第428話 耀子のお願い
――――――――――――――下校中
如水さんに連れていかれるのを見る前に由里は悠一たちをすぐにこの場から去ろうと言って商店街の方へ連れて行くと。
まずは落ち着きたいからと言っていつもの喫茶店に入った。
「悠一君・・・それにみんな・・・本当にごめんなさい。
それと・・・ありがとう。」
「いや、謝るのならこっちの方だ。
幾らでも手はあったのに何もできなくて悪かった。
この埋め合わをさせて欲しい。」
「悠一ぃ~1人でそう言うコト言っちゃ駄目だよ?
私たちも同じなんだから同じようにしなくちゃでしょ?」
「フフ、でも・・・嶺崎の扱うアバターの弱点を見抜いたのは見事のひと言よ。
だけどそれよりも気になったのはあの黒いアイテム。
黒い聖水・・・ブラックアリアリーゼ・・・・レア度も性能も何もかもが不明の謎のアイテム。
見ただけで答えると使用したプレイヤーのアバターを強化変質させ精神的に大きな負荷をかけるチートアイテムと言った所かしら。
それに通話の相手が誰なのか・・・・・本当に終わったと思ったら面倒なことに巻き込まれてしまったわね。」
「だが、面倒事を前にしたとして悠一が無視をするはずもないからな。
今回の件もユリハ達が絡んだ時点で相手側が手を出してくるのは必然だ。
今後も気を引き締めないといけなくなってしまったと言うわけだが。
この場だけでも由里が無事に解放されたことを祝いたい。
それと私も何もできなくて悪かった。
一番の年長者なのにな・・・ほんと駄目な年上で悪い。」
涼孤たちの言葉に由里は手を振って謝らないでと言っていると。
悠一はその由里の手をぎゅっと握りしめ、そっと「お帰り」と言った。
「ゆ、悠一君・・・・うん・・・ただいま。」
「それじゃ私も上から失礼して・・・・由里、お帰り。」
「あ~ズルイ!!私も!!由里おかおか~コレで明日からまたいつもの日常に戻るね!!いやぁ~~~本当に良かったよぉ~うんうん。
だって由里がいないだけで悠一ってば本当にしょんぼりしちゃってたしさぁ~」
「そうね、私たちじゃ由里の代わりはできないから帰って来てくれて私もホッとしているわ。
だって・・・悠一が見せる笑顔はいつも由里に向いてるから・・・・」
コトハの言葉に由里はそんなことないと言って由里と2人で話してた時にコトハの話をしている悠一の顔を見ると笑っていたと言うと同時にコトハは顔を真っ赤にして水を飲み干していた。
「ゆ、由里・・・もうその辺でいいわ。
私の事よりも今回は由里が無事に戻って来たという事と今後の計画を練る必要があるって言う事だと思うの。
イベントが終わってすぐにこんなことになったけど関わった以上は手を打っておかないといけないわ。
だから情報収拾は耀子と悠一の信者であるレイたちに任せるとして。
何せ今回の件で由里が狙われたのも何か狙いがあったのかもしれないし本当に謎だけを置いて行ってくれたわね。」
コトハが今後の事について語る中、注文した商品がやってくると。
難しい話はまた後でと耀子の発言から由里たちもケーキと紅茶を食べ始め・・・・
「それとさ悠一・・・今日あたりに約束のダンジョンに付き合ってもらう約束をしてもらっていいかな??
今日のタイムスケジュールに狙いたいダンジョンがあるんだけど・・・・」
「本当に急だな・・・でも、約束したから付き合おうかな。」
「悠一君!?そんな約束いつしてたの!?
まさか・・・私が離れてたイベントの間に・・・・・」
由里は軽く脳内を整理して耀子に問うと。
耀子はすんなりと頷き、今日のダンジョンについて軽く説明をすると由里もポイント勝負で勝ったことによる願いを聞いてもらうと言う約束をメールにして送り。
目の前にいた悠一にメールが届くと、悠一は内容を把握すると由里にコクリと頷いて返事をしていた。
「もう、2人して何をしてるの!?
口に出せない会話は駄目だよ!?本当に涼孤さんにコトハもいるのに止めてよね?
もしも2人が暴走してもしんないよ?」
「あはは・・・姉さんとコトハに限ってそんなことはないと思うけど。
今日の耀子とのダンジョンは2人で潜る内容らしいから終わり次第ホームで合流だな。」
「そう・・・私たちから悠一を独占して何をしようとしているのか知らないけど私たちの目が生きているうちは悪い事をしない方が身のためよ?
―――――――――ねぇ、涼孤さん??」
「まったくその通りだ。
現実出会ってもゲームであってもマナーというものは持っていてもらいたい。
2人っきりで楽しむのもいいが待たされる私たちの事も考えてダンジョンをクリアして来て欲しい。
あと・・・・帰り次第にダンジョン内で起ったことについて話しをしてもらおうかな。
これも安全性を確立するためだ・・・・文句を言わないでくれよ?」
「さすが涼孤さん・・・徹底してるなぁ・・・あはは。」
由里は涼孤の徹底ぶりに驚きながらケーキを食べ、ゆったりとティータイムを満喫していると―――――――
「ん?如水さんからだ・・・・」
「もう嶺崎の事について調べたのかな??
それとも何かの情報が??」
「どうだろうな・・・私たちは如水さんの仲間ではあるが正式な一員じゃないからどこまで話してくれるかもわからないし。
嶺崎のことだ・・・手を焼いているのかもしれない。」
耀子たちは悠一と如水さんとの会話の邪魔にならないようにヒソヒソと話していると。
悠一は通話を切って紅茶に口を付けて天井を見上げていた。
「で、どうだったの??何か情報とか得られたのかしら??
いつもならもっと重大そうに話をするのに・・・何か言われたのかしら?」
「いや、そうじゃない。
情報は幾つか聞けた・・・・嶺崎の使用したアイテムはやっぱりあの時のアルスの副産物だったらしい。
だが、だれがアレを解析して作ったのかまでは不明で効果も安定性のない不出来なモノだったとか。
あとは嶺崎は明日から何事もなかったかのように復帰するらしい。
改造されたブロッサムは没収で基本的に使っていたブロッサムも純正のデータに変更済みだそうで、アイツ自身がコレで下手に行動できなくなったわけだが。
――――――――由里・・・・大丈夫か?」
「え、う・・・うん・・・少しだけ嫌なことを思い出しちゃって。
でも、大丈夫だよ!私には悠一君たちがいてくれるから!!でしょ?」
「もちろんだよ!!何と言ってもこの私がいないと始まらないからねぇ~
それにさ?嶺崎が戻ろうとも関係ナッシングだよ!
今日の戦いでそれを証明できたしさ?」
「うむ、耀子の言う通りだ。
今日の戦いで嶺崎も思い知った事だろう。
女をナメると痛い目を見ると言う事にな。
さて、そろそろ家に戻るとするか・・・・」
涼孤は悠一たちの皿やカップに何も残っていない事を確認すると帰る準備を始め。
清算を済ませて家に帰って行った。
「それじゃ今日は適当に夕食を作るから・・・・
あと、今日の事についてだけど・・・本当に良かったわね。
これで悠ちゃんの日常が戻るわね。」
「あぁ、これも姉さんたちの支えがあったから・・・・
本当にありがとう姉さん。」
悠一は涼孤に感謝の言葉を述べてから部屋に入ると。
すぐにダンジョンに行きたいという耀子からのメールを確認し、すぐにグロリアにログインしたのだが。
「もう!!!ムクロッちおっそいよ!!!
すぐに来てっていったじゃん!!!
あと数十分でボーナス終わっちゃうんだよ!!!もうさっさと行こ!!」
「あはは・・・悪かったって。
こっちも現実で色々やってたから仕方ないだろ?」
ムクロの言葉にクーリアはプンプンと怒りながらクエストの設定を済ませてムクロをメンバーに入れ。
2人はすぐにクエスト会場であるイベントダンジョンへとポータルで向かって行った。
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