第185話 迷宮に潜むモノ

―――――――――――――迷宮フィールド


ロロはキノコをもしゃもしゃと食べると急に顔色を変えてぺっぺっと吐き出し・・・涙目になりながら一言「マズイ」と言って口に残ったキノコを吐き出していた―――――――苦しむロロを見て、苦笑いしながらリィは手に持ったライトマッシュで辺りを照らすと・・・壁に何か文字が書かれていた。


「ひゃ!?何・・・赤い文字が・・・壁に・・・」

「あわわわ・・・こんなの見なくたっていいから・・・さっさと先に進もうよ~~~」

「いや、コレは・・・警告を知らせるモノだな・・・何々・・・

――――――ここから先へ行く者に警告する、この先にはにいなかったいる・・・気をつけろ。」

壁に書いてあった赤い文字を読むと・・・この先には謎のモブがいることが書かれており、それを聞いたロロは・・・ライトマッシュをカタカタと震わせて変な汗をかいていた。


「お、お姉ちゃん・・・大丈夫??」

「だ、だだだだ・・・・大丈夫に決まってるじゃん!?

何を変なことを聞いてんのよ!わ・・・わた・・私がそんなヘンテコなモブにビビるわけないでしょ!?ホラ、さっさと行くわよ!!」

「ロロ、そっちは逆方向だ・・・・」

ロロはギクッと体を震わせながら・・・進むべき方向へ向き、歩こうとするが・・・中々足が進まず――――――


「その、私は2人の背後を守るから・・・ムクロが先に歩いてよ・・・男でしょ!!ホラ、さっさと歩いてよ!!」

「え、えと・・・ムクロさん、ごめんなさい・・・お姉ちゃんがわがまま言っちゃって・・・・お願いできますか?」

「あぁ、わかった。

――――――それじゃ、進むぞ・・・・」

俺は薄暗い通路をライトマッシュで足元を照らしながら進み、2人が付いてきているか確認しながら歩いていると・・・


「きゃぁ!?だ、誰!?私のお尻を触ったヤツは!!!

ムクロ、まさかあんた・・・薄闇に乗じて私たちを・・・・」

「お姉ちゃん、落ち着いて・・・私が真ん中を歩いてムクロさんを見ていたからそれはないから・・・きっと――――――」

「だが、いるのは確かだな・・・・

―――――――ずっと見られている感じがする・・・・少しペースを上げるぞ・・・」

状況的に暗闇に居続けることは得策ではないと考え、俺たちは迷わないように手を握り合って光の差した方向へ走っていくと・・・


「ハァハァ・・・・何とか出られたな・・・」

「そうですね・・・でも、お姉ちゃんがグロッキーです・・・」

「あはは・・・体中を誰かに触られて・・・気持ち悪いよぅ・・・うぅぅ・・・」

ロロの体には手の跡のような掴まれた跡があり、その数も足から腕まで点々とあり・・・俺たちが出口に出たことで、その奇怪な行動をとったが後ろから現れた・・・・


―――――――――オォオォォォオォォォオォ・・・・


「ムクロさん、アレって・・・オバケ・・・でしょうか?」

「あぁ・・・アレはグロウバンシーだな・・・手だけのバンシーだが、本気で握られると相当なダメージを喰らうから気を付けろ・・・・よ?」

「きゅぅ・・・・・」

ロロは正体を見るや、やはりお化け系が苦手らしく気絶してしまい・・・グロウバンシーは俺たちが自分たちをしたと確認すると、腕の部分から大きな口が現れ・・・舌を伸ばして襲い掛かってきた。


「ムクロさん!!援護は任せてください!!!

―――――――――早く片付けてお姉ちゃんを起こさないと!!です!!!」

「そうだな、こうなったんじゃやるしかないな!!!」

俺はリィからバフをかけてもらい、向かってくる5体のグロウバンシーの攻撃を回避しながら俺は剣で攻撃を叩き込み・・・2体を倒し、リィの援護攻撃でさらに1体が消滅し・・・残るは2体のグロウバンシーだけになった。


―――――――――オォォォオオォォオォオオオ・・・・・


「ムクロさん、バンシーさんが止まっている今が仕掛けるチャンスじゃないですか?」

「いや、アイツらは仲間が消滅したことを知って怯えているんだ・・・

――――――お前たち、俺の声が聞こえているのなら聞いてくれ・・・お前たちがあそこへ帰るのであれば俺たちはお前たちを追う事はない・・・」

俺はダメもとでグロウバンシーに話すと・・・グロウバンシーに言葉が通じたのか・・・2体のバンシーは攻撃をすることなく暗い通路に向かって帰って行った・・・・


「ほ、本当に・・・帰って行っちゃいました!!!

ムクロさんって本当に色々とお詳しいんですね!!!」

「そんなことない・・・・俺はただ・・・無我夢中で・・・

それよりも、ロロを起こして安全な場所まで移動しないとな。」

俺たちは気絶したロロに声をかけると、ロロは何とか目を覚まし・・・辺りを見渡してグロウバンシーがいないか確認すると、いつものように振舞い始めた。


「ふ、フン!!!私に恐れをなして逃げていくなんて・・・まだまだね!!!」

「お、お姉ちゃんは気絶してて・・・ムクロさんがいなかったら今頃どうなってたか・・・・今回の件もムクロさん・・・本当にありがとうございました。」

「俺たちは運命共同体だ、気にしなくていいさ。

――――――それより、この先に多分だが・・・ミストががする・・・」

俺はさらに奥へと続く道を見ながらそう言うと・・・ロロはお尻をパンパンと叩いてホコリを落とし、先に歩いて行った。


「――――――ハァッ!!!!

―――――――――ムクロの・・・・愚か者!!!!

――――――――――節操ナシ!!!!!

―――――――――――――女たらし!!!!

―――――――――――――――バカ弟め・・・・」

「モブを切り倒しながら騒いでるあの人が・・・ムクロの探して他ミストって人でしょ?で、弟って・・・どう関係なワケよ???」

「あぁ・・・これには深い事情があってだな・・・・

――――――――簡単に説明すると、リアル割れの話なんだが・・・ミストは俺の実の姉さんなんだ・・・」

「なるほど、ムクロさんはミストさんの弟さんなんですね・・・・・・ぇぇぇえええ!?

で、でも・・・きっと・・・知的で美人で・・・優しい方なんですよね?ですよね?」

リィが俺に尋ねると・・・俺に気付いた姉さんはモブをすべて消滅させ、俺に近づいてきた。


「やっと来たと思えば・・・また新たな女を引き連れてきおってからに・・・お前と言うヤツは本当に節操のない――――――」

「そんなことないです!!!ムクロさんは私たちに接してくれました!!!それに、ミストさんの事を大切に考えてここまで来たんです・・・そんな言い方・・・酷いです―――――」

「あ~こちらの妹がすんません・・・アハハ―――――――でも一言だけ言わせてもらうと、ムクロは本当に良い奴だよ・・・見ず知らずの私たちをガイコツの群れから助けてくれたりさ、宝箱みたいなモブからも助けてくれた・・・こんな超が付くほどのお人よしだけど、私たちは信用してここまで来たんだ。

ムクロが探してたを探すためにね。」

「あはは・・・2人に色々先に言われてしまったんだが・・・・

そう言う事だ、姉さん・・・帰ろ――――――――

―――――――――姉さん・・・・・だ!!!しゃがめ!!!」

俺は姉さんの後ろから現れた巨大な影の攻撃をしゃがんで避けるように呼び掛けると、姉さんは俺の言う通りに動き・・・武器による攻撃を何とか回避し、俺たちの元に退避してきた。


「あの破壊力・・・あの黒さ・・・コイツが噂の迷宮フィールドに彷徨う亡霊・・・・影なる殺意シャドウシーカーか!

―――――――――ムクロ、今回ここまで来た理由はコイツだ・・・特定のクエストをソロで受注した場合に現れるモブで、ステータスと共に謎に包まれたモブだ・・・・こういうとアレだが・・・手を貸してほしい。

そこにいる2人にも協力を願いたいのだが・・・」

「あぁ、あんな大きな獲物だ・・・きっと楽しい戦いになると思うぜ。」

「―――――――えぇ・・・ムクロ!?あんなのとマジで戦うって言ってんの!?

うぅ・・あぁ・・・・本当に今日はツイてないかも・・・・」

「でも、お姉ちゃんはそう言いつつ手伝うんだよね~―――――だけど、今までプレイしてきた私も初めて見るタイプです・・・・ムクロさんミストさん作戦はどうするのです?」

リィは俺とミストに作戦を尋ねると・・・今回のモブ戦は謎が多く、策を考えるだけ無駄になる可能性があると踏んだ俺はリィとロロ・・・そして、ミストたちにを倒しきるまで手を抜かずに攻撃と支援をすることと言うと・・・シャドウシーカーの目が赤く光り、黒い武器を取り出して攻撃を仕掛けてきた。


――――――――――――迷宮フィールド

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