第126話 じゃんけんの末路

――――――――プライベートホーム


俺の案に追加要素を加えたのはいいモノの・・・誰が役をするかを決める事になったのだが・・・・・


「ここは女子力の高いユリハが・・・・なんちゃって―――――」

「ダ、ダメダメダメ!!!スライムの囮なんて・・・・ミスをすればどんな目にあうやら・・・・」

「あと、この街に出現したスライムの配置を考えると・・・・4か所に分割して配置されていることから最低4人は囮役にならないといけないわ。」

「それならアタイが囮役になるのじゃ!!

皆が急に黙り込んで言い出しにくかったのじゃが・・・・アタイはこういう鬼ごっこは大好きなのじゃ!!!」

「よし、まずは1人決まったな・・・残るは3人だが・・・・・」

「それでしたら私もご主人様の役に立てるのであれば全力でスライムの囮になりましょう。」

「こうやって受け入れてくれた感謝もしたいし私も手伝おうかな!―――――衣装を溶かされるのは嫌だけど・・・・この鎧があるから多少溶かされても平気だし。」

こうして自ら名乗り出て囮役を請け負ったのだが・・・・残りの1人がどうしても決まらず・・・・・


「どうでしょう・・・ここは1つ皆でじゃんけんで決めると言うのは?」

「それは構わないが・・・・少し不安だな。」

「じゃんけんかぁ・・・・私、じゃんけん弱いからどうしよ―――――」

「きっと私なら勝てる勝てる・・・・うん、大丈夫・・・・大学生のまだ使っていない運をここで・・・・・」

「アヤカがよくわからない事を言い始めたからさっさと始めよう・・・・って――――俺も?」

エリは俺をツンツンと突き、じゃんけんには全員が参加すると言う事の内容に俺も含まれている事を知ると何やら不安な気持ちを抱えながら全員は腕を伸ばしじゃんけんが始まった。


「じゃんけん、ポンッ!!!!」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「こうなるとは・・・・・な・・・・・・」

「何故、俺なんだ――――――」

じゃんけんの結果、何故か俺以外皆はパーを出し即、俺は囮メンバーに加えられたのだが・・・・・・


「まてまてまて、俺はだぞ?

スライムはを狙うんじゃなくてプレイヤーを狙うんだろ?

それなら俺では無理だろ――――――」

「そうね、だから・・・・ユリハ、例の作業に取り掛かって頂戴。」

「ムクロ君・・・衣装室に来て・・・少し作業するから―――――」

俺はユリハに衣装室に連れて行かれると・・・・化粧にウィッグを付けられ・・・・着替え用の衣装を渡され、着替えてユリハと皆の前に現れると――――――


「―――――え?・・・・む、ムクロっち・・・・なの?」

「主殿、べっぴんなのじゃ~~」

「まさか、ムクロがこんなにも可愛くなっちゃうなんて・・・私もビックリだよ。」

「ふむ、ムクロは女性の変装も可能と言う事か・・・・潜入作戦に使えそうだな。

(それにしても可愛いじゃないか!!)」

「ミスト、少しよだれが出ていますよ?大丈夫ですか?

それにしても見違えたわね・・・素体が良かったのか凄くいい出来よユリハ。」

「えへへ、ムクロ君のアバターはパーツが整っていたからすぐに可愛くコーデできちゃったよ・・・・それにしても本当にムクロ君・・・ムクロ可愛い。」

「ユリハ、ちゃんはやめてくれ・・・・それで、俺が女性の恰好をしてスライムが引っ掛かるのかだが・・・・大丈夫なのか?」

「はい、その辺は抜かりなくリサーチ済みですのでご安心を・・・・

ここまで完成度の高い可愛らしいご主人様は誰がどう見ても女性プレイヤーにしか見えないです・・・・記念に一枚・・・」

レイは俺の横に立つと、ピースサインをしながらスクショを行うと・・・ユリハや皆がずいずいと近寄り・・・記念撮影大会になっていた――――――


「はぁ~満足満足・・・で、エリ・・・・作戦はいつやるの?」

「作戦は早い方が良いと言う事だから今から準備をするわよ・・・まずはスライムからプレイヤーだと分からないようにするために、このローブを被って街の中心である噴水のある広場まで移動・・・そこから囮役がローブを脱ぎ4方向に移動し・・・・できる限り全てのスライムを集めて中心に戻り、スライムを確認次第・・・私とクーリアがスライム全てを凍らせ・・・皆で攻撃すれば完了と言う流れです。」

エリの説明に皆はローブを着込むと、街の中心である噴水のある広場まで移動すると・・・・


「ここからは俺達、囮役の出番だな・・・少し恥ずかしが負けたモノは仕方ない・・・・ただスライムを一匹でも多く連れてくるだけだ。」

「そうそう、ムクロっちはその綺麗なメイド服を台無しにしないように頑張ってスライムを引き連れて来てね~」

「私たちはここで待機してるから・・・皆、何かあれば連絡してね。」

「それじゃ、そろそろアタイ達・・・囮メイド部隊の初陣なのじゃ!!!」

囮部隊はローブを脱ぐと・・・メイド姿となって街の4方向に散って行った――――――


「さて、まずはぐるりと回ってスライムを探す訳だが・・・・メイド服って言うよりも・・・スカートはやっぱりスースーするな――――――」


――――――――PIPIPPPPPP!!!!!

―――――――PIPPPPPPP!!!!

―――――――――――PIPPPPPP!!!!


「お、いきなり釣れたッ!?って・・・・・おいッ!?コイツら食いつき良すぎじゃないか!?」

俺は今日、街で見てきたスライム達は動きが遅いモブだと思い込んでいると・・・・・

俺に対しての食い付きがすごく・・・予想をはるかに超える速度で迫って来ていた。


「ぬ~んぬ~ん・・・・この辺はあまりスライムの匂いはしないのじゃ~~

くんくんくんくん・・・・・およ?

この地鳴り・・・・後ろから―――――――んん?

あれは―――――主殿!?って・・・・何なのじゃあの群れは!!!」

「ユキシロ、走れ!!!あのスライム俺を見てから異常な早さになってるんだ・・・・

だから、振り返らずに前だけ見て走るんだ!!!」

俺はいつの間にかユキシロの分のスライムも引き連れながら、ユキシロと合流すると・・・・さらに3つ目のポイントに差し掛かろうとしていた・・・・・・


「辺りを見てもスライムの影や気配が無い・・・・一体どこに隠れて――――――

そこッ!!!」

レイはメイド服に仕込んでいたナイフを投げると・・・スライムに命中し、消滅した。


「壁から染み出すように現われるスライムとは・・・・厄介ですね―――――

さて、これからどちらに向かえば・・・・・」

レイは辺りをきょろきょろしながら人気ひとけのある商店街方面へと向かうと、イベントでか静まり返っていつもの賑やかな光景が嘘のようであった。


「ん?今・・・何か聞こえたような・・・・・・」

「レイ、走れ!!!!」

「レイレイ、走らないとスライムの餌食になるぞい!!!!!

えっほえっほ―――――」


――――――――――PIPIPPPPPP!!!!!!


「これは―――――凄い大量ですね・・・・それでは私もご主人様と合流致します・・・・こちらはスライム討伐数1、他のスライムの確認はできておりません。

どうしてなのかはご主人様の後方を付け狙う、あの大量のスライムを見るに・・・この辺りから消えていた分もあの中に含まれていると推測します―――――状況も頃合いですのでこのまま第4ポイントまで移動し、全てのスライムを根こそぎ引き連れて行きましょう。」

レイと合流して俺達は最後の第4ポイントを目指し・・・さらに大量のスライムを引き連れながら移動していた――――――


―――――――――スライム囮作戦

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