第386話 待ち時間の間のメンテナンス

――――――――――――――中級層荒野:オアシス近くの狩場


ロードガルムは全身から赤黒いオーラを放出させながら巨大な斧を大きく構え。

ムクロたち全員に狙いを定めると。

ムクロはロードガルムの仕掛けてくる技に心当たりがあり・・・全員に回避するように語ると同時に・・・ロードガルムは大きな唸り声と共に巨大な斧から衝撃波を飛ばしてきていた。


「ぐぐぅぅうぅ・・・・ムクロッちの言った通りに回避してなかったら終わってたね・・・アレ・・・・

にしても破壊力メチャクチャじゃない!?」

「破壊力は抜群でもスキルの内容を知っていれば何とか回避は可能よ。

でも、コレは本当にすごい威力ね。

次を撃たれる前に何とか仕留めないとって・・・・ムクロは先に飛び出してるから私たちも続くわよ!!!

ほら、ファム!!!ムクロに続いて移動するのよ。」

「う、うん!!!

にしてもムクロは本当に行動が早いね・・・・追いかけるのがやっとだよ。」

スキル攻撃を出し終えたロードガルムのスキを突くようにムクロは煙の中からロードガルムにスキルを叩き込むと。

ファムが追い付くまで・・・アヤカは連続で銃を連射していると。

ガルムは巨大な斧をアヤカの方に投げ込んだ。


「アヤカッ!!!!!!ぐッ・・・このッ!!!

よくもアヤカを!!!絶対に許さない!!!

―――――――――――バーニングランス!!!」

「今はアヤカの為にも勝つ必要がある・・・・

だから俺たちは手を緩めずに最後までやり切るぞ!!!

うおぉぉぉおぉぉお!!!!

――――――――――シャドークリエイト!!!

――――――――――――ブレイブダンス!!!」

2人はアヤカが消滅していないということを信じて攻撃を繰り出し。

クーリアとエリもグッと奥歯を噛み締めてスペルを放ち。

体力バーが赤色になると・・・ロードガルムは辺りにいたムクロたちを弾き飛ばし。

体中から再び赤黒いオーラを漂わせ・・・スキルを発動しようと構えると・・・・


「その攻撃スキルは・・・見飽きたわ。

――――――――――Sit down!!」

「あ、アヤカ!?やっぱり生きてた!!!

うぅぅう~~~もうこうなったらスキルを放つ前にアイツを倒しちゃお!!!

―――――――――先手必勝!!ファイヤーボム!!!」

「フフフ・・・簡単には消滅する玉じゃないと思っていたけれど。

本当に・・・アヤカもムクロと同じくらいタフね。

それじゃ・・・最後の攻防戦といきましょ―――――――」

「そうだな!!!行くぜみんな!!!」

「うん!!!でも、アヤカは無茶しないでね!!!

体力バーが黄色だからアレを喰らうと大変だから。」

ファムの忠告を受けて頷くと・・・アヤカは消えてもいいと言う覚悟で突撃し。

ムクロとタイミングを合わせてクーリアたちも攻撃を開始し。

ロードガルムがスキルを放つまでに何とか倒し切ると。

アヤカは相当疲れたようで・・・その場にぺたりと座り込んでしまっていた。


「あ~あ・・・今回は無茶しないようにしようと思ってたのに。

結果的にムクロよりも無茶して武器もボロボロ・・・本当に私ってダメね。

重要な所でポカしちゃうなんて。」

「いや、そんなことない。

アヤカがいたから俺たちはこうやって戦えたんだ。

だから負傷した原因も武器の破損も俺たちにある。

つまり・・・その・・・負担をかけて悪かったな。」

「うんうん!!今回はムクロッちがもう少し周りを見て行動をした方がよかったよね。

それはそれでよくアヤカはあの斧を喰らって助かったね・・・・

私たちが見た感じだとモロに直撃してる感じだったけど。」

「きっとハードプロテクションでしょ。

遠距系武器を装備中に効果の出るバフスキルよ。

でも・・・それを使ったとしても相当なダメージがあったと思うけど。

他に何か使っていたのかしら?」

「そんな事よりまずはアヤカの傷の手当をして拠点まで戻ろうよ。

ここにいたらまたワーウルフたちがやって来るかわからないし。

またボスモブが出てきたら面倒だからね。」

ファムは辺りを警戒しながらそう語ると。

ムクロたちは手分けしてアヤカの手当てをしようとするが・・・アヤカは自分でできると言ってバンテージを撒きながらムクロたちに辺りの警戒をするように伝えると。

数分後、アヤカの体力バーは正常になり。

破損した銃を直すために拠点に戻ることとなった。


「で、アヤカ・・・銃の損壊状況はどんなものなんだ?

街に戻る必要があるんじゃないか?」

「そうね・・・この状況だと結構な確率でジャムりもするし。

まっすぐ飛ぶかもわからないわね・・・・

取り換え用のパーツで組み替えてるけどどこまで戻るかわからないからやっぱり街に戻って武器を調整するしかないかもしれないわ。

だから少しだけ街に戻って銃の調整をして来てもいいかしら?」

「そりゃモチロンOKだよ!!!

それまで私たちはここでキャンプするなり水遊びをするなりして待ってるからゆっくり調整してきてよ。

それに・・・アヤカがいないと後方がすごく不安だしね。」

「そうね、後方にアヤカの援護があるかないかはとても大きいわ。

だからアヤカの帰りを待つのは賢明な判断ね。

そうと決まればアヤカは早く戻って修理を開始すると良いわ。

パーツならレイに聞けば安く手に入る所を紹介してくれると思うから使ってみるのもありよ。」

「あはは、それじゃ私もアヤカの護衛役として街について行こうかな~

べ、別に食料の調達をしに行くわけじゃないよ?

ただ・・・・武器のない状態のアヤカを1人にできないと言うか・・・・

ムクロと違ってみんながみんなソロで強いと限らないからね。

だから私はアヤカの護衛役として付いて行くよ。」

アヤカはファムの護衛はいらないと断ろうとしたが、ファムのキラキラとした視線に断ることができず。

2人仲良く街へと帰って行くと・・・・

クーリアとエリはテントの中で水着に着替え・・・アヤカが戻ってくるまで自分たちも武器の整備をしようと言ってメンテを始めると。

どうして水着でメンテをするのかムクロは2人に問いかけた。


「えっと・・・どうしてエリもクーリアもで武器のメンテをしているんだ?

その恰好だと作業しにくくないか?」

「ん?どうしたのかなぁ~ムクロッちィ~私たちの水着をジロジロみてさ。

私たちの武器のメンテじゃなくて水着ばっかり見てるとユリハに怒鳴られちゃうよ?

それに・・・この格好の方が動きやすいから便利でいいよ?ねぇ、エリ。」

「そうね、でもクーリア。

話をしてないで武器のメンテをする時はもっと集中してやりなさい。

これもモブを狩るとき同様に大切な事なのよ。

あとムクロも時間があるのならその使い勝手のいい黒い剣でもメンテしてたらどうかしら?」

クーリアたちに言われてムクロは剣を取り出し。

月の光を当てて研磨作業を開始ると・・・離れて作業をしていたクーリアとエリは少しずつ近づいてきており。

いつの間にか2人はムクロの真横で杖の整備をしていた。


「ん~この持ち手の部分にテープでも撒こうかなぁ・・・

もう少しぎゅっと握れ方が良いと思うんだけどなぁ・・・・」

「私の方は磨気が足りないのかしら?

もう少し光沢が出るはずなのだけれど・・・・ムクロはコレをどう思う?」

「アハハ・・・2人ともちょっと近いんだが・・・もう少しだけ距離を取ってくれないか?」

2人はズズイとムクロに近づき・・・武器がどうとかココをどうすればいいのかと尋ねて来ており。

クーリアとエリが移動しないのならと、ムクロはくるりと反対側を剥きながら2人の武器にアドバイスを入れながら自分の武器のメンテナンスに入った。

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