第235話 兄の帰還

――――――――――――森フィールド:フリークエスト中


巨大な巨木がファムとヴァニスに直撃する瞬間・・・ギリギリムクロの攻撃が間に合い巨木を粉砕したのだが・・・そのスキを突いてジャイアントオーガの目が光り素早いパンチをムクロはもろに受けて吹っ飛ばされていた。


「ムクロッち!?でもレベルが低いから大丈夫・・・・って!?レベル50って!!

中層クラスじゃんッ!!!ムクロッち大丈夫なの!?」

「大丈夫だよ、ムクロ君は並大抵の攻撃じゃビクともしないから。

それよりも、私たちでどうやってこのデカいオーガと戦うかだよね。」

「そりゃ、いつもの通りじゃないのか???

各自で考えて弱点に攻撃しつつヒットアンドウェイだ!!!」

「ウム!!ヴァニスにファム!!!2人も攻撃に映るのじゃ!!!ぎゃふッ!?」

「ちゃんと前を見ないから!!ヴァニス!!私は捕まったユキシロを助けに行くから!!」

「え!?それって、つまり・・・突撃しろってことよね!?

あ~もう!!!ムクロと出会ってからこんなのばっかりよ!!!

全部ムクロが悪いんだからねッ!!!!このムカムカも全部アンタにぶつけちゃうんだからッ!!!!!エイヤァッ!!!!」

――――――――――――ゴオオォォオォォォオオオオォオ・・・・

ヴァニスの攻撃が弱点に入ったのかジャイアントオーガはのけ反り、体勢を崩しているうちにユリハ達も攻撃に回ると・・・


「みんな、待たせたな!!!ここからは俺も参加するぜ!!!

――――――――さっきのお返しだ!!ブレイブダンス!!!」

「いいタイミングで戻って来たね!!!」

「それでこそムクロだ!!!さぁ攻撃開始だ!!!」

「わ、私だってまだまだ!!!」

「ぬへぇ~何とか手が緩んで抜けられたのじゃァ~~」

「お帰りユキシロ~んじゃ、皆にバフでも盛っちゃいますか~~あいよっと。」

「さぁ、仕上げね・・・」

エリはユキシロが逃げたこの状況を考えジャイアントオーガに拘束スペルを発動して動きを止めると・・・動けないオーガに対して全員のスキル攻撃をヒットさせ、ジャイアントオーガを消滅させた。


「みんなオツカレ~~いやぁ、吹っ飛ばされた時はびっくりしたな。

――――――――――まさかあんなに飛ばされるとは思わなかった。」

「うん、見てたこっちがびっくりしたくらいだったよ・・・・ムクロッちとユキシロはもう少し慎重になるべきだよ!!ねぇユリハ??」

「そうだね、今日のムクロ君は何だか浮かれているって言うのかな・・・クエスト中のムクロ君の顔がいつもの真剣な顔じゃなくてニコニコとしてたような気がするね。」

「アタイは慎重に動いておったつもりじゃが・・・・い、いや、アレは囮役になっただけなのじゃ!!!そう、囮なのじゃ!!!」

「なんだか怪しいわね・・・でも、その囮のおかげでムクロが戦線復帰したのだから良しとしとくのがいいわね。」

「それじゃ、ムクロ・・・こっちに来い傷の手当てをしよう。」

ミストに呼ばれ、岩に座らされると顔の擦り傷に回復薬の軟膏を塗られるとたちまち傷が回復して・・・礼を言うと、これから先をどうするのか聞かれ――――――


「そうだな・・・それじゃ、このメンバーでセレタスにでも会いに行ってみるか?」

「ん~私はいいけどヴァニスが初めてだからちょっと驚いちゃうかも・・・・」

「え?そんなになの??私、消されたりしない??大丈夫よね!?初対面キルとかしないわよね!?」

「た、多分・・・大丈夫かな??あはは・・・・でも、ムクロのその腕の解決策はセレタスが一番詳しいと思うから行ってみる価値はあると思うよ。」

「ウム、そうと決まればこの森から街に戻って天世界に移動なのじゃ。」

「だが、アポもなしで大丈夫なのか??私たちは一応戦闘していた仲だったはずだが。」

「あら、ミストはこういう言葉を聞いたことはないの?

今日の敵は明日の友・・・明日の友は長きにわたる縁になるって。」

ミストはエリの言葉を信じ・・・ひとまず街に戻り、アイテムの調達を済ませると前回マークしたポイントに転送石で移動すると、目の前には戦っていた時の傷跡がなく綺麗な天世界に戻っていた。


「すっかり元に戻って綺麗になったな・・・・」

「うん、私の貯めてたお金を物資と資源に変えて天世界に届けたの・・・・届けた次の日には大体が治ってて私も驚いちゃったよ。」

「うわぁ・・・すごい景色ね・・・私こんなところ来たの初めてよ・・・・」

「そうだろうな・・・ここは天使たちの楽園なのだからな・・・・おっと、言ったそばからがやってきたぞ。」

「あ、テロン君だ!!!久しぶりだね!!」

「お姉ちゃんたち久しぶり!!あと、この前は本当にありがとう!!この前、悪い奴を追い払ってもらってからお姉ちゃんたちを探したんだけど見つからなくって・・・・でもこうやってまた来てくれてボクは嬉しいよ!!!

で、今日は観光しにきたの??」

テロンにここへ来た理由を伝えると・・・テロンはすぐに案内すると言ってセレタスのいる知識の間まで案内して仕事があると言って飛んで戻って行くと・・・・

ファムはゴクリと唾をのんで扉を開こうとした瞬間・・・・


「邪魔よ・・・そこの天使ッ!!!

この、ジールちゃんのお通りよ!!!消されたいの・・・・??」

「いやはや・・・ジールは口が悪いんだから・・・ネ?君たちもそう思わない??」

「ジール!?それにノーツも!どうして・・・消滅したはずじゃ―――――」

ファムの質問に対してノーツが口を開いて話そうとした時、セレタスが現れて代わりに話し始めた。


「そうだ・・・あの時、ジールもノーツも消滅した。

だが、お前たちの女神が提案してきたのだ・・・・ここで消えて行ったのバックアップの復元を条件にグロリアに天世界の全情報の提供とグロリアへの脅威にならないことを条件に契約をしただけの事・・・元々俺たちの目的は現実で俺たちをもてあそんだアドールの野望を打破することだけだった。」

「そう・・・だから私も戻ってこられた・・・ただいま、ファム。

それにムクロ・・・君たちがここに来てくれたのは運命だったのかもしれないな。

私たち全天世界の住人の大便として言わせてもらおう・・・天世界を助けてくれてありがとう。」

ファムは懐かしい兄の声を聴いて泣いて飛びつくと・・・2人の邪魔をしないようにして今回の本題をセレタスに尋ねた。


「セレタスにならこの腕の黒いヤツを何とかできるかもしれないとファムから聞いたんだが・・・どうにかできそうか??」

「うっわ~~ナニソレ?俺は闇の力が使える!!とかそう言うヤツなワケ??

アンタにはお似合いかもね!!!あひゃひゃひゃ!!!!」

「ご、ごめんね・・・ジールは根はイイ子なんだけど口下手と言うか口がダメダメで・・・・代わりに謝るよ。」

「お前たちは仕事があるだろ・・・早くこの間から出ていけ・・・邪魔が入ったなさぁ、ムクロ・・・腕を見せてみろ。」

セレタスに腕を見せると・・・セレタスは思い当たる節があるのか、まずは腕の黒い模様に対して話を始めた。


「確かその腕は、アルスと名乗ったのだったな??

と、言う事は・・・アドールヤツの作っていたが完成したと言う事を意味する―――――――――

そのアルスは・・・武器であり意識のある生命体で使を宿している・・・・・

このアルスを元々は自分に使う予定だったのだろうが・・・ヤツ自体が俺につかまりそのアルスは合流できずに彷徨い、あの天空城にあったサンプルの黒い天使に付いたのだろう・・・

そして、その黒い天使と対等以上に渡り合うムクロに適性があると判断したアルスはムクロを捕縛し適合を開始した・・・だが、適合を開始してから途中の状態でファムの介入が入り切断され、ムクロの意識は無事だが・・・体の一部である腕のコントロール権を一部持つ状態と考えるのが現状だ。」

「で、長い話をしてくれたのはいいんだが・・・・コレは取り除くか抑えることはできるのか???」

長いアルスの説明を聞かされこの腕を元に戻すか暴走を抑えることができるのか尋ねると・・・セレタスは沈黙して考えだしていた――――――――――――


――――――――――――――天世界:知識の間

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