第202話 レジェンダリークリスタルスパイダー

――――――――――――クエスト掲示板前・・・・


俺はクーリアを見つけにクエスト掲示板近くにやってきたのだが・・・ユキシロのトレードマークのウサ耳を生やしたアバターが見つからず・・・困っていると・・・後ろから探していたクーリアがワッと驚かせてきた。


「えへへ~~~ホラ、クエスト受注してきたから入ってきてよ。」

「あ・・・あぁ・・・今日のクーリアは何だかいつもよりハイだが・・・どうかしたのか?」

俺の質問にクーリアは少し考え、いつも通りと返答すると・・・俺は無駄に納得して、クーリアと参加人数指定の限定クエストに出発すると・・・そこは極寒の雪山の洞窟にあるアイテムを収集するクエストであった。


「ふぅ・・・クーリア・・・寒くないか?」

「え、あ・・・うん、特に問題ないよ?どったの?」

俺は寒く無ければいいと言って、2人で洞窟の奥に向かって歩いて行くと・・・・


「でたよ・・・2人の道を邪魔する洞窟定番の洞窟ドワーフだよ!!

―――――――――ライトニングボルト!!!」

「そうだな・・・一気に蹴散らすぞ!!ゼイヤッ!!!ハァッ―――――――」

ヒョコっと道を塞ぐように現れた洞窟ドワーフを討伐し・・・ドロップしたアイテムは何と・・・ダイヤモンドと記してあり、収集対象ではなかったが・・・何らかの価値があると思い、俺はそっとアイテムストレージにしまい・・・クーリアに話しながら進むと・・・・


「このクエストってね・・・道中に出てくるモブとか壁からの採掘でレアな鉱石とかが出やすいんだって・・・それを加工して指輪にしたり装飾に使う人がいたりもしてね、でも・・・このクエストは最後のボスが強いっていう噂なんだよね。

だから、ムクロッちを呼んだのもあるんだよ!!頼りにしてるからガンバッテネ!!」

「あぁ・・・そう言う事か・・・俺はボス対策のカードってわけか・・・2人専用クエスト特有のレアアイテム分の高レベルか強力なボス配置ってわけだな・・・どおりでユリハ達を連れてきたがらないワケだが・・・でも、ユリハも俺と同じように強くなったと思うが・・・ここのボスは俺を呼ぶ程に強いのか?」

俺はクーリアに尋ねると・・・クーリアはため息をつきつつコクリと頷き、唐突に壁に向かってスペルを発動して壁を砕くと・・・破片からキラキラした鉱石が転がっていた。


「うひょ~~~レア鉱石ざっくざく!!!うへへ・・・このクエスト美味すぎ!!」

「あはは・・・クーリアも宝石とか好きなんだな・・・それじゃ、どんどん奥に進むぞ。」

鉱石を取り終えたクーリアと共にところどころに現れる洞窟ドワーフを倒しながら進むと・・・辺り一面が鉱石の塊で作られたボスの間のような広い空間に出てくると・・・・


「ムクロッち・・・アレ・・・天井を見てよ・・・あのブラックパープルクリスタル・・・すっごい大きさだよ!!

相場にして10億はいけるね・・・」

「ひとつ言っておく・・・クーリア・・・俺の経験上アレはだ・・・

高純度な鉱石を食べ続けたクモのようなカニみたいなのがいてだな・・・あの大きさまで来ると相当な硬さと強さだろうな・・・で、クーリア・・・戦う準備はいいか?」

俺は逃げられない状態にあることをクーリアに伝え、戦いの準備ができたか尋ねると・・・そっと俺にバフを盛ると、グーのサインを出して後ろに後退し始め・・・・俺は投げナイフでボスの体に先制攻撃をかますと――――――


―――――――Gyururrrrrrrrrrrrrrr!!!


大きく咆哮を上げながらくるりと回転して地面に落ちてきた―――――


「すっごく綺麗・・・・って!?えぇ!?何で私が狙われちゃってるのよ!!!!ムクロッち~~~助けて~~~うわぁぁ~~ん!!!」

「どうしてだ?先制攻撃をしたのは俺のはず・・・・まさか、このイベントは・・・まさかこれが狙われるギミックなのか???

考えてる暇はなさそうだな・・・おい、クーリア!!!今持ってる投げ捨てろ!!!

タゲの集中度は鉱石の所持量に比例しているかもしれない!!」

それを聞くと、クーリアは惜しい気持ちを押し殺しながらアイテムストレージ内の鉱石を涙目になりながら捨てると・・・レジェンダリークリスタルスパイダーは俺にタゲを変えて攻撃を仕掛けてきた。


「グッ・・・・重い・・・だが、これで・・・・クーリアに被害が出ずに戦え・・・・」

「この!!!デカ虫!!!お前のせいで私のレア鉱石ちゃんが・・・洞窟じゃ使わないとっておきのスペルをお見舞いしてやるんだから!!!

ムクロッちは唱え終わるまで引きつけといて!!!

――――――――――光り輝く知識の光よ・・・我に渦巻く魔性の光を糧に具現せよ・・・・・」

クーリアはスペルを唱えだし・・・その間、俺はクモの攻撃を回避しつつ・・・硬い装甲にスキルを叩き込むが、微量しか減らず・・・クーリアの方へ行かないように注意を逸らしていると・・・・


「ムクロッち・・・そろそろ離れて!!!

――――――――我の怒りは大地の怒り!!!怒りのすべては目の前のモノに降り注ぐ・・・・

―――――――――バレスティアル・ヘルディアスター!!!」

洞窟の限界まで魔法陣が現れ・・・クモに対して全属性の強大な炎が降り注ぎ、体力と共に結晶や鉱石の体を溶かし、装甲が丸裸になったところで・・・俺は弱点である核にスキルを叩き込み、トドメの一撃にクーリアの杖術が炸裂し・・・ここのボスであるレジェンダリークリスタルスパイダーは消滅した。


「クーリア・・・お疲れ、その・・・そこにあるボスの体内から出てきた鉱石が今回の収集アイテムだろ?」

「うん・・・でも、私のレア鉱石ちゃんが・・・うぅぅ・・・こんなはずじゃ・・・でも捨ててなかったら間違いなく私はやられてたケド・・・でも!!!あぁ~~もう!!このむしゃくしゃはどうすればいいの!?」

クーリアは地面をゲシゲシと蹴り上げながら怒りをぶつけ、俺はどうにかして機嫌を取ろうと・・・考えると・・・俺の持っていたレア鉱石を分けてやると、クーリアに笑顔が戻り・・・俺たちはクエストをクリアして街に戻ってきた。


「ふぅ~~~ムクロッち、ありがとね・・・・今回のある意味ドキドキしたクエストを一緒に言ってくれて。

本当に助かったよ。」

「みんなに見ておくように言われたからな・・・気にするな。

それに、がドロップしたしな。」

クーリアはドロップしたモノが気になり、何度も俺に何がドロップしたのかしつこく尋ね・・・答えないと面倒なことになりかねないと思い、耳元にコソコソと教えると・・・・


「うぇ!?プラチナの指輪がドロップしたの!?

加工品がドロップするなんて滅茶苦茶レアなのにそれがプラチナって・・・ムクロッち・・・本当は何か外部ツールとか使ってたりしないよね???

どうして私の所にはいいアイテムがこないのかなぁ~~~で、その指輪どうすんの?」

「そうなだ・・・来るべき時が来るまで取っておくって言ったら怒るか?」

俺の回答にクーリアは「ふ~ん」と微妙な反応をすると、何かを思い出したかのように俺の腕を引っ張りながら鍛冶屋に向かい・・・クーリアは製作依頼をしていた新しい杖を受け取ると・・・早速装備して俺に自慢してきた。


「ねぇねぇどうかな??この光沢にふんだんにレア鉱石で高めた強度と魔力増幅のアイリティ~~いやぁ~また良いモノ作っちゃったよ!!!」

「いい杖だな、俺もそろそろ新しい武器を買うか作らないとストックが無くなって来てるんだが・・・いざとなったらスキルの剣があるんだが・・・・」

俺は悩みに悩んでいると・・・後ろの方からユリハとミストの声が聞こえてきた。


「2人ともこんな所にいたのか・・・帰ってきたのなら連絡をしないか・・・・少し、心配したぞ?」

「そうだよ、で・・・2人とも収穫はあったの?」

「え、まぁ・・・色々とね~~一番収穫したのはムクロッちだけど・・・・」

「あはは・・・まぁ色々と収穫はしたが・・・・で、2人はどうして鍛冶屋に?」

俺は2人に鍛冶屋に来た理由を尋ねると・・・ミストがクーリアの持つ新たな杖と同じように新しく武器を作る気で来ていた。

それは、ユリハも同じらしく・・・武器のデザインから素材まで全て自ら選び厳選したオリジナルの武器を作ると張り切っていた。

だが、鍛冶屋での武器政策は自由度が高い分・・・運の要素が高く、アビリティや形状の失敗などがたまに起こる故に大体のプレイヤーは鍛冶屋で販売されているテンプレのデザイン武器が一般的であったが・・・ユリハとミストは鍛冶屋の店主からの注意を飛ばして代金と武器の素材等を渡し、制作に取り掛かってもらい・・・その間は特にすることもなく・・・俺たちはその辺りをぶらぶらして時間を潰すことにした―――――――


―――――――――――――始まりの都:武器商店街

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