・・・・でも、その前に。
―――――――フリーズ・・・・ぐぅ・・・・これで・・・フェアくらいになったかな??」
クーリアはファムが無茶をしてやってきていることは百も承知と、負傷した者にベストな状態で戦うのはフェアではないと言う事から自身の効き手である右腕を凍らせて使えなくすると・・・ファムは再びニヤッと笑みをこぼしPVPの承認ボタンを押すと戦闘開始のアナウンスが入り――――――――――
――――――――――3、2、1・・・・・・レディ・・・・ファイッ!!!
「そんな状態じゃまともに杖を構えてスペルを発動できないんじゃない??
だけどクーリアがそう決めたのなら私は今持てる全力でクーリアにぶつかる!!!
全身装甲!!!コレからさらに・・・・
―――――――――――――ブレイクランスッ!!!!」
「先にファムが仕掛けたのじゃ!!!
それに全身を装甲で防御しておるのじゃ・・・・クーリアは一体どうするつもりなのじゃ!?」
「だんだん面白くなってきたな。
とは言っても・・・クーリアもただただ負けるのは嫌らしい。」
「利き手が使えなくてもスペルは撃てるよッ!!!
――――――――いっけぇ!!!シューティングバレット!!!」
クーリアのスペルが発動されるもさすがに利き腕で発動していない分だけ精度が落ちており。
ファムに当たらずに天井を打ち抜くとファムはそのままノーガードであるクーリアにスキルを叩き込むつもりであったが―――――――――
「――――――――――そこだッ!!セアァァッ!!!!!!」
「なんで・・・何で私にスキルを叩き込まないのさ!?
どうして私に落ちて来ていた岩を壊したのさ・・・・」
「ぬぅおう!?ファムが天井から落ちてきた岩を粉砕したのじゃ!!!
じゃが・・・どうしてあのままファムはブスリとクーリアに一撃を与えなかったのじゃ??
岩程度のダメージはあの装甲だと効かないはずじゃが??」
「ファム自身にはダメージはないだろうな・・・装甲があるから。
でもクーリアにはそれなりにダメージが出てしまうだろ?だからきっとファムは事故で勝ち取った勝利は勝利じゃないというだろう。
自分自身の戦い方で倒して初めて勝利したとするファムの流儀・・・
本当にこの先の戦いに目が離せないな。」
ムクロの説明にユキシロも何か悪い事を言ったとしょぼんとしつつも再び距離を取ってクーリアが攻撃を始め・・・ファムは攻撃を避けずにそのまま突破すると言うパワープレイを見せ戦闘はさらに激しさを増していた―――――――
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