第176話 温泉プール

―――――――――――温泉プール前


バスに揺られながら移動する事20分・・・ようやく目的地である温泉プール前に到着した俺たちは、姉さんのチケットで入場し・・・男女別々の入り口で別れ・・・温泉プール内で落ち合う事となった。


「よし、準備完了・・・さて、向かうとするか・・・」

俺はブロッサムを外し、合流できそうな場所で待っていると・・・


「悠一~~お待たせ~~~」

「おい、耀子・・・背中から離れてくれないか?」

耀子は俺を見つけると・・・そのままぎゅっと抱きしめてきていた。


「はいはい、で・・・どう?この水着~似合ってる?」

「そうだな、似合ってる似合ってる・・・で、他の姉さんや由里達はどこなんだ?」

「由里たちならまだ水着を着ている最中よ・・・なんだか由里は水着のフックが止まらないとか・・・涼孤さんはサイズがなんとかかんとか言って苦労してたわ・・・」

「ん?どうしたの?どうしてコトハの表情と声のトーンが暗いの?

悠一にセクハラでもされたの?」

俺は彩花のジョークに対して反論すると・・・コトハは怒ったのか・・・桶に湯を入れて思いっきり俺に向かってかけてきた。


「私に対してセクハラの1つでもやって見なさいよ!!!悠一のバカ!!!」

「あ~あ・・・コトハがキレちゃった・・・悠一・・・言葉はちゃんと言わないと駄目だけど・・・「興味ない」とか言っちゃダメだと思うよ?」

「いや、そんなつもりは・・・その、言い過ぎた・・・コトハ、ごめん。

えっと・・・そうだ、あの2人乗り用のウォータースライダーを一緒に乗るから・・・機嫌直してくれない―――――――――ってッ!?引っ張るな!!!」

「コトハはまぁ・・・分かりやすいわね・・・まぁ気をつけて行ってらっしゃ~い。」

アヤカは手を振る中・・・さっきの怒りもどこにやらという感じのコトハの手に引っ張られながら・・・俺はウォータースライダーの頂上までやってきた。


「さぁ、悠一・・・私の腰に手を当てて・・・落ちないようにしてね。」

「あぁ・・こうか?・・・ん~それじゃ行くぞ?」

俺はコトハに出発すると言うと・・・コトハの腰を掴みながら長いスライダーをぐるんぐるんと滑りながら下ってゆき・・・到着地点で勢いよく2人は放り出され・・・


「ごぼぼばぼ・・・・ぷはッ!あははは・・・コトハ・・・すごかったな・・・って・・・なんだ?これは?」

「う、ぅぅぅぅうぅうぅ・・・返して・・・返してよ悠一のバカ!!!変態!!!」

俺の手に持っていたのはコトハの水着で、放り出された時に勢いよく取ってしまいを怒らせただけなのならまだよかったのだが・・・・・


「悠一君?何をしてるのかな???

――――どうして、コトハちゃんの水着を持ってたのか説明してくれるよね?」

「やぁ、悠一・・・・この状況は一体どうなっているんだ?

傍から見ると・・・悠一がコトハの水着を剥ぎ取ったように見えたのだが?」

「悠一に・・・水着を・・・とられた・・・もう悠一に、責任取ってもらわないと・・・・うぅううう」

「おい、コトハ!!!泣きマネとその危険なジョークは止めろ!!!この状態の姉さんたちは何でも信じ込・・・む・・・だろ・・・」

俺はコトハに水着を返すと・・・温泉から出て2人から逃げた・・・・


「ハァハァ・・・スライダー滑っただけで一体どうなってるんだ・・・」

「ねぇ・・・悠一・・・」

俺は後ろの方から声がして驚き、振り返ると・・・姉さんや由里ではなく、アイリスであった。


「なんだ・・・アイリスか・・・はぁ・・・」

「どうしたの?そんなに慌てて・・・・何かあったの?」

俺は先ほど起こったをありのまま話すと、アイリスがクスクスと笑い始め・・・・


「それは悠一が悪いわね・・・でも、私は悠一がワザとしたことじゃないって信じてあげる。」

「そりゃ、どうも・・・・で、アイリスは温泉入らないのか?

こんな所で水着だと体が冷えると思うんだが。」

俺がそう言うと、アイリスは俺の手を引っ張って・・・白い湯と滝のある温泉までやってきた・・・


「こんな温泉まであったのか・・・湯の中が見えないくらいに白いな。」

「私の家にも大きなお風呂場があるけど・・・友達と入るなんてないから少し新鮮な気分ね・・・それにそれが男の人なら。」

と、アイリスが言いながら・・・温泉に入ると、気持ちがいい顔をしていた。


「それなら俺も寒くなってきたから・・・入るかな・・・」

「ど~ぞど~ぞ、場所はいくらでも空いているわよ。」

俺はアイリスが言うように、空いているところに入ると・・・なぜかアイリスが俺に近づいてきていた。


「それにしても・・・滝の中の洞窟に入って休憩ができるんだな。」

「きっと入りすぎないように設置してるんだと思うわ。

給水場とマッサージ用のマットもあるって書いてあったわよ。」

アイリスに行って見ない?と誘われると俺も喉が渇いたこともあってアイリスと洞窟に入ると・・・


「誰もいないな・・・お、これで給水できるんだな・・・って!?

―――――アイリス!?何でうつむせで寝てるんだ!?」

「え、マッサージしてくれるんでしょ?

ホラ、私の高貴な体を好きにマッサージできるのよ?ここならは入らないから存分にマッサージができると思うわよ?」

俺はマットの上で横になるアイリスの近くまで行くと・・・


「やっと見つけ―――――ッ!?

―――――――2人とも・・・何やってるのよ!?」

「悠一・・・アイリスと出会ってすぐ手を出しおったな!?

こんなに汗だくになるまでとは・・・・許せん!!!成敗じゃ!!!」

「ちょっ・・・ちょっと2人とも・・・何も――――――

それに、汗はこの温泉に入っていたからで・・・・」

「え、あ・・・その・・・俺は何もしてない!!」

俺はアイリスを置いて、さらに逃げ・・・隠れるところを探していると・・・・


「悠一~~コッチコッチ・・・・・

―――――――ほら、ここに入って!!!いいから!!!見つかりたいの!?」

「あ~もう・・・・仕方ない・・・」

耀子は俺に樽風呂へ隠れるように指示すると・・・俺は樽風呂の中へと入ると、上から耀子のお尻がのしかかり、その上から2人の声が聞こえてきた・・・・


「ねぇ耀子・・・この辺に悠一君来なかった?」

「うむ、重罪人の悠一を見つけ次第拘束せねば・・・さらに犠牲者が・・・・」

「え・・・えっと・・・悠一なら向こうの先のジャングル湯に向かって行ったけど?」

耀子の指さす方に2人は向かって行ったのだが・・・・そろそろ俺の息の限界が近く・・・俺は勢いよく顔を上げて息を整えながら耀子に感謝した。


「ゼェ・・・ゼェ・・・その、耀子・・・助かった・・・」

「いいよ別にぃ~あたしと悠一の仲でしょ~こうやって2人で同じ樽風呂に入る仲なんだし、気にしなくていいよ。」

俺は樽風呂に座っていると・・・耀子は違うに向かうらしく、俺は耀子に同行し・・・次の場所に向かうと・・・・


「―――――――さぁ、着いたよ!!」

「耀子・・・ここって・・・まんまプールなんだが・・・・」

俺が耀子に尋ねると・・・耀子は俺の方を向き・・・


「あのさ・・・悠一って・・・泳げる?」

「どうしてそんな・・・まさか耀子・・・?」

この前、耀子は水着屋で自信満々に水着を選んでいたが・・・プールを目の前にして泳ぐのが苦手と恥ずかしながら俺に打ち明けた耀子の頼みを断ることもできず、俺は泳ぎ方を教えることにした―――――――――


―――――――――――――温泉プール

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