第135話 3回戦の勝者

――――――――コロシアム:ユキシロvsムクロ


ユキシロは俺の武器の異様さに注意しながら、ジリジリと近づこうとしていたが・・・ユキシロが行動する前に俺は強化した剣で距離の離れたユキシロに対して斬撃を放つと、黒い影が波ようにユキシロを襲った――――――


「なんじゃ、なんじゃ!?あの黒いのは!?」

「よく避けたな、それじゃ・・・じゃんじゃんもらうぜ!!!」

ユキシロは俺に対して、ヤル気を出させてしまった事を少し後悔しながら一直線に駆け抜け、俺に向かって突撃して来た――――――――


「そう来ると思ってたぜ!!!ハァッ!!!!

――――――シャドーブレイブダンス!!!」

「ぬぁぬぬぬ!!!ぐはッ・・・ぐッ・・・捌き切れぬッ!!?」

ユキシロは黒い衝撃の連続した波を、取り出したダガ―で弾いていると・・・ミシミシと武器に嫌な音が伝わり・・・ついには剣とダガ―が噛み合う位置にまで俺が達すると・・・最後の一撃とばかりに渾身の一撃を叩き込むと、ユキシロの両手に握りしめられたダガ―が砕け落ちた。


「ぐ・・・くぅ・・・武器を砕かれるとはのぅ――――

だが、アタイの武器は拳じゃぞ!!

さぁ、仕切り直しじゃぞ・・・主殿!!!」

「それでこそ、ユキシロだ!!!だが、これで終わりにしよう!!!!

――――――黒ノ壱突くろのひとつき!!」

後ろに身を引いたユキシロに目掛け、俺は突きの構えをしつつスキルを使用し・・・・黒い一撃がユキシロを狙い穿ち貫いた――――――


「がはッ・・・・ハハハ・・・なんじゃ、もう終わりなのかのぉ~

やっぱり―――――主殿は強いのじゃ・・・・ハハ。」

避ける事をせず、真っ向から受け止めようとしたユキシロの体を抉り・・・ユキシロの体力バーが消滅し、ユキシロが倒れそうになった瞬間。


「よっと、大丈夫か?

ホラ、俺も結構無茶したけど・・・ユキシロも俺と同じくらい無茶し過ぎだ。」

「うぅ~~アタイは嬉しいのか悔しいのか分からないのじゃが・・・・

――――――――これだけは言えるのじゃ。

アタイの主殿は、目の前の主殿だけなのじゃ!!!!」

「試合終了!!!!勝者はムクロォ!!!!

いやぁ~本当にすごい戦いだったよ~2人ともォ!!

――――――――で、いつまでくっ付いている気だい?」

ゾーンの声にも全く動じず、離れようとしないユキシロから俺が離れると・・・ユキシロが寂しそうな目で俺を見ていた―――――


「それにしても今回の戦いでムクロの強さがよ~くわかったよ!!

そして、先程まで戦っていた2人が言っていたムクロを目標にしたくなるのもわかる・・・・でも、この強さはマジだね・・・と、言うわけで・・・勝者のインタビューから言ってみようか!!!」

「ん~特に言う事もないんだが・・・そうだな、んじゃ――――――

俺はこの選抜戦ですると言っておく。」

俺の一言に会場に歓声が立つ中、ブーイングも少し混ざっていた。


「ほほぉ~こりゃまた大きく出たね!!

全勝、つまり・・・先程の2名も他の参加プレイヤーも全て倒し、上位リーグ入りをするという事だね!!

いやぁ~この先がますます楽しみになってきた!!うんうん。

さて、お次は負けてしまったユキシロわんわん・・・ご感想をどうぞ!!」

「アタイはまだまだ修行不足だったのじゃ・・・・

イヤ、コレはもはや修行も何もアタイは主殿に骨抜き状態なのじゃ~♪

これ程までに強い主殿なのじゃ~狼のアタイなんてイチコロなのじゃ~」

ユキシロがくねくねしながら語ると、観客席の男性プレイヤーが悲痛な叫びを飛ばしていた。


―――――――チクショーーーーなんてうらやま野郎だムクロ!!!

――――――俺もあんなケモノ娘とわんわんしたいぜ~~~~

―――――――ムクロは一体あとどれだけ女を引き連れてやがんだよ!!!

―――――――でも、強い男って私も好きになっちゃうかも~~

――――――――だよね~~~弱い男よりも強い殿方だよね~


「ご主人様達・・・いい戦いでしたがやはりと言うべきかご主人様が勝ちましたが・・・・ユキシロもそこそこに頑張ったので少しくらい・・・褒めてあげないといけませんね。」

「フフ、そうだね・・・2人とも凄い戦いだったね。

私も、もっと頑張らなくっちゃ。」

「ユリハって本当に頑張り屋よね。」

「それを言うならアヤカも頑張り屋だと私は思うけどなぁ~

自分で弾?を作って・・・そして、また考えて・・・グロリアにいる皆はすごいなぁ~」

そして、ユキシロは俺に抱きつくと・・・それを見逃さなかったゾーンがニヤリと笑いながらさらに俺に絡みにきた。


「んでさぁ~ユキシロとムクロってどういう関係なワケ?

てか・・・ユリハとアヤカもどう言う関係なワケなワケ?」

「いや、それは少し言い難いんだが・・・ノーコメントってでき―――――」

「おりょ!その話しを待っていたのじゃ!!

カメラが注目している今、言ってやるのじゃ!!

アタイは主殿が大好きなのじゃ~~~

それに、初戦に戦っていたユリハも主殿の事が大好きなのじゃ~

アヤカは主殿と秘密があるらしいのじゃがくわしくは知らないのじゃ。」

「キャーーーーー!!ちょっと!!誰かユキシロを止めて!?」

「秘密な関係・・・ま、まぁ・・間違っていはいないけど―――――」

「こう言う時のアヤカって凄い冷静だよね・・・・

それに、ユリハは凄く対応が可愛い――――クスクス。」

「ファム、笑っている場合ではありません。

何とかしなければアナタの事も話してしまう可能性がありますよ?」

レイの冷静な対応に、ファムは天使の事を話されるとマズイと言う事を思いだすと・・・変な汗をかき始めていた―――――


「ほうほう、色々と情報を得た所で・・・第4回戦の用意があるから後の事はムクロ達で処理してねぇ~厄介事は簡便だから。

それじゃ、2人ともいい戦いだった・・・ありがとう!!!」

ゾーンは何やら視線を感じたのか、ユキシロと俺をポータルでぱぱっと帰すと・・・フィールドの調整に入り、俺達はユリハ達のいる席に戻ると・・・・


「ううぅ、恥ずかしくて表に出られないよ~

あ・・・2人ともお疲れ様、いい戦いだったよ・・・うぅ――――」

「ユリハ、どうしたんだ?

あぁ・・・さっきユキシロがペラペラ話してたアレの事を気にしているのか?」

「左様でございます・・・大したことではないと思うのですが。」

「ん~そうだね・・・でも、きっと大丈夫だよ。

ムクロがちゃんとユリハをフォローして上げないとね。」

「そ、その・・・ユリハ、アタイ・・・また変な事したかのぉ―――――

2人が仲が良かったから・・その、ついつい・・・迷惑をかけたのならば謝る、ごめんなのじゃ。」

ユキシロが悲しそうな顔で謝ると、それを見たユリハが慌ててユキシロの所へ向かい・・・・


「うぅん!!大丈夫だよ!ユキシロが謝る事はないから。

だって、私達の関係をそのまま言っただけなんだから―――――

うん、でも・・・こう言った話しを尋ねられても私の隣は空いていないって言うから大丈夫だよ。

だって、ユキシロの言った通り私にとって本当に大切な人は隣にいるムクロ君なんだから。

だから、ユキシロ・・・そんな顔しないで、ね?」

「―――――うむ、ユリハがそう言ってくれてホっとしているのじゃ。

でな、さっき主殿と戦ってきたのじゃが・・・本当に主殿は――――――」

「フフ、ユリハっていい人だね。

NPCもプレイヤーにも関係なく気が使えて、自分の意見もはっきり言う本当にいい人。」

「あぁ、俺の自慢の彼女だからな――――――」

「ですが、情報の公開は考えて行わなければいけないのは事実です。

悪用されると面倒ですので。」

「そうだね、ゲームと言っても仮想の世界・・・ログアウトすれば情報が簡単に作用する現実だからね。

気をつけて発言しないと大変だよ、現実だと特にね。」

アヤカがしみじみとレイ達に答えていると、ユキシロに呼ばれ・・・アヤカはユリハ達の所へと向かい・・・3人は俺との戦いの対策をワイワイと話しこんでいた。


―――――――――――コロシアム・・・・・

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