第453話 匂いにつられてフラフラと


――――――――――――――プライベートホーム


 ムクロはクーリアと別れてからホームに戻って中へ入ると。

奥のリビングに向かってユリハ達の元へ向かったのだが、なぜかユリハ達は戻ってきたムクロをじっと見つめており。

レイたちも同じように冷ややかな表情をしてムクロを見つめ、ムクロは耐えきれずにどうしてそんな表情をしているのかと全員に問うと・・・・・



「主殿だけずるいのじゃ!!!

クーリアのアイスを食べるとはいけない事なのじゃ!!!」

「そうだよ!!私たちが見てる中で自慢するように食べるなんて許せない!!!」

「あれはクーリアが無理矢理押し付けて来たから仕方なくだな・・・・

で、ユリハ達はどうしてそんな顔をしているんだ??

何か俺の対応がまずかったか??」

「ううん・・・そうじゃないケド・・・ん~ムクロ君って本当に自覚もないまま間接キスとかしちゃうよね・・・・」

「本当ね、つまり私たちも熱が出た場合はこうすればいいのかしら?

それとも私たちが寝静まるまで隣にいてくれるのかしら?

本当にムクロは甘々すぎよ?」

「そうだぞ!!!私には特に何もしてくれないのにどういう事だ??

本当に実の姉弟だと言うのに嘆かわしい。」

「と、言うわけでご主人様・・・・これから先の街をぶらぶらする企画は急遽ご主人様に甘えようの企画にのでよろしくお願いします。

変更企画の内容と言いますと、最初のプラント内容は大体同じですが。

私たちのおねだりをできる限り叶えてもらう事になりますのでお覚悟を。」

レイが話し切るとユリハ達はムクロの背に手をかけて今すぐ出発だと言ってホームから連れ出し。

まずは現代のビルと洋風な店が織り交ざるバザール街を歩くことになり、ムクロたちが歩いていると・・・・



「ぬぁ!?主殿!!!あれは最近発売されたトルネードアイスなのじゃ!!!

主殿ォ~~アレ・・・食べたいのじゃが・・・・」

「あ!!私も私も食べた~い!!!」

「あはは・・・・それじゃコレを人数分くれないか??」

「まいどあり!!!」

ムクロはファムとユキシロたちだけに買い与えるのは気まずいとユリハたちにも買ってやるとミストたちもまんざらではないようで喜んで食べ始めていた。



「何だか変わった味ね。

それに色も現実じゃ見ないようなカラフルな色ね。」

「あぁ・・・現実だと間違いなく着色料の問題と特殊な形状から生産できないだろうが・・・ここでしか食べられないと言うものだからなのか新鮮で美味しいともいえるな。」

「そうだね・・・ムクロ君はこのアイスは好き?私はあまり駄菓子とか買ったことがないからこういう味はすごく新鮮で・・・好きだよ。」

「俺か?そうだな・・・こういうのは俺もあんまり食べることはないんだが。

俺もユリハと同じようにこの味は好きかな。」

「ハイハイ、ご主人様・・・そんなにユリハとぺちゃくちゃイチャイチャしないで先に行きましょう。

先に食べ終えた2を見失うのも何だか危険な気がしますので。」

レイの言葉からファムとユキシロを探すが近くにはおらず。

アイスを食べ終えたムクロたちは2人を探して先に進むと、2人は骨董品売り場でアイテムを見て待っていた。



「主殿遅いのじゃ~

じゃが・・・いい所に来てくれたのじゃ!!

このバックルは何でも打撃力が強化されるとか言うのじゃがどうなんじゃろ??」

「私もこの砥石が気になってるんだぁ~

店の人が言うにはコレで研げばピカピカになるとか・・・・」

「2人とも・・・そう言うモノはあまり信用しない方がいい。

砥石で武器がピカピカになるのは当然だ、それにユキシロのバックルは装備するのはいいがそれではないか?」

ミストの的確な言葉に2人はそっとアイテムを置いてミストの隣に移動し。

何事もなかったかのように先に進むと、今度はプランにあった宝石の原石が売っている店に辿り着き中に入った。



「へぇ~色んな原石があるな。

オリハルコンにクロムメタル・・・・アルゴンダインまであるのか。」

「ムクロ君それってそんなにすごい鉱石なの??

私、あんまり鉱石や素材について詳しくないからわからないけど・・・

ん~こういう時にクーリアがいたら説明してくれるのにね。」

「大丈夫よ、ここには私とレイというクーリアに負けず劣らずな知識を持ったハイスペックがいるのだから安心して。

オリハルコンやクロムメタルはレア等級の素材で割とこの辺でも集まるのだけれどアルゴンダインは中級層でも滅多に掘り出されることのない希少なレアの中のレア鉱石なの。

素材の用途も幅広くて武器から装備の製作まで色々と使える万能な鉱石よ。」

「それに噂では装備以外にも等のアクセサリーとしての加工も人気だそうです。

そのこともあってかアルゴンダイン鉱石の値が上がって来ていると言う状況にございます。」

「ぬぅ~アタイにはどれも同じように見えて仕方ないのじゃ。

どうせなら見るよりも食べてお腹いっぱいに満足する方がアタイは好きなのじゃ。」

「私もユキシロと同意見だと言いたいけど・・・そっか・・・指輪・・か

か・・・きっとここにある鉱石で作ったら綺麗な指輪ができるんだろうね。」

ファムはキラキラと光る鉱石を見ながら口に出すと。

ミストも無言で綺麗に光る鉱石を見てから自分の手を見つめていた。



「で、ミストは何か気に入った鉱石が見つかったのかしら?

私はそこまで欲しい物はなかったのだけれど・・・」

「い、いや・・・私もそこまで気に入るようなものはなかったな。

それにどれも中々の値段で手が出そうにないしな。」

「そうだね・・・どれもいい値段だしそろそろ違うお店にでも行かない?

ユキシロが退屈そうにこっち見てるし・・・あはは・・・」

「ぬぅ~~主殿~~まだなのかのぉ~~~」

「ごめんユキシロ、もう終わったから安心してよ。」

「それではまた歩いて見て回りましょうか。」

レイの言葉を待っていたかのようにクーリアは先へ先へと店を見て回っていると。

何やら甘くて美味しそうなニオイにつられてユキシロがフラフラと歩いて行く様子を見たムクロたちはその後を追って行くと。

何やら列を作ってプレイヤーが待っているようでその先に何があるのか見てきたユキシロがムクロたちの方に戻って来るや、何やら興奮しており。

ムクロはユキシロを落ち着かせて話を聞くことにした。



「主殿大変なのじゃ!!!この列の先には美味しそうなワッフルのお店があったのじゃ!!!

それもとてつもなく旨そうなワッフルだったのじゃ!!!もちろん並んで食べたいのじゃが・・・・ダメかのぉ??」

「ユリハ達もOKらしいし並んでみるか。

こういうのもグロリアでしか体験できない事かもしえないしな。」

ユキシロの見てきた店はレイ達が向かっていた店の1つで、グロリアに最近オープンしたワッフルの専門店で。

グロリアで採取した素材を使ったフレーバーが楽しめると言う店であり周りには匂いにつられて見に来ていたプレイヤーやワッフルを食べているプレイヤーにかかっプルなのか食べさせあっているプレイヤーの姿もあり。

ユリハ達はその光景を見てごくりと唾を飲み・・・・ムクロに視線を合わせつつ進んで行くとついにムクロたちの順番になり、商品を注文してから近くの休憩所で座って食べることにした。



「あぁぁ~~ん!!んむ!?コレは美味いのじゃ!!!

甘すぎず薄すぎずで中はふわふわじゃが外はカリッとして最高なのじゃ!!!

これなら4・・10個はいけるのじゃ!!!」

「あはは・・・ユキシロ、もうちょっとゆっくり食べようよ・・・・

でも、これすごく美味しい!!」

「ムクロ君はどんな味にしたの??私はストロベリーにしたけど・・・・」

「俺か?俺のヤツはバニラアイスの入っただ。」

「ムクロは本当に甘いものが好きだな。

いつか本当に太ってしまうぞ??」

「ですがご主人様はもう少しお肉を付ける方がよいかとも私は思います。

――――――――――アムアムアム・・・」

「そうね、ムクロはやせすぎのような気もするわね。

だったら私のワッフルを一口食べなさい。」

エリエントの先手にユリハ達も負けてはいられないと休憩所であったはずの場所がいつの間にか戦場と化していた―――――――――

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