第256話 仮想空間での仮想訓練

―――――――――――――――ガンフィールド:安全地帯の街


アヤカに連れられて入った部屋は、ただ広いスペースと入ったところに仮想銃と設定用のコンソールがあるだけで・・・アヤカから仮想銃を受け取ると、アヤカはさっそくコンソールをカチャカチャと操作し・・・ムクロを所定の位置に立たせると、仮想空間が形成され仮想訓練が始まった。


「ムクロ、私の声は聞こえるわね?

よし、それじゃ・・・仮想空間の設定を街をベースにして敵が沢山出てくる設定にしたから・・・できるだけ多くの敵を体力が0になるまで戦い抜いてちょうだい。」

「わかった・・・戦えばいいんだな。

それに、武器の説明もないままハンドガンを強制か・・・まぁ、どの武器でも使い慣れないといけないって言う事か・・・・んじゃ、まず1体!!!」

ゆらりと出てきた標的に発砲すると・・・ゲームの中の仮想空間と言う事だけあって本当に相手と撃ち合っているような感覚で、アヤカが連れてきた訳が分かると・・・・真面目に相手を狙いながら射撃していると―――――――


「ムクロ、集中・・・・ホ~ラ後ろから来ているわよ??さぁ、しっかりとお尻を守りなさい。」

「何ッ!さっき倒したはずなんだが・・・・アヤカ、まさかと思うがワザと召喚していないか??」

アヤカに不自然な召喚の件について尋ねるが・・・必要以上のことを話さないつもりなのか、アヤカは無言であった。


「ぐあッ・・・クッ・・・アヤカからこっちの行動が見えている分だけ死角から狙われてるな・・・どうにかしねぇと数を倒す前に俺の体力が尽きちまうな。」

「・・・・・・・(さて・・・ここからが本番よ・・・・私に初めての時にした猛特訓の仕返しとは言わないけどたっぷり楽しんで。)」

アヤカは無言のままコンソールをカチャカチャと入力すると・・・急に敵の動きと数が増して襲い掛かってきた。


「ヤバイ・・・このままじゃ・・・・ん?あそこに見えるのはマシンガンか!?あれを使えば助かるんじゃ・・・・イチかバチかだ!!!」

「(そうそう・・・使攻撃するのが銃撃戦の基本・・・技術も大切だけど、まずは戦うための手段を多く持つことが大切よ。)」

アヤカの仕組んだとおりに物事が運ぶ中・・・ムクロは手にしたマシンガンで標的を狙い撃ち・・・消滅させると、お次に現れたのは巨大なゴーレムで・・・マシンガンやハンドガンでは通じないと悟り、さっきと同じように周りを見渡し・・・使えそうな武器がないか探すと――――――――


「うぉっと・・・危ない危ない・・・武器を探すのも大事だが、先ずは自分の身を守る事だよな。

にしても・・・どこに・・・あんなところに宝箱??

こりゃ、賭けるしかないな・・・・」

「そうそう、ちゃんと避けて周りを見ながら状況を判断して行動・・・・でも、それは本当にかしら??」

アヤカは残念そうにムクロを見ながらボソッと呟くと・・・アヤカの声が届くことなく、ムクロは宝箱をなんの躊躇いもなく開くと――――――――


「えッ・・・・・ぶはッ!?・・・・イタタタ・・・箱を開けたら爆発したぞ!?

まさか・・・爆発物のトラップもあるのか・・・・こりゃ、使って考えない方がよさそうだな。」

「本当に見事に何でも予定通りに動いてくれてこっちはある意味大助かりなんだけど・・・・さぁ、そろそろギブアップのお時間かもしれないわね。」

アヤカはコンソールをカチャカチャと操作すると・・・武器を持った人形がゾロゾロと現れ、ゴーレムと共にユラユラとしながら近づいてきていた。


「せめてゴーレムを倒すだけの武器があれば何とかなるんだが・・・・

アイテムにはハンドガンとマシンガン・・・・何とかこれで凌いで新しい武器を探すしかないか。」

「さぁ、この軍勢にどう動くのか・・・ムクロの本来の立ち回りを見させてもらおうかしらね。」

「っと・・・邪魔するぞ・・・あぁ・・・変なことをせずにちゃんと訓練をしてるみてぇだが、コレ・・・エクストラハードモード超えてる難易度じゃねぇか??

こんな滅茶苦茶な量のステージはでも無理だろ??

何だ、訓練という名のタダのいじめか??そうだったら可哀そうに・・・・」

オーナーが部屋に入ってくるや状況を見ると・・・所持する武器の数と相手の量を考慮するとまずクリア不可能という答えしかでない状況であったが・・・・

ムクロの諦めていない行動に目が離せないでいた。


「まずは・・・あいつらをマシンガンで対処・・・くッ・・・弾幕がすごいな・・・だが、これで何とか・・・数は減ったな。

それじゃ、次はこの部屋に逃げ込むか・・・・」

「そう来たか・・・籠城作戦ね。

これならゴーレムから隠れられる・・・・そう思っての行動だと思うけど・・・・この仮想世界のゴーレムは想像以上に乱暴よ。」

「アヤカお前・・・モブの設定もハード以上に設定したのか・・・本当にアイツ・・・ゲームオーバーだな・・・」

オーナーがよそ見をした瞬間・・・ゴーレムの巨大な腕は建物を吹き飛ばして消滅していく中・・・・ムクロはと事前にわかっていたのかゴーレムの腕に乗ってハンドガンでゴーレムの弱点である顔の結晶部分にありったけの弾を撃ち込むと・・・何とかゴーレムの体力バーを削り切ることができ、ゴーレムが崩れ落ちるなか消滅しきるまでゴーレムの質量は残るという現象を利用して下にいた人形をも一網打尽にすると・・・クリアできないであろうと言っていた仮想訓練をすべてクリアしていた。


「ハァハァ・・・・何とかなった・・・剣での戦いよりスリリングというか考えることが多いな・・・・コレ――――――」

「お疲れ様、さっすがムクロね。

できない事をいとも簡単にクリアしちゃうなんて。

どう?この男の実力は?」

「いやぁ・・・俺の見間違いやチートってわけでもなさそうだからな・・・・コイツは面白いじゃねぇか。

本当に、カレシにしなくていいのか??こんなのがアヤカのタイプじゃないのか??」

オーナーは再びアヤカの地雷を爆発させ・・・仮想銃と思わせて実銃で頬をかすめる程度に撃ち込んでいた。


「で、この後はどうするんだ??まだ仮想訓練を続けるのか?」

「そうね・・・オーナー、悪いけど私たち2人のコンビネーションがあるのか試したいからコンソールの操作をしてくれる??」

「嫌といってもやらせる気だろ?そんなら先にやると言うしかねぇじゃねぇか・・・そんじゃ・・・お2人さん、仲良くそこに立ってくれ。」

オーナーに指示されるがまま移動すると・・・さっきの街が再度ステージとして構築され、オーナーのアナウンスが入った。


「そんじゃ、今からコンビネーションテストを行う・・・まずはある程度の数を送り込むから2人でに対処してくれ。」

「あの男・・・後で絶対に撃ち込んでやる・・・・」

「まぁ、一緒に頑張ろうぜ・・・・って、あぶねぇ・・・急に撃つな・・・って、言ってられねぇな・・・この量じゃ――――――」

アヤカの撃った方を見ると・・・ワラワラと向かってくるゾンビの群れがやって来ており、アヤカの背後に現れたゾンビに対してムクロが狙い撃つと・・・2人はコクリと頷き、感じたままに近づく標的と攻撃を仕掛けてくる標的のカバーを互いに行い・・・本当に息の合った動きを見ていたオーナーがアナウンスしてきた。


「その仲良しプレーだったらもう少し数は欲しいんじゃないのか??」

「そうね・・・あと、60体は入れて。」

「えぇ・・・まだそんなにやるのかよ・・・・アヤカは銃の事になるとだよな??」

ムクロの口からその言葉が聞けたのが面白かったのか・・・・アヤカは「お互い様」と笑いながら言い、さらにこちらに向かってくるゾンビに向かって発砲し始めた――――――――――


―――――――――――――――ガンフィールド:安全地帯の街

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