第172話 怒りと悲しみの爆発
――――――――――――森林フィールド
ヴァニスと共に巨大なゴーレムと戦う中、ヴァニスは単独で突撃し・・・・
巨大なゴーレムはヴァニスの突撃するのを予測していたのか、スペルを発動した。
「え・・・・・・・・きゃぁッ!!!!」
「ヴァニス!!!あのゴーレム・・・このカウンター攻撃をずっと狙っていたのか!?
―――――――おい、ヴァニス・・・立てるか?」
ゴーレムの放つ炎系の呪文を全身で浴びてしまい・・・衣装が何とか致命傷を防いでいたが、全身がボロボロになりヴァニスは身動きが取れなくなっていた・・・
「うぅ・・・・アツイ・・・・痛い・・・うぅ・・・んん・・・」
「何とか無事みたいだが・・・火傷状態か、早く手当てしないとまずいな。
さて、ここからは俺がソロで相手してやるよ。
―――――――クイックシフト!!!」
―――――――――Gooooooo!?
クイックシフトで移動すると、ゴーレムの体の重さでは早い移動には対応で着てはいないが大きな腕とスペルで反撃をしていたが・・・俺は回避をしながら連撃を叩き込み、ゴーレムの体力をどんどん削り・・・
そして、動かなくなったゴーレムに最後の一撃を叩き込み・・・ゴーレムを消滅させ、ヴァニスの手当てを始めた。
「衣装が多少焼き焦げてるが・・・火傷もそこまでひどくなくてよかった。
――――――よし、これで大丈夫だろ・・・・
さて、お・・・名前が元に戻った事だし・・・ユリハ達に連絡を入れて街に戻るか・・・」
「うぅ・・・ムクロ、私・・・ひゃッ!?どうしてこんな格好に!?
――――――み、見たでしょ!?バカバカバカ!ん?包帯?
――――――――あ、そっか・・・ムクロが全部やってくれたんだね。」
ヴァニスは地面についた戦闘の傷跡と自分の衣装の破れた個所や傷に包帯がしてあるのを見て、冷静になり・・・ため息をついた。
「やっぱり、私は戦闘は駄目だなね・・・頑張ってみたけどこのザマだし・・・
洞窟城に戻ろうかな・・・・・」
「俺は今回のヴァニスの戦い方は好きだったけどな。
―――――危ない場面も中にはあった・・・でも、がむしゃらに全力を出して戦った今のヴァニスがすごく輝いて見えたぞ。」
俺は横になっているヴァニスを見ると・・・体を起こしたヴァニスは俺の発言した単語にドキドキして、1人で舞い上がっていた。
「そ、そんな・・・・好きとか急に言われても・・・心の準備が・・・わ、私って高貴でしょ?だから、ね?そう言うのはまた今後と言うことで・・・」
「ヴァニス大丈夫か?発言が何だか変だが?
―――――――――熱でもあるのか?」
俺はヴァニスの額に触れ、温度を確かめると・・・ヴァニスの顔がどんどんと赤くなり・・・俺を突き飛ばして、街に帰る準備を始めた。
「もぅ、しんない!!!早く片付けて、さっさと帰るんでしょ?
――――――始まりの都に。」
「あぁ・・・少しトラブルが巻き起こるかもしれないが・・・・覚悟してついてきてくれ。」
俺の発言にヴァニスは何のことやらと分からない様子でジャカルゥに荷物を積み込み・・・出発前に俺はユリハ達に連絡を入れ、街に向かってポータルを使用しながら移動すると・・・・・
―――――――クエクエクエ~~~
「お、始まりの都が見えてきたな・・・・それにアレは・・・ユリハ達だな。」
「アレが・・・ムクロの言ってた仲間?
――――――って、皆女性プレイヤーじゃない!?
どういうことなのよ!?説明しなさいよ!?ムクロの本命はどの子なの!?」
ヴァニスは途中からおかしなことを口走り俺の胸倉を掴みながらゆすり・・・俺は態勢を崩してヴァニスと共に地面へと落ちたのだが・・・・・
「いててて・・・・ヴァニス、大丈夫かッ!?」
「う、うん・・・って、きゃぁぁ!!!・・・ムクロの変態!!早く手をどけてよ!!」
地面に落ちた際に俺はヴァニスの胸を掴んでいる状態で落ちており・・・ヴァニスの悲鳴を聞いたのかジャカルゥの足音が聞こえ―――――――
「よし、ユリハ・・・それに皆・・・現行犯でやってしまおう。」
「うん・・・ムクロ君、言いたいことはある?
――――――その包帯でボロボロな衣装の女の子は誰なのかなぁ?」
「あんなになるまで激しいプレイをしてたんだよきっと!!!
私に対して自分から手も触れようとしないのに・・・けが人相手になら胸を揉む犯行・・・・特大魔法で焼き滅ぼしてやるッ!!!!」
「それじゃ、私たちの怒りは収まらないわ・・・もっと苦しく後悔するようにいたぶらないと・・・私たちと言う者がありながら・・・死刑よ。」
「み、皆・・・落ち着いて・・・胸の1つや2つ揉んでもムクロはムクロだよ?
ね?ね?皆?」
「いいえ、これはけが人の抵抗できないと知った・・・弱みに付け込んだ犯行よ・・・よく見なさい、あの華奢な体格でボロボロな衣装と包帯・・・やっと命からがら逃げてきたのにムクロの毒牙にやられようとしているのよ?見逃すことなんてできない!!どちらか言うと怒りの方が臨界なんだけど!!」
「えっと、これは私のせいで落ちてこうなったわけで・・・・・・」
「すみません、部外者のあなたは少し静かにしていてください。
これは私たちとご主人様の問題なので・・・・」
「そうなのじゃ~~~アタイの体ならいつでも好きに触っていいのにのぉ~
どうして主殿は他の女子に手を出してしまうのか・・・イマイチよくわからないのじゃ・・・でも、さすがは主殿なのじゃ・・・こんな所でも子孫を残そうとしておったのじゃな・・・ウンウン。」
「皆、何か・・・誤解していないか?
コレは事故で・・・・その、コイツはヴァニスって言って・・・昨日からモブを使った訓練をして戦い方を教えてただけなんだ。」
俺の発言により、場が静かになったのだが・・・この静けさは嵐の前の静けさであった―――――――
「昨日からだと?ムクロ!!お前は昨日からそのヴァニスとかいうプレイヤーとイチャコラしていたのか!!!けしからん!!!」
「ふ・・・ふふふ・・・ムクロ君、久々に私・・・限界だよ!!!」
「う、うわぁ・・・久々にユリハがガチギレだよ・・・・ムクロッち・・・他の女の子に手を出しちゃったことを認めた方がこれ以上犠牲は出ないと思うけど!?」
「それは無理な相談ね、だって私もガチギレなんだから・・・・」
「言い残した言葉はない?ムクロの脳天に私の銃が突き刺さる前に懺悔してよ。
じゃないと、マジで脳天撃っちゃうから♪」
「え、えっと・・・これは私も戦わないといけないの?
私、ムクロが悪いことした風には見えないんだけど?ね~ね~ムクロ~わたしどうしたらいいの?」
「ファムよ、主殿に不満がない私たちにはどうしようもないのじゃ・・・・これからの状況をただ見守るしかないのじゃ・・・・」
「ちょ、ちょっと・・・ムクロ!?どうなってんのよ!?
皆良い人って聞いてたけど・・・ヤバイ人の間違いじゃないの!?
ゲームでもなんでもそうだけど・・・遊ぶ人は考えて付き合った方がいいと思うわよ!?」
「ヴァニス、これ以上火に油を注ぐのは止めてくれ・・・・って・・・おわッ!?
や、やめろ・・・・エリ、クーリア・・・スペル禁止だ!!!」
俺はヴァニスやジャカルゥに攻撃が当たらない場所に移動すると・・・ユリハ達も逃がすまいと俺を囲んでいた。
「その・・・何も言ってなかったのは本当に悪かった。
ただ、言っても心配すると思って言えなかったんだ・・・・今日も伝えようとしたけど・・・怖くて、言えなかったんだ。」
「でもね、ムクロ君・・・この今の怒りはここでぶつけておかないと発散しようがないの・・・だから、消えたくなかったら戦って勝利して証明して見せてよ!!」
「そうそう、私たちの決着の付け方はいつだってこうだったしね!!!
ムクロッちいっくよ!!!私たちの5人対ムクロのバトルだよ!!!!」
「勝敗は見えてるけど、せいぜい頑張りなさい・・・
―――――――――ファイヤーボール♪」
「コトハ・・・容赦ないわね・・・・
そう言う事よ、私たちのコンボはムクロに見切れるかしら?
―――――――――ファイヤーーーーー!!!」
「私も今回ばかりはムクロを叱らなければなるまい・・・・
やはり、1名はムクロの側に監視を置くべきだったと私は後悔している・・・だが過ぎた事を悩んでも仕方ない、だが・・・許すこともできんッ!
―――――――――――行くぞッ!!ムクロ!!!」
「あ~もう・・・最終的には乱戦か!!!
――――――良いぜ、初めてのパターンだが・・・ユリハ達の怒りも悲しみも全部俺に飛ばしてこい!!!!
――――――――俺が勝っても泣いてくれるなよ!!!!!
―――――――――クイックシフト!!!!!!!」
こうして、怒りの悲しみを爆発させたユリハ達との熾烈な攻防戦が始まった・・・・・・そして、その行方をファムやユキシロ・・・ヴァニスははただ見ていることしかできなかった―――――――――
―――――――――――――始まりの都:付近
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