第483話 黒の衝突

―――――――――――――アカシックタワー:頂上



 隠密スキルからの一撃で致命傷を受けたラストファントムはムクロたちとの戦闘を後回しにして黒い妖精が戦っている方へ宙を飛んで向かいだし。

それを確認したムクロたち3人はこのまま放置すればユリハ達が危ないと感じ。

すぐにラストファントムが向かった方へ駆け出すと・・・・

そこでは想定外の事が起こっていた。



「グガッ・・・・お前ェ・・・黒い妖精野郎・・・俺を・・・俺を裏切ったのか!?」

「人聞きの悪い言い方をしないでくれ。

私は使い物にならないお前の処分をしたまでだ・・・実際に正面から戦って勝てないのならそれまで。

お前は実にいい仕事をしてくれた。

私に頭の中を・・・・いや、これから散りゆくお前に知ることもなかろう。」

「な、仲間を・・・こうも簡単に捨てるなんて・・・・アナタのやってることは非道で外道よ!!!

見てるだけで不愉快になるわ!!!その手を・・・放しなさい!!!!」

「そうだな・・・この状況だと最善の策とは思えないが目の前の状況を放置しておくこともできまいな。

――――――――私も手を貸そう!!!」

「私も援護するよ!!!仲間を見捨てる奴なんてこうだッ!!!

――――――――マジックビーム!!!!」

「アヤカ・・・次に何かあるかもしれないからラストファントムと黒い妖精両方をしっかりと観察しておいて。

きっと何かしらのアクションが行われるはずよ。」

「了解・・・・だけど・・・本当に気持ちがいいくらいにあの黒い妖精は悪ね。

あんなに一緒に戦ってきた運命共同体をあんなにも簡単に捨てられるなんて・・・・何様なのかしら。」

「ユリハ達が動いてる・・・・フィールとヴァニスはクーリアたちの方に回ってくれ。

俺はユリハ達の方に援護に出る。」

「しょうがない・・・私はあの黒い妖精との戦闘じゃきっとすぐに邪魔になっちゃうかもだから言われた通りにするけど・・・・

フィールはムクロと一緒に行きたいみたいよ??」

「あ・・・うん・・・私、あの村長・・・ううん・・・黒い妖精を止めたいの。

こればっかりはどうしてもだよ。

ムクロ君や誰が何て言おうと私は黒い妖精を絶対に止めに行く!!!

大丈夫・・・村長だと思って手を抜いたりするつもりはないから。」

フィールの凛とした目にムクロは止めることを止めてヴァニスにだけ護衛に回しムクロたちはユリハ達の援護に飛び出した。



「―――――――テイヤァァッ!!!!!」

「ぐあぁッ・・・・・くッ・・・・まさかお前たちに助けられるとはな・・・・

だがどうしてだ・・・どうして俺を助ける??

俺を助けてもお前達には何の得もメリットもない・・・逆にデメリットしかないと考えてないのか???」

「それは言えてるが・・・今は弱っているお前を見捨てておけなかったと言っておこう。

私たちの仲間は変わり者でな・・・・仲間の裏切りやこう言った事を見過ごせないたちでな。」

「あと少しで消せたというものの・・・・本当にお前たちは私の邪魔ばかりするのだな。

だが・・・・それもここまで・・・・お前達の力はある程度把握しているのでな。

さぁ・・・私にお前たちの実力を見せて見ろ。」

「言われなくても見せてやるぜッ!!!!!

―――――――――ゼイアァアァァァァァッ!!!!!」

「黒い妖精!!!ううん・・・・村長!!!私は今まで村長に色々教えてもらってきたけれど・・・・今回の事は理解できないよ!!!

だから私は私の信じた・・・尊敬していた村長を守るためにあなたを倒す!!!!

―――――――――――てやぁぁぁぁあぁぁぁぁッ!!!!!!」

ムクロとフィールはユリハ達の間を通り過ぎて攻撃を繰り出すと、黒い妖精は片手で攻撃を防いで見せた。



「お前たちの攻撃はこんなものか???

それとも私の作り出したこの黒の刻印の方が強かったのか・・・・

まぁそれはどうだっていいか・・・・これから先に生き残るのは私だけなのだからな。

さぁ・・・お前達の攻撃が終わりなのなら・・・今度はこちらから行かせてもらおう。

―――――――――――ハァァァッ!!!!消えろ!!!」

「フィール!ユリハ達も攻撃を避けろ!!!」

「すごい・・・魔力弾・・・・ぐぅぅ・・・このままじゃ逃げる暇が・・・・

ぐぅぅ・・・・」

「ほらラストファントム!!!早くここから移動するよ!!!

―――――――――ミストも移動させるの手伝って!!!」

「援護に向かいたいが・・・・くッ・・・ここはラストファントムを逃がさないとだな。

うむ、わかった・・・手を貸そう。」

「まずいわね。

このままじゃユリハ達はあの攻撃の餌食になっちゃうわね・・・・」

「どうすんのさ!?私たちが今からスペルを唱えた所であれを弾き返すほどの威力をチャージするのに時間がかかりすぎちゃうよ!!!」

「だけど助けにも行けないから見守るしかないわよね。

しっかりしなさいよ・・・ムクロ・・・」

魔力弾がユリハ達に近づいてきた瞬間、逃がそうとしていたラストファントムが身代わりとなって攻撃を自身の体で受け止め黒い妖精に攻撃を仕掛けた。



「ほう・・・まだお前は動けたのか・・・・

それに奴らを庇うなどお前にして現実的な策ではないな。」

「ウルセェ・・・・ごちゃごちゃ言いたい放題いいやがって!!!

俺は借りを作ったまま終わりたくなかっただけだ。

それに俺の攻撃をそのままどうやって防ぎきるつもりだぁ!?」

「ムクロ君!!!今のうちに攻撃を仕掛けよう!!!

ラストファントムが作ってくれたスキを無駄にしないためにも!!!」

「言われなくてもやるしかない!!!

―――――――ユリハ達も一緒に来てくれ!!このまま一気に叩く!!!」

「ラストファントムが私たちを庇うなんてな・・・・

だが、今はそのラストファントムのおかげで黒い妖精ががら空きだ。

このまま私も攻撃を仕掛けるがユリハは大丈夫か??」

「うん!!!黒い妖精を倒してラストファントムを助けよう!!!

だからそれまで持ち堪えてて・・・・」

ユリハたちはミストと共にムクロたちを追いかけだし、後方のクーリアたちは状況的にラストファントムがカバーしたことにより攻撃の権利がこちら側に変わったと確認し。

ムクロたちに届く範囲まで移動しバフをかけ始めた――――――――

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