第511話 巨大スイカの行方

―――――――――――――――夏のイベント会場:ビーチステージ



 ファムの次に狙われ始めたユキシロは・・・ファムに早く抜け出すように語りつつも触手と消化液の攻撃を避けていたが。

肝心の触手に捕まったファムは両腕に足と動かす部位を全てが絡めとられていることから容易に抜け出しないと言い返すと。

ユキシロの隣にレイが現れ――――――――――



「ここは私に任せてユキシロはご主人様とあの気持ちの悪い紫クラゲを討伐しに向かってください。

それに・・・こういう相手はどうすれば寄って来ると言うのかもリサーチ済みでございます。

――――――――――――大抵は激しく叩けばどうにでもなるのです。」

「剛腕装甲で触手を粉砕したのじゃ・・・・

こ、これならアタイが相手をするよりも安全そうなのじゃ。

うむ、レイレイの言葉通りアタイは主殿と本体を叩きに向かうのじゃ!!

くれぐれも触手には捕まらないよう頼むのじゃ。」

「話が決まったようなら・・・よっと・・・攻撃再開だな!!!

ファムももう少しだけそこで頑張っていてくれ!!!

これから最後の攻撃に出る。」

「う、うん・・・・早くしないと装甲がじわじわって溶けてきちゃってるから早くしてよ!?

それも急いでくれたら急ぐ分だけ嬉しいから!!!」

ファムは徐々に溶かされていく装甲の薄さにそろそろ重要な水着部分が溶かされるのではないかと涙目になりながら語り。

レイの一撃によってユキシロからターゲットを移したパープルシーモンスターはレイに向かって大量の消化液を吐き出し・・・レイを飲み込んだのだが・・・・・



「この程度の消化液では私の剛腕装甲の壁は敗れはしません!!!

さぁ今度はこちらからです!!!はぁッ!!!」

「ビュルルルルルッ!!!!!」

「のわッ!?触手の破片が飛び散って来てるのじゃ!?あちゃちゃ!!!

この触手の残骸も溶かす作用があるのかのぉ・・・・・

本当にアタイたち乙女の敵なのじゃ!!!ヌラァァッ!!!

――――――――――牙狼拳:撃滅!!!!」

「そうだな!!!ならコレでどうだッ!!!!

――――――――――――ブレイブダンスッ!!!!!」

「んんん~~~~ちょっと早く早く!!!溶けてきちゃってるよぉ!!!」

ファムの悲痛な声が聞こえる中、ユキシロとムクロのスキルが弱点部位であるコアに捻じ込まれると・・・・パープルシーモンスターの体力バーが消滅し、レイによる剛腕装甲での一撃によって体が崩れ落ちると。

ムクロは触手から解放されて落ちて来ていたファムをキャッチするも・・・・・



「あ・・・・あはは・・・ファム、無事だったか??」

「うん・・・だけど少し遅かったみたいだよ・・・見ないで!!!ムクロのエッチイィィ!!!」

「ぬぅぅ・・・間に合わなかったようなのじゃ・・・・

じゃけどファムも全身すっぽんぽんに並んでよかったのじゃ。

妙に溶けかかった水着が何ともアレなのじゃが・・・・

ファム~もうその辺にしておいて着替えた方がいいのじゃ~~~

――――――――ぬおぉぉ~~~い。」

「本当に・・・モブとの戦闘が終わった後も追いかけっこですか・・・・

―――――――ご主人様もファムも暑い中、元気ですね。」

ムクロはファムの手遅れな姿を見ないようにはしていたもののファムを掴んでいたことによって追いかけられ。

数分間にわたって追いかけまわされ・・・・挙句はレイによって強制的にファムは剛腕装甲の中で着替えることとなり。

着替えて戻って来るとムクロにちゃんと謝るようにとランスを構えながらつぶやいた。



「その・・・悪かったな。

助けようと必死にしたんだが・・・・悪い・・・・」

「ハァ・・・・でもまぁ相手がムクロだからコレ以上は言わないけど。

ユリハが知ったらどうなるかなぁ~ってところだね。」

「うッ・・・・ファム・・・この状況でそれはちと卑怯なのではないかの??

アタイが見ていた状況からして主殿が一番ファムの事に気が付いて行動していたのじゃ。

その行為を無駄にするような言い回しは良くないのではないかのぉ??」

「それはそれとしてコレはコレ・・・この場面だからこそ使える手としての考えなのでしょう。

まぁ・・・それを一番焦って考えているのはご主人様の方なのですが。」

レイの冷静な口調からユキシロは視線をムクロに向けると、ムクロは苦笑いをしつつ妙な汗を出しており。

ムクロはユリハの怒りの言葉をいただくよりファムの気が収まる事をしていた方がいいのではないか?という答えが導き出され。

ムクロはユリハ達に言わない条件として何をすればいいのかとファムに苦笑いと共に尋ねた。



「ん~~特に何かしたいって言うコトがあるわけじゃないんだけど。

こういうイベントで何にもないまま終わりって言うのも名残惜しいでしょ?

だから何かいい思い出になるような・・・そんな事が出来たらなって。

ユキシロやレイは何かそう言うのあるかな??

何かこう・・・・思い出に残ると言うか・・・・忘れられないようなコト?みたいなの。」

「そうですね・・・・現状発言ワードに問題が生じて発言ができませんがそのような的な《《行為))は見つかり次第ご主人様のアカウントや何かしらの問題が出る恐れがありますのでできないとして。

真面目に答えますと・・・共にスイカを食べる以外にこのイベントでは考えられないのですが。」

「それなのじゃ!!!さっきあっちの方でとんでもない大きさのスイカのモブがいたのじゃ!!!

それを倒そうと向かってる最中にあの紫のぐにゃぐにゃに遭遇してバトルになったのじゃが・・・・まだいるのかのぉ・・・」

ユキシロたちの言葉からファムはソレだと目を輝かせつつムクロの手を取って連れて行くと。

ユキシロが興奮するのがわかるくらいの大きなスイカのモブがゴロゴロと転がりまわっており。

各自武器を構えて駆け出し・・・・巨大なスイカのモブに攻撃を同時に叩き込むと少ない体力が即時に消滅し、その体がぱっくりと割れてスイカがドロップした。



「すごく大きなスイカでございますね。

これを1人一切れと言うのは多少無茶とも言えるのですが・・・・

この2人の目の輝きを見た所そうでもないかもしれないと言う答えが出ているのは私だけでしょうか?」

「俺もこの2人なら・・・いや、1人でもやってしまいそうでちょっと怖いけど。

これだけ大きいスイカはリアルにも存在しないから皆で食べよう。

ユリハ達には悪いが・・・お先に・・・・がぶっ」

ムクロはこの場にいないユリハ達に謝りながらもその大きなスイカに噛り付くと・・・ユキシロたちも同じようにガツガツと食べ始め。

レイもムクロたちのマネをするようにして食べだしていた――――――――

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