第359話 後を追う影

―――――――――――――――昼休み


授業が終わり悠一たちはクラスメイトに囲まれて動けなくなる前に屋上へと非難し。

弁当を広げて安息の時間過ごしていると・・・・


「ねぇ、悠一は今日・・・放課後に時間あったりする?」

「いや・・・あはは少し用事があってさ・・・あはは。」

「ふ~ん・・・また何か匂うわね・・・悠一は嘘が下手だからあんまり話さない方がいいわよ?全部バレるのが落ちだから。」

耀子は残念と箸を加えながら天を眺め・・・悠一がよそ見をした瞬間。

悠一の弁当にあったトマトを獲って食べていた。


「耀子・・・人の弁当から獲るなんてマナーが悪いわよ?

こういう時は丁寧に頼んでから貰うものよ?

悠一、そのおかず貰える?」

「え、あはは・・・ハイ。」

「それ・・・私から見たらカツアゲにしか見えないよ??

それに悠一も嫌なら嫌だって拒否してもいいと思うよ?」

耀子にぐだぐだと言われながら悠一は2人から食べた分のおかずのお返しを受け取ると。

上げたモノよりもおかずが増えていた。


「ふぅ~ご馳走様っと・・・で、今日のグロリアはどうすんの?

あの野営地からでいいの?」

「そうだな、あそこから出発してから下にいるゴーレムとかキメラを倒しつつボスを出すのもいいかもしれないな。

それとは別にプレイヤーが来ていないかも確認しないとだな。」

「そうね、私たちがいない間に荒らされている可能性もあるからしっかりと注意していかないと駄目ね。」

と、再び会話が途切れ・・・由里達がいない分だけ会話に弾みがなく。

他に何を話せばいいのかと3人は考えていると・・・・


「えっと・・・今日は誰とどこに行くの?」

「耀子・・・それは聞いたら駄目だって・・・」

「すまない、それは言えない。」

悠一の態度に耀子たちは答えが出ていたが・・・気を使って言わない悠一に耀子たちもそれ以上何も言う事が出来ずにいると。

耀子は・・・


「それなら・・・次は私が悠一と2人っきりで会える?」

「耀子がそう言うのなら私も大丈夫かしら??」

「そうだな、俺は構わないが。

あんまり遅くならない時間で頼む・・・

今はイベント期間だからな。」

悠一の答えに2人は少しだけ笑みを浮かべると、午後の授業の移動教室の用意があると言う事で早めに教室に戻り教材を持って移動することとにした。


それからしばらくして・・・・午後の授業が終え、悠一と耀子たちは互いにバラバラに解散すると。

悠一は由里の待つ喫茶店へと入ると、そこにはブロッサムを触りながら時に紅茶を飲む由里の姿があった。


「あ、悠一君・・・おかえり。」

「ただいま、なんか・・・こうやって会うのって初めてだよな。」

悠一の言葉に由里はクスクス笑って悠一を席に着かせ。

メニュー表を手渡してきた。


「悠一君は何にする?カフェオレ?あとケーキもいっとく?ここの手作りショートケーキが大きくておいしいんだよ。」

「それじゃ由里の言ったそれを頼むかな。」

程なくして注文したものが届き、2人で喫茶店を満喫していると。

由里が急に笑い出し・・・


「なんだ?どうしたんだ?急に笑って・・・」

「だって悠一君の顔にクリームが付いてるよ?ホラ?」

由里は悠一の頬に着いたクリームを取ってペロッと舐めると。

これからどこに連れてってくれるのかと急に無茶な発言をし始め。

悠一は考えに考えた結果、近くのショッピングセンターにぶらぶらする事くらいしか思いつかず。

由里はそれならと言って会計を済ませ・・・2人でショッピングセンターに向かったのだが。

その後方には見慣れた影が2つあり、2人を追いかけていた。


「その、悪いな・・・どこに由里を連れていけば喜ぶのかわからなくてさ。」

「ううん、そんなことないよ?

私、悠一君と一緒にいられたらどこにいても楽しいよ。

それに・・・グロリアでも現実リアルでも言えるけど。

何をしたとかじゃなくて一緒にいられる時間が大切なんだと思うから。

だから私にとって悠一君と一緒にいられるこの時間が幸せなんだよ。」

「ぐぬぅぅぅ・・・あんなこと言っちゃってぇぇ・・・・由里のやつぅぅっぅ。」

「あの~お客様?どうかなさいましたか?」

「いいえ、ただの遠吠えだから気にしないで。」

店員に不思議がられて声をかけられたのはやはりと言うべきか・・・・悠一の態度から何をするのかと気になった耀子であり。

その耀子が妙な真似をしないか監視をするためにコトハが監視役として付いてきていた。


「耀子・・・そろそろ帰らない?あの2人を尾行するのは自分を苦しめるだけよ?

それとも耀子はマゾなのかしら?」

「だ、誰がマゾよ!?私は2人が過ちを犯さないように見張っているだけなんだからネッ!!!それに・・・・別に私は傷ついてなんか・・・・」

「へぇ~ここにペットショップがあるんだって~ちょっと見てもいい?」

「あぁ、すぐ近くだし覗きに行ってみるか。」

悠一と由里が動き出すとその後方から耀子がてくてくと移動し。

その後ろからコトハがジュースを飲みながら付いてきており。

2人も悠一たちを追ってペットショップに入ったのだが・・・・・


「うわぁ~色んなペットがいるんだね。

あ、カメなんているんだぁ~こっちはヘビだよ!!」

「由里って結構なんでもいけるんだな。

爬虫類とか大丈夫なら虫はどうなんだ?」

悠一の言葉に由里は少し固まり・・・モノによると言うと。

後方にいた耀子たちは先に犬や猫のコーナーを見ており。

由里達を放置して癒されていた――――――


「あぁぁこの子すげぇぺろぺろしてるぅ~~~コトハはどの子が良い??」

「私、あんまりそう言うのは・・・うぅぅ・・・このネコ・・・ふさふさで気持ちよさそうね。」

我慢しきれずにコトハはコトハで猫のふわふわに魅了され、グロリアにログインした際に2人はユキシロをモフモフすることを誓うと。

由里達の尾行を再開して探していると・・・悲鳴と共に由里を発見した。


「悠一君!?コレは駄目だよ!?私が駄目なヤツ!!!早くアッチ行こうよ!!」

「えっと、由里?ここは店だから静かにしような。

すみません・・・・あはは。」

由里はカブトムシの幼虫が見えるキットの数を前にした途端・・・いつも冷静な由里には珍しく吠えており。

その騒ぎ立てる由里の表情を見て悠一は笑いながら移動すると・・・由里は悠一の頬をムニっとして笑い過ぎと注意し。

悠一には苦手な物がないのかと尋ねるが・・・・


「そうだな、俺は特に生き物や食べ物でも好き嫌いは特にないな。

あ・・・嫌いなものと言うか苦手なモノって言えば家事だな。

姉さんが家事をしてるから俺が妙にできなくてさ。

この前の2人がハワイに行ってた時も耀子とコトハに助けてもらってたんだ。

ん?由里??」

「あぁ~あ・・・こんな時にそんなこと言ったらダメなのに。

悠一はホントに学ばないねぇ~」

「そうね・・・悠一は何でも正直に言い過ぎるから仕方ないわ。

馬鹿正直なのよ。」

悠一の発言に激怒している様子を離れて見ていた2人はそのままどうなるのか観察していると・・・・


「で、涼孤さんから聞いたんだけど・・・その、耀子とコトハちゃんが数日の間悠一君の家にお泊りしたって言うのは・・・ホントなの?」

「あぁ、俺1人じゃなんにもできないからって耀子とコトハが助けてくれたんだ。

それがどうかしたのか??」

由里はジッと悠一の目を見つめ・・・ウソを言っている風には見えなかったのか。

それ以上の事は聞かず。

その代わりに由里は悠一を自分の家か悠一の家でお泊りがしたいと言い出し。

悠一は少し考え・・・姉さんの許可次第と言うと。

由里は頬を膨らませてブーブーと言ってふて腐れていた。

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