第325話 対策課配属による措置

――――――――――――始まりの都:本部中枢機密会議室


ムクロはデラントから渡された内容に目を通すと・・・・

ファイルには、このグロリアに特定のモブやボスクラスを汚染するウィルスが蔓延しつつあると言う内容で。

現段階ではNPCやプレイヤー等に感染したという事態が起きていない事から今のところは問題から削除されていたが。

いつプレイヤーに感染するのか時間の問題という項目も存在していた。

そして・・・現実にもその影響が出ているらしく。

ブロッサムを通じてウィルスが移動し信号機や電子機器に入り込み・・・情報の暴走現象が起こっていると言う事であった。

それらの内容を読んだうえでムクロはクーリアたちにファイルを渡すとキャレットたちにどうすればいいのか尋ねた。


「内容を読んでくれたから面倒な説明を省くとこうだ。

ムクロたちは私たちの所属するサイバーテロ及びウィルス対策課に事が済み終わるまで配属され。

それと同時に全員の現在位置をGPSで読み取らせてもらうわ。

つまり・・・24時間監視状態と言う事ね。

これは機密情報を知った上で話されるとマズイと言う事とムクロたちを守ることを兼ねていることをわかって欲しい。

あとはいつも通りの生活を送ってくれればそれでいいわ。

ただ言えることは・・・このウィルスの駆除が終わるか発信源を潰すことができるまで普通の生活とはいかないと言うところよ。」

「つまり俺たちはGPSから監視されながら生活をしなくちゃいけないって事だろ??

本当に準備が良いと言うか・・・いつからこの事件にかかわっていたんだ??

つい最近できたシステムでもなさそうだが?」

「さすがムクロだ。

ここまで見られたから言うが・・・約半年間はこの状態だ。

ウィルスの出どころ・・・ウィルスの削除方法を色々な方面からアプローチをかけて情報を収集し解析しているところだ。

だが、安心してくれ・・・悪いようにはしない。

少し不自由になるかもしれないが・・・慣れれば案外平気だ。」

「マジ・・・・私たち・・・監視されるペットになっちゃうの!?

こうなったら早くウィルスを見つけ出して解決させるしか――――――」

「落ち着きなさい・・・2人が言ってたでしょ??半年も探して大きな手掛かりがなかったのよ??

そんな状況で無闇に探してもしが現れたらどうするのよ。

無闇にキルすればいいわけじゃない・・・この状況をどうにかする方法を聞き出す必要があるの。

例えば・・・解除コードや対抗ワクチンのような物を作成するとかかしら?」

「私もエリエントと同じことを考えておりました。

この状況で無闇に探すのは無意味。

ウィルスの情報を姉さんに探してもらいながら私は対処の方法を考えましょう。

ワクチンができるのかわかりませんが・・・ご主人様たちの大切な空間を守りたいと思っているのは私たちも同じなのですから。」

「ウム!!!レイレイがこう言っておるのじゃ。

アタイたちもできる限り協力するのじゃ!!!」

「うんうん!!!でも・・・難しい話をしてたらお腹が空いちゃったね?」

ファムはシリアスな空間をぶち壊す発言をすると。

ムクロたちは今後の詳細ややるべき事が決まり次第情報をいつもの方法で頼むと。

ファムたちと共に食事をしに商店街に出て行った。


「で、ムクロたちにこの件を話して大丈夫だったんすかねぇ?

まだ子供だと思うんだが・・・・荷が重いって言うか・・・結構な法令違反してますよ?」

「あぁ・・・だが、これも規則だ。

ムクロ君たちを守ると同時に私自身も守らねばならない。

それに・・・・彼らは子供と舐めていたら泣くことになる。

彼らはそこら辺にいるプレイヤー達よりも勇敢で行動力のある若者たちだよ。

私たちの依頼を何度もクリアして見せた問題対処のエリートと言うべき存在さ。

泳がせてのびのびさせる方が私のやり方に合ってるし・・・そのうち何かしらの動きが出ると思うわ。

―――――――――――――きっとね・・・・」

デラントはキャレットの言葉に自分ものびのびしたいと言うと・・・「給料減額いっとく?」という発言に先ほど発した言葉を取り下げ。

涙を流しながら部屋を出て行こうとした時・・・キャレットはデラントにムクロたちの支えになって欲しいと伝えると。

デラントは「あいよ」とひと言だけいって部屋から出て行った。


「で、ムクロッち・・・レンブの様子を見なくて良かったの??」

「あぁ、きっと自分を見ている暇があったらクエストにでも行ってろって言われそうだからな。

それに・・・この事をユリハ達にどう説明すれば納得してくれるのか考えないとだ・・・・」

「その件につきましてはやはり正直に話すべきかと。

キャレットが直接ユリハやミストたちに説明してくれればいいのですが・・・

他にもアヤカにヴァニスもいることをお忘れなく。」

「あの2人は2人でややこしいのじゃ・・・早いうちにこの内容を伝えておくのが良いと思うのじゃ。」

「アヤカが怒ったら部屋の中で銃とか撃っちゃうかもしれないし・・・ヴァニスは無理って言いながら拒否しそうだもんね。」

「そうね、でも・・・話はムクロがするって言う事で決まりよね?だったら私たちは夕食の準備があるからログアウトするわね。」

そう言ってエリとクーリアはログアウトし、ムクロたちは伝える内容を考えながらホームに戻ると。

ホームの前でアヤカが待っていた。


「ちょっとムクロ・・・少しいいかしら??話したいことがあるんだけど・・・・」

「奇遇だな俺もアヤカに話そうと思っていたことがあるんだ。

怒らないで聞いてくれよ??」

と、ムクロはアヤカに尋ねると・・・アヤカは反応しないままホームに入り。

レイ達がお茶の準備をしている間にムクロは先ほどの話を伝えると―――――


「やっぱりと同じ内容だったのね・・・ホラ見なさいよ。

キャレットから私たち宛てに極秘って言う言葉付きで送られてきたわ。

それもさっきムクロが言ってた内容と殆ど同じことが書いてあるわ。」

「どれどれ・・・そうだな・・・俺が読んだファイルと同じ内容だな。

それに・・・この件名を見るとユリハ達にも伝わってるって事だろ?

何だか寒気が――――――――――」

ムクロはブロッサムに何も届いていないか確認のためにブロッサムのメールボックスを開くと、2件のメールを読み込み。

恐る恐る内容を読んでみると・・・

2人はムクロたちが倒した特異モブの件までは認めたが、その先の監視下に置かれることついてやウイルスについての内容には話をして欲しかったと激怒の声が書かれており。

ハワイで楽しんでいた2人に謝罪の文を送り・・・アヤカの方を見ると。


「で、この内容を読んだ時点で私たちも監視下に置かれ・・・ウイルス対策課とかいうのに配属らしいわ。

まぁ、どのみちムクロから聞かされた時点でこうなってたと思うし。

ちゃっちゃっと終わらせていつもの生活に戻りましょ。

そのためにも私たちはムクロに力を貸すわ・・・いつも通りね。」

「ありがとな・・・アヤカ。」

「アタイも主殿を永久サポートなのじゃ~~~~あふあふぅ~~

久々にモフモフして欲しいのじゃ~~~」

「私もいつもより巡回の数を増やして空から情報を探ってみるね。

何か変ったことが見つかるかもしれないし。」

「今後に控えた大切な会議もいいですが休めるときに休むのが私たちには大切なのですよね?ご主人様?

では、その休憩は今でございます・・・お茶をどうぞ。」

そう言ってレイは皆に紅茶の入ったカップを渡して少しの間だけブレイクタイムに入った。

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