第300話 レンブの動きと感じたままに

―――――――――――――始まりの都:本部ラボ室


レンブはミストにユリハ・・・エリと舐めまわすように見た目で力量を図ると。

ムクロとは違ってそこまで大した強さを感じないと挑発すると。

飛び出したのは3人ではなくムクロ本人であった。


「レンブ、それ以上言うのは止めておいた方がいい。

ユリハ達は俺と共に危険な任務や高難易度クエストもこなした仲間だ。

俺に何か言うのは構わない・・・だが、ユリハ達を傷つける言い方は止めろ。」

「それはどうもすみません・・・ですが、これも一つのテスト・・・

怒りに身を任せるかと思ったのですが・・・割と冷静なのね。

貴方達は冷淡なのね??」

「ううん・・・ムクロ君が先に飛び出さなかったら2人には悪いけど私は怒鳴ってたよ??」

「奇遇だな・・・私もだ・・・だが、私の場合は即切り捨ていただろうが。」

「それじゃ足りないわ??私は無詠唱を放てるのよ??

この距離で放てば一体どうなるかしらね??無傷では済まないと思うのだけれど??」

「ムクロくん・・・君の仲間はみなケルベロス並みに扱いずらい狂犬なのかい??

これなら殴れば言う事を聞くケルベロスの方がまだ・・・・」

キャレットの発言にユリハ達の視線がグイっと移動すると・・・キャレットは目線を逸らして謝り。

レンブは大きく笑いながらせいぜい頑張るようにとだけ言ってラボから出て行くと。

冷や汗を拭いたキャレットは、レンブの対応と態度に謝罪し。

ムクロと共に特定のポイントに出現する特異モブの残存を消滅させる任務を話し始めた。


「この依頼は女神からの情報を基に作成された特別依頼よ。

参加するのであれば最後まできっちりやり遂げてくれる人材を見つける必要があるのだけれど。

女神も女神でムクロ君に首ったけなのか・・・すぐに名前が浮上してきたのよね。

他にも強いプレイヤーはいるのだろうに・・・

他にもこんなことを言ってたわね・・・最近ではムクロの周りにいるプレイヤー達もメキメキ力を付けてきているから問題ないとか。

きっとこれはユリハさんたちの事でしょうね。

だからレンブはユリハさんたちを試すように突っかかったのだと思うわ。

だけどその前にムクロ君が出たせいでレンブの想像とは違い・・・興味ないふりをして立ち去ったというのが正しいから・・・どこかで手を出す可能性もあるから気をつけた方がいいわ。

あの子・・・たまに無茶するからね――――――」

「いや、たまにとかそういうレベルじゃないだろ・・・あのクレイジーさは一緒に任務に駆り出されて良く身に染みたからな。

今はそんな事よりも・・・ん?ユリハ達どうしたんだ??」

「ムクロ君って・・・あのレンブさんと知り合いで一緒に依頼をしてたの??」

「その話はあとでたっぷりホームでするとして、先ずは依頼を受けるかどうかしないといけないわよ。

で、ムクロはどうしたいの??もちろん引き受けるんでしょ??」

何か言いたげなミストは言うのを止め、ムクロはエリの言う通り・・・女神たちの依頼を受ける事を決め承諾すると、キャレットに挨拶を済ませてムクロを連れ出してホームにへと帰って行った。


「で、何で俺はみんなに囲まれているんだ??」

「白々しいぞ・・・レンブとイチャイチャと依頼を隠れてコソコソしておった男が良く言うな!!!」

「ミスト、落ち着いて・・・あの、ムクロ君。

正直に話してね??レンブさんと何かいくらい一緒にクエストに行ったの??」

「そんなの数えきれないくらいイチャコラしてるに決まってんじゃん!!

ムクロッちだよ!?」

「その、ご主人様に寄ってたかってどうしようとしているのでしょうか??

お話しいただければ仲裁致しましょう。」

レイの仲裁は有難いと思ったのだが、聞きなれないレンブと言う名にレイもユリハ達の側に行ってしまい・・・ムクロを囲む一人となっていた。


「で、ご主人様・・・言い残すことはありませんか??」

「俺は、依頼をただレンブと一緒にキャレットから受けた依頼をこなしただけだ。

他の誰かとプレイすることはそんなにいけない事なのか??」

「ん~~そういう意味じゃないんだけど・・・

えっと・・・つまり・・・女性と2人っきりでプレイするって言うのがアレなだけで・・・・もぅ私にだけ言わせないでよ!!ミストにパス!!」

「えぇ!?私か!?

コホン、つまりだ・・・見知らぬモノと仲良くするのを見ると・・・なんだかこうムズムズするのだ。

だから、なるべく私たちに何か言ってからして欲しかったと言いたいわけだ。」

「でも、レンブさんの感じだと・・・私たちの事も嫌いなのかな??」

ユリハは少し寂しそうに語ると、ムクロはそっとユリハをぎゅっと抱き寄せ・・・


「はわわわ!?ムクロ君ッ!?急に何を!?」

「いや、ユリハが寂しそうな顔をしてたからつい・・・嫌だったか??」

ユリハは驚きながらムクロの質問に対し、「嫌じゃない!!」と力強く答えると・・・周りにいたミストやレイ達は吠えるか悩みながら羨ましそうにグッと我慢して2人をチラッと見ながら堪えていた。


「そのレンブの話の続きだが・・・俺がどうして一緒に行ったかって言うと。

キャレットが組んだのも1つだが・・・レンブはこのグロリアでのチートや悪事に対して動いていてさ。

その悪事を一つでも多く排除できればユリハ達とイレギュラーに巻き込まれずにクエストに出たり何かしらのイベントに参加する時間ができるんじゃないかと思って協力したんだ。

何も言わないのはいつもの事だが、コレは一応機密扱いにされていて話せなかったんだ。

だが、こうやってキャレットからレンブが紹介されたって事は少しなら話してもいいって言う事だと思う。

だからこうやって説明しているんだが・・・信じてくれるか??」

「私はムクロ君と一緒ならどんな状況でも楽しいよ・・・・たとえイレギュラの中だったとしても・・・」

「な~に2人でいい雰囲気作っちゃってんの??

それならそうとムクロッちは機密だか秘密だかハチミツだか知んないけど・・・私の情報網があればムクロッちの名前と仲間の情報をかき集めたらすぐに何をしてたかなんて丸わかり何だよ??

でも、まぁ・・・私たちのために良くしようとしてたってことだし??

別にこれ以上何か言うつもりは私にはないからミストにまたパス!!!」

「また私か!?その・・・えっと・・・今後このようなことが無いように頼むぞ!!」

「私は始めからご主人様はそう言うことを言うと思って信じていました。

私は全然ご主人様を1パーセントも疑ってはございません。

むしろ100%ご主人様ラブでございます。」

「何をごちゃごちゃ話しておるのじゃ~~~

何か食べる話でもしておるのかのぉ??」

「ユキシロ~ダメだよ~勝手に話に入っちゃ・・・

ごめんね、何か大切な話をしてたようだったけど・・・私たちも混ざって大丈夫??」

ユキシロとファムも現れ、ついでにとムクロはレンブについて話せる部分は全て話すと・・・不思議なくらい2人は聞き入れ。

特に面白い話をしていたわけじゃないと感じ、ユキシロは部屋に戻ると・・・ファムも同じく部屋に戻って寝ると言い。

今日はこれにて解散することとなり一斉にログアウトした。


そして、それから女神からの依頼も来ないまま数日が流れ・・・気が付けばついに姉さんと由里たち2・3年生合同の修学旅行前日になっていた―――――――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る