第412話 緊張の後の緩み
―――――――――――――――中級層:森奥
ファムはボスモブの繰り出すツタの追尾を振り切りながらツタに攻撃をくわえつつ。
地上ではユリハ達がボスモブに攻撃を当てていると。
ボスモブはユリハ達の攻撃で気が付くと、ファムに攻撃を集中させるのではなく・・・ヴァニスに攻撃を始めた。
「えぇ!?あんなのどうやってよければいいのよ!?
私こんなヤバイの受けたら消えちゃうよ!!!!」
「ウダウダ言わずに武器を構えるのじゃ!!!
アタイの攻撃と同じタイミングで攻撃を入れれば何とかなるのじゃ!!!
ユリハはアタイたちにかまわず攻撃をするのじゃ!!!」
「くッ・・・・わかった!!!
その代わり2人とも無事に戻って来てね。
2人に何かあったら私・・・本当に怒るからね!!!」
「下の方に攻撃が回ったって言う事は上にいる私が少し有利って事か。
なら・・・私は私でモブに攻撃をしようかな!!!
―――――――――いっけぇ!!!!ナパームボム!!!」
地上ではユリハが攻撃をする中、上空からはファムのスペルでの攻撃で威力が落ちたのか・・・・
ヴァニスの方に飛ばされた木を打ち付ける攻撃を2人はタイミングを合わせて攻撃を撃ち込むことによって粉砕し。
ユキシロはヴァニスにこれからユリハの援護に向かうと告げ、ヴァニスもコクリと頷くと。
2人はユリハの攻撃をしている方に走って行った。
「テイッ!!!テイテイッ!!!!テイヤッ!!!!!
はぁはぁ・・・・上空にいるファムとの攻撃で何とか黄色バーまで体力を削れたけど。
これからこのモブが何をしてくるのかがわからない以上・・・・無闇に攻撃するのは危険かな・・・・」
そろそろ何かを仕掛けてきそうだとユリハの勘が正しかったのか。
地面が再び揺れ始め、木材の様な材質でできていたボスモブの体が崩れたと思えば・・・その体の加から大きな口と黒いツタを生やしたモブが現れ。
ツタに浮かび上がる目がギョロリとファムやユリハ達を見つけると。
大きな口からじゅるりと言う大きな音を立て・・・・先ほどまでとは比べ物にならない速度で動き。
ユリハに向かって全体重を叩きつけるボディプレスを仕掛けていた。
「グシャァァァァァァァアアァァァ!!!!!」
「ぬぐッ!?この距離じゃと間に合わないのじゃ・・・・・ユリハ!!!すぐに逃げるのじゃ!!!」
「あんなところからじゃどうやっても逃げられないわよ!!!
ここはユリハと上空のファムの動きに賭けるしかない!!
上手くやってよ・・・・ファム・・・・」
ヴァニスの願いが通じたのか、ファムは閃光が走ったかのような勢いでボスモブの体にランスを突き立て。
ユリハに直撃しかけていたボディプレスの軌道をずらすと。
ユリハはファムに感謝をしながらその場から退避したがファムに異変が起きていた。
「ぐッ・・・・体に黒いツタが・・・絡みついて動けない・・・・」
「ファムッ!!!!あの攻撃の瞬間にモブ自身が何かを自らの体に仕掛けてたの!?
早くファムを助けないと・・・・でも、どうしたら・・・・」
「ユリハ!!ここは考えるよりも先に動く時なのじゃ!!
主殿なら先に動いていると思うのじゃ。
じゃからアタイたちも動きながら考えて行動するのじゃ。」
「今回はそれがいいと思うわ。
ファムをすぐに助けに行きたいけどあの黒いツタが問題だと思うから・・・・
あのツタを私とユキシロが何とかして見せるからユリハはあのモブにガツンと攻撃を入れて倒しちゃって!!!
高貴な私なら簡単だけど・・・ここはユリハがやらないとでしょ!!!
そう言う事だから私とユキシロは先に行くよ!!!」
ユリハの意見を聞く前に2人はファムが捕まっているモブの方へ駆け出し。
地面を裂いて飛び出してくるツタを切り捨てながら2人は進み・・・・
ユキシロが黒いツタのカーテンをこじ開け、ヴァニスの切れのあるスキルを叩き込むと。
さらにモブはスペルをチャージしており・・・・・
「ぐぅ!?マジ!?まだ攻撃を蓄えてたの!?」
「ぬぉ!?!?コレは少しばかりマズいのじゃ!?危ないのじゃ!?
じゃがアタイたちの足もツタによって動けぬのじゃ!?!?」
「任せてッ!!!2人が作ってくれたスキは無駄にはしないよ!!!
コレで完全に決めて見せる!!!そこッ!!!!
――――――――――
「グギャァァァァァアァァァ!!!!!!!!!!」
モブの急所である頭にユリハのスキルが突き刺さると。
モブの残り少ない体力が消滅し、激しい鳴き声を上げながら倒れ。
ツタに拘束されていたファムやユキシロたちは無事に解放され・・・・
モブの目の前に立っていたユリハの元へと集まった。
「ユリハありがとう!!!」
「わッ!?っと・・・ファム・・・それに2人も無事でよかったぁ~
一時はどうなるかと思っちゃったよ。」
「それを言うのは私たちの方よ?
何せあと少しであの光線をモロに浴びるところだったんだから・・・・
あんなの喰らっちゃったらどれだけ私の高貴さがあったとしても耐えられないわ・・・・」
「ぬぅ~~~じゃが本当に見事な攻撃じゃった。
それにこれだけ大きなモブを仕留めたのじゃ・・・きっとポイントもそれなりについたはずじゃ。
にしても・・・お腹が減ったのじゃぁ~~ぬふぇ~~~」
緊張の続く戦いが終わった途端に響くお腹の音は笑いを誘うには十分で。
その音を聞いた途端にユリハ達は笑いながら武器をしまい、今日のモブ狩りは終わりにしてテントで何かを食べることとなり・・・・一目散にユキシロは飛んで帰り。
それを追う形でユリハ達もテントへと戻って行った――――――――――
「ぬえっふぅ~~~もう食べられないのじゃ~~~げふぅ~~~」
「本当に沢山食べたもんねぇ~~
私もついつい食べ過ぎちゃったよ。
それにしてもユリハの料理テクニックはすごいよね~
どんなアイテムも美味しくしちゃうんだもん。」
「えへへ・・・ありがと。
でもね?私も初めからこうだったわけじゃないんだよ?
ずっとね・・・自分の為に料理をしていたんだけど・・・それがいつの間にかここまでできるようになったんだけど。
でもやっぱり自分のためじゃなくて誰かのために作る料理が美味しいって言うのが本当と思うんだ。」
「人のため・・・かぁ~~
それならユリハはムクロの為にうんと美味しい料理を作らないの?
御馳走したことあるんでしょ?
まぁ?高貴な私なら美味しいものを作るよりも食べに行く方が好きなんだけど?」
最後の方の話をユリハは流しながら先ほどまでヴァニスが言っていたムクロに食べさせた事があるという質問に答え始めた。
「あはは・・・実はムクロ君には色々と手料理を振舞っているんだけど。
元々ムクロ君はグロリアで料理をする人じゃなかったしグルメでもなかったからリザードマンの足の素焼きとか魚の塩焼きが・・・とか言ってて・・・・
なんだかそう言うところでもムクロ君と私って違うんだなぁって思っちゃったよ。」
「ぬぅ~主殿の焼いてくれたリザードマンの骨付き肉はサイコーじゃからのぉ~~じゅるり。」
「あ、アレは私も美味しいって思っちゃった!!!
それに私も魚の塩焼きを一緒に食べたけどホワホワしてて美味しいんだよね!!
でもってムクロは何も料理ができないんじゃなくて必要最低限の仕込みで美味しく作る方法をしているだけだと思うからユリハが落ち込むことなんてないと思うよ?」
「そうよ!!!女の手料理は男のモノとは込める者が違うのよ!!!
あ・・・・私はあんまり手料理とかしないし?
失敗とか・・・ヤダだから・・・・ううん!!ただ面倒なだけよ!!!
そうよ!!!高貴私は作るよりも食べる側!!!
だから今度私もムクロにリザードマンの骨付き肉ご馳走してもらおうかな!!!
みんなだけ食べててズルいとか羨ましいなんて思ってないわよ!?」
ヴァニスの言葉にユリハ達はニコニコと笑いながら暗くなっている空を見て、ムクロたちもこの空を見てるのだろうかと想像しながら手に持ったカップに口を付けながらそのまま天を眺めるのであった―――――――――――
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