第187話 帰還後の波乱

―――――――――――――迷宮フィールド


リィはロロと別れてからしょんぼりとして悲しみに満ちていた・・・・そして、その表情を見る度に自分の力の無力さを感じながらミストは奥歯を噛み締め、俺たちは先に向かって歩いていた。


「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「えっと・・・・その、リィは街に帰ったら何かしたいこととかあるのか?」

俺はこの場の空気を換えたいと話題を作るためにリィに話を振るが・・・


「お姉ちゃんと一緒にお買い物がしたい・・・」

「そうか、それなら・・・まずは街に戻らないとな。

あと、コレ・・・俺の仲間のユリハっていうヤツのお気に入りのクッキーなんだが・・・食べてみないか?」

「・・・・・・・・・」

俺はある意味地雷を踏んだと悟りながらミストとリィにの大好きなリーフクッキーを手渡すと・・・2人は同時にパクリと噛り付いた。


「あ・・・おいしい・・・・です。」

「うむ・・・・この味も久しいな。」

「そうか・・・あと、ついでだから話すけど・・・このゲームは本当に色んなことがある――――――良い事も悪い事も・・・だが、俺はどれも忘れたいとは思わない。

全部受け入れて・・・次に生かせるように・・・同じ過ちをしない為に・・・楽しい事は楽しみたいしな・・・ただそれだけなんだ。

――――――だから、リィ・・・それにミスト・・・今、生きているこのときを楽しまないとな。」

俺は2人にそう言うと・・・2人は俺に飛び込み、リィは大きく泣き叫び・・・ミストは無言で少し涙を浮かべていると・・・


「あ~~その・・・何?この状況・・・心配だったから高速でして帰ってきたんだけど・・・あんたら何やってんの??」

「うぇ、あ!?お、お姉ちゃん!?わ、私・・・な、泣いてなんかないよ!!!

――――――これは、そ・・・そう・・・ムクロさんが良い事を言ったせいで・・・」

「そ、そうだ!!!私たちに涙を誘う感動話を聞かせてこうなっただけだからな!!!ほ、本当だぞ!!!」

「そ・・・・それはいいから・・・・2人ともどいてくれ・・・・重い・・・」

俺にのしかかる2人の後ろからの声の主は・・・先ほどの激しい戦闘にてリィを庇って消えていったロロが腕を組んで悩ましげな顔をして立っていた。

そして、俺にのしかかる2人はさっと立ちあがり・・・俺を起こして何もなかったかのような振る舞いをしていた。


「私がいない間にこうも荒れるとは思わなかったよ・・・やっぱリィにはまだまだ私が必要だね――――――――ほら、リィ・・・」

「おね~ちゃ~~~ん。」

ロロが腕を伸ばすと、その胸の中にリィは飛び込み・・・リィは安心した顔でロロに頭を撫でられていた。


「よかったな、リィ・・・ロロもナイス身代わりだったぜ。」

「うむ、さてさて・・・落ち着いたところ申し訳ないが・・・ヤツらもずっと待っていてはくれないらしいぞ?」

「あわわわわ・・・・また、このパターンなの!?

――――――帰って来るんじゃなかった・・・・」

「お姉ちゃん!?こうなったんだからやるしかないよ。

それに・・・私はお姉ちゃんが帰って来てくれて・・・嬉しかった。」

リィの笑顔にロロは頭をクシャクシャとかき・・・剣を握り、俺たちはモブとの戦闘に入った・・・・

そして、数分後・・・・モブとの戦闘が終わると俺たちはポータルを目指して再び歩きはじめると、光の差す場所が現れ・・・そこにはやっと探し求めていたポータルがあった。


「やっとポータル発見だよ・・・・あ~もぅホントに今日は散々な冒険だった・・・・1回死んじゃうし、お金もアイテムも少量減ってたし・・・あぁ~今日はツイてないなぁ~~」

「お姉ちゃん・・・・で、でも・・・ここに来たおかげでムクロさんやミストさんと出会えたから・・・私はラッキーだったと思うよ?」

「そうだな、私もここに来た理由も無事に果たせたし・・・リィやロロと出会えたことは私にとっても喜ばしいモノだ。

―――――――なぁ?ムクロ???」

「あ・・・・ハイ・・・そうだな・・・あはは・・・

それじゃ、街に戻るか・・・・」

俺はミストに肩を強く掴まれながらそう言うと・・・リィとロロは俺たちにフレンドコードを渡し、俺たちも自分たちのコードを返すと・・・リィとロロは先にポータルを使って街に帰って行った。


「もう一度聞くが・・・・何にもなかったのだろうな?」

「あぁ・・・モブから助けて一緒に冒険して・・・ミストと合流して・・・話した通りだ・・・まぁ、ミストが怒ってなくて俺はホッとして・・・ミスト・・・さん?」

俺はミストの地雷を踏んでしまい・・・剣を持ったミストに追い回されながらポータルで街に戻り、ホームへと走っていった―――――――――


「た、ただいまぁ・・・・あははは・・・」

「お帰りなさいませ、ご主人様・・・息を切らしてどうなされたのですか?

それに、ミストのお姿がありませんが・・・合流できたのですか?」

「おかえりなさい・・・ムクロ君・・・こっちにはまだミストが戻って――――」

「先に帰るとは何事だ・・・ムクロ!!!今日と言う今日は堪忍ならん・・・を作っただけではなく・・・私が怒っていないだと!?

あんなユリハとのベッドでのラブラブを見せられたら怒らずにはいられないだろうに!!!!」

「ふんふふ~~ん・・・何なのじゃ・・・この修羅場は・・・・」

「ユキシロ~早く入ってよぉ~~中で何がおきてるの??」

玄関前で修羅場と化した部屋の空気に入っていはいけないと察したユキシロは・・・・ファムの腕を引っ張ってホームから出て行った・・・・


「ねぇ・・・ムクロ君・・・ミストの言ってた・・・新しい女ってどういう意味なのかな??」

「はい、ご主人様・・・私もその点を詳しく知りたいのですが・・・・痛い方がいいですか?気持ちいい方がいいですか?選ぶ権利はご主人様にはありますが・・・拒否をなされますと・・・・それは拒否してからと言う事で・・・・」

「さぁムクロ・・・状況は最悪だ・・・私にまず、謝罪をしてだな・・・・」

「何なのよ・・・この騒ぎは・・・・ムクロが何かしちゃったわけ?」

「アヤカ、とか言わないでくれ・・・でも、ユリハとの件は謝るから・・・その・・ごめん。

あと、ユリハ・・・今回の件も俺は無実で・・・・」

俺が今回の説明をしよとした瞬間・・・部屋の中にインターホンが鳴り響き、扉を開くと・・・・


「えぇっと・・・ここはのホームで合っていますでしょうか??」

「ちょっと・・・リィ・・・もう少し調べてからの方がいいんじゃない??

――――――ミストからの情報だけで場所を調べるのはいいけどさ・・・少しは慎重に警戒とかするべきなんじゃ――――――――って・・・ムクロじゃん。」

「あぁ・・・・こんなややこしい時に・・・まぁ、皆に説明するから上がってくれ・・・」

2人は頭を傾けながら中に入ると・・・ユリハやレイたちはソファーに腰掛けて待っていた。


「ねぇねぇ・・・ちょっとムクロ・・・この状況はなんなわけ?

―――――――ヤバめなみたいになってるじゃない・・・・」

「コホン・・・そうですね、ある意味・・・進路という単語はニュアンス的には合っています・・・ですが、ヒロインが多く選びづらい進路ルートですが。」

「えっと・・・あなたたちがミストの言ってた・・・人たち・・・だよね?」

「うむ、この2人はとある事情と状況をきっかけにムクロと出会い・・・後に私と共に巨大なモブと戦った戦友トモなのだが・・・・

――――――――私と出会う前に一体何があったのかが不明でな・・・だから未だに私もこの3人の関係が完璧に把握しきれていないと言うわけだ。」

「へぇ~~このかわいらしい女の子2人がねぇ~~~1つ聞くけどムクロってロリコンなの?」

アヤカの発言に俺はきっぱりと言い返すが・・・なぜかユリハは眉をひそめながら何かを考え・・・レイはレイで口から魂が出たのか静止していた――――――――


―――――――――――プライベートホーム

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