第452話 風邪ひきのクーリア

―――――――――――――プライベートホーム


 ムクロはプラン内容に納得した上でユリハ達にいつこのプランを決行するのかと問うと。

現実で用事を済ませた後、ホームに集合してからという事に決まり。

ムクロたちはグロリアをログアウトすると、ちょうどいいタイミングで姉さんから夕食が完成したと呼び出しが入り台所に向かった。



「で、今夜のグロリアは由里とコトハたちが考えたルートに沿って街を回るって言う内容でさ?姉さんはどうする?」

「もちろん参加する!!

そんな楽しそうなプランなのならなおさらね。

だから早くご飯や用事を済ませてグロリアに向かわないと。」

悠一の話を聞いた涼孤はパクパクと料理に手を付け始め、悠一も手早く夕食を済ませると。

涼孤は皿を洗っておくと言って悠一をお風呂に行かせ・・・用事が済んだ悠一はお先にと部屋に戻ってグロリアにログインしてホームに向かった。



「あれ?ムクロ君・・・ミストは一緒じゃなかったの??」

「あぁ、ミストはお風呂に入ってると思うからもう少しだけ時間がかかりそうだ。

コトハもまだのようだが・・・・」

「私ならここにいるわよ?さっきムクロと同じタイミングでログインして戻って来たのよ。

この様子だとミスト待ちといった所かしら?」

「うむぅ~早く主殿たちと街をぐるぐるしたいのじゃぁ~」

「そうだね。

私も早くみんなで色々見て回りたいなぁ。」

「でしたらその間、お茶でも飲んで待っていますか?

それともお茶を飲むくらいの時間はないのでしょうか??」

レイの問いにムクロはお茶を飲んで待っていると答え。

その言葉を聞いたレイはすぐに用意をしてリビングにやって来ると、1人1人に手渡してから席についてお茶に口を付け始めた。



「はぁ~今日もいいお味です。

それにしてもクーリアが風邪とは本当に意外でした。

クーリアだけは風邪にならないと思っていたのですが・・・」

「あはは・・・それってどういう意味なのかな・・・・

でも、今日見舞いに行った時は元気があったけど・・・明日は学校に来るのかな?」

「きっと来るわ。

何せ耀子の楽しみにしてる昼休みと午後からのグロリアができないとなると少し熱があっても来るはずよ。」

「熱があったら家でゆっくり休んで安静にしていて欲しんだけどな。

まぁクーリアに何を言っても聞いてくれなさそうだが・・・ん?どうしたんだ?

どうして俺の方を見ているんだ?」

ムクロは自分の言葉を発した後にユリハ達が見ていることに気付き。

どうしてこっちを見ているのか問うと、ユキシロやファムもため息を吐いて呆れた様子でお茶を飲み始めると。

ホームの扉が開きミストが遅れたと言って駆けこんで来た。



「ミスト、お帰り。

ムクロ君からあらかたの話は聞いてたから待ってたの。」

「だけどミストだけ飲まずに行くって言うのもアレだからミストもお茶を飲まない?

今すぐに出ないといけないプランでもないから気にしなくていいわよ。」

「それではすぐにご用意を・・・・」

「え、あ・・・・ありがとう。

この様子だとクーリアは来ていないようだな・・・少しだけ安心したぞ。」

「うむぅ~クーリアならアタイたちの目をかいくぐってでもログインしてきそうなのじゃ・・・主殿たちはそういう場合見つける手立てはあるのかの??」

「みんな、クーリアを疑い過ぎだよ?

こういう時くらいクーリアは家で寝ていると思うよ?」

ファムの言葉にムクロたちは言い返すことができず・・・お茶をすするとレイはミストにお茶を手渡して席に着き。

話の流れから気になったレイはウィンドウを開いてかかチャカチャと操作して・・・・



「こちらのプランはプランで面白そうなのですが・・・これを見てくれませんか??このに見覚えは??」

「あぁ・・・・これはだな・・・仮面をしてもコレはバレると思うんだが・・・・」

「えぇ!?もしかしてクーリアがグロリアにログインしてるの!?」

「はぁ~やっぱりこうなるのか・・・・だが、どうする?

無理に言ってもクーリアは言う事を聞くか・・・・」

「無理に言えばね。

だからムクロにだけ行かせたらいいんじゃないかしら?

ムクロになら少し言われてもクーリアは納得して帰ってくれると思うから。」

「うむぅ・・・アタイもエリの意見に賛成なのじゃ。

アタイたちが行けば間違いなく逃げるじゃろうし・・・・主殿ならばそこまで警戒もされないじゃろう。」

「と、言う事だからムクロはクーリアを追いかけに町の広場に向かって!!

ナビはレイと私に任せて!!」

ファムやレイ達の言葉からクーリアを追いかけるハメになったムクロはホームを飛び出し、ナビゲートに従ってクーリアを探していると・・・・・



「アレ??本当にここにいるのか?

辺りには見えないんだが・・・・・どこかに隠れてるのか??

いや、噴水越しで見えなかっただけだったようだ。

これから接触してみる。」

「そうですか、でしたらできる限り警戒されないようにして接近してください。

――――――――――ご武運を。」

「あ~~~ん・・・んげッ!?

む、ムクロッち・・・・いや、コホン・・・どうしたの??。」

クーリアは目の前に立つムクロに対して酷いリアクションを取ってから・・・・まずいと感じたのか口調を変えて言い直していたが、ムクロはひょいとマスクを引き剥がすと・・・・



「でへへ・・・ばれちった・・・・」

「クーリア・・・ちゃんと寝てないと駄目だろ?

どうしてグロリアにログインして来たんだ??」

ムクロは無意味だと知りつつもクーリアに質問すると。

クーリアはぎゅっと握り拳を作りながらムクロにどうしてログインして来たのかを説明し始めた。



「それは・・・ちょっとは体が楽になったからログインして情報でも集めに行こうかと思ったんだ。

だって一日中寝てるだけなんて私にはできないし・・・・ムクロッちならわかるでしょ??この気持ち・・・・」

「まぁ・・・そうだよなぁ。

いつもなら帰ってからすぐに夜までグロリアしてるんだもんな・・・・

でも俺はグロリアも大切だが現実でクーリアと会えないのは少し寂しく感じるな。

いつもの賑やかさがないって言うか・・・・クーリア??」

ムクロはこれから語ろうと言うところでクーリアをチラッと見ると。

何だか嬉しそうな表情をクーリアがしており、ムクロが声をかけると同時にクーリアは手に持っているアイスを食べ終わったらログアウトするからと言って。

ベンチにムクロを座らせた。



「それだったら食べ終わるまで待つけど・・・本当に体は大丈夫なのか?

こうやってログインしてるだけでも体力を使ってるから少し心配なんだが・・・・」

「大丈夫だって!!!ほらムクロッちもひとかじりどうどう??ほらア~ン!!」

クーリアは平気と言ってムクロの口にアイスを近づけて食べさせると。

満足げにクーリアもアイスを食べきり・・・クーリアはベンチから立ちあがってログアウトをすると言い出した。



「ムクロッち・・・本当はユリハ達に言われてきたんでしょ??

それくらい言われなくてもわかるよ・・・でも、ちゃんと私を見つけてくれてありがとね。

えへへ・・・・よぉ~し!!!これからしっかりと休んで明日は学校に行かないとね!!!

そう言うわけだからムクロッちオツオツ~」

「あぁ、お疲れさん。

――――――――しっかりと休むんだぞ。」

クーリアは照れ笑いをしながらログアウトするとムクロはユリハ達の待つホームに戻っていった――――――――――

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