第83話 ユキシロの記憶
―――――――――――16時47分ブリザードケイブ・・・ユキシロの寝床
ユキシロに連れられ、ユキシロの寝床に到着したのだが・・・・流石はケモノ・・・綺麗な家に住んでいるはずもなく、廃墟ホテルの一室を住処にしているようであった。
「ほれ、主殿・・・着いたぞ!
ここがアタイのねぐらだ・・・・適当に腰掛けておくれ―――――」
「ここが、ユキシロの寝床か・・・・まぁここじゃ良い方なんだろうな。
お言葉に甘えて座らせてもらうとするか。」
「ご主人様、私はこの辺りの地形マッピングをしてきますので少々この場から離れてもよろしいでしょうか?
メイドたるものご主人様から一時も離れず行動するモノですが今回はケースがケース・・・・・と、言う事でお許しを願いたいです。」
俺はレイの提案を聞き入れると、レイは頭をペコリと下げ・・・部屋から出ていった――――
「行ってしもうたの~やっと落ち着いて話ができると思った矢先に・・・・
して、疑問に思ったのだが・・・・主殿に対してあのフリフリヒラヒラのレイレイとどういう関係じゃ?
ご主人様と言う事は・・・奴隷か何かか?」
「レイレイ?あぁレイの事か、それに奴隷って・・・レイは俺の仲間だよ・・・訳あってレイはメイドになって俺に尽くしてくれているんだ・・・・本当に頼もしい仲間の1人だよ・・・」
俺はボソボソと呟く様にユキシロに答えると、ユキシロは俺の横にコロンと寝転がった。
「そうか・・・・主殿とレイは見えない絆で結ばれてるのがよ~分かった。
それじゃ、レイレイが帰ってくるまでどうしよかぁ~」
「そうだな・・・それじゃ・・・ユキシロがここに来るまで何をしてたのか話してくれないか?
元モブの時の貴重な体験談を聞かせて欲しい。」
俺はユキシロの頭を撫でながら、気になったふわふわな尻尾に触ると・・・・・
「ひゅおわぁッ!!!急に敏感な尻尾に触るなぁ!!!
主殿じゃなかったら噛み殺す所じゃぞ!?
それに・・・アタイの体験談・・・・ある事はあるが・・・面白く愉快な話じゃないが?」
「悪い悪い・・・触り心地が良さそうだったからつい・・・今度触る時は声をかけるよ・・・
その話は・・・ユキシロが話したくなかった話さなくても良いんだ―――――
無理に聞かないのがプレイのマナーだからな。」
お詫びと言うわけではないがユキシロの頭を優しく撫でると、先程までお怒りモードだったユキシロが冷静になり、仕方ないと言いながらユキシロの思い出を語り始めた―――――
「それはずっとずっと前の事・・・アタイは一匹で雪原を駆け廻り・・・プレイヤーなのかNPCなのか分からないまま・・・人を殺しに殺し、
すると、誰かが吹雪く雪原の中・・・罠を仕掛けた連中の1人なのか・・・・その誰かが近づいて来た。」
――――――――仕掛けはどう・・・・ん?何かが・・・・いる?
「よう、小娘・・・これを仕掛けたの貴様か?」
―――――――うわぁッ喋った!?それにその足・・・
「そりゃ~アレだけ人を殺ればこの体も進化するってもんだ・・・・それにこの罠を仕掛けハメたのはお前たちだろう?」
――――――わ、私は・・・食べる食肉用の野兎を捕まえるために仕掛けただけで・・・
「愚かで馬鹿な小娘だ・・・こんな虎ばさみで野兎が捕まるわけがなかろう・・・・・
これは、どう考えてもアタイや害獣クラスを捕縛するモノだと気付かなかったのか?」
――――――!?・・・だって、狩人さんにこれで野兎が簡単に捕まるからって・・・・言って。
―――――そうだとも!!そのクソな狼を殺すためにお前を使って仕掛けさせたんだよ!!!どうもありがとな、嬢ちゃん!!これで俺たちは大金と名声と全てを手に入れる!!!
―――――ひゃはははは今日は最高の日だな!!!
――――――これで大金持ちだ!!
―――――ほら、嬢ちゃん・・・怪我しないうちにお家に帰って寝てな!
――――――これで女とやりたい放題だぜ!!
「こんな人以下いや・・・ゴミ以下の外道共は今まで見た事が無い・・・・・」
―――――良く吠えるじゃねぇの・・・・おらッ!!!おらッ!!!
―――――やめてッ!!やめてッ!!その狼は悪いことをしたかもしれないけど・・・今のあなた達ほど腐ってもいないわッ!!!
―――――この・・・邪魔すんじゃねぇ!!!
――――――かはっ!!!くっ・・・・あなた達の好きな様にはさせない!!!
名も知らぬ少女は血が出た口元を拭うと・・・・狩人の腰にぶら下がったカギを引き千切り・・・・とっさに狼の足に食い込んだ罠を解錠した――――――
「小娘・・・・お前さんのおかげでアタイは自由の身だ・・・さらばだ―――――」
――――――くそッ!!!このクソガキがぁッ!!!!チクショー賞金がに逃げちまったじゃねぇか!!!!
――――――かはっ・・・あなたは気にせず逃げて・・・あなたは何も悪くない・・・・
――――――このッ!!!
狩人の仲間の1人は怒りに身を任せ、少女を剣で切りつけると・・・少女は雪の絨毯を赤く染め上げ動かなくなっていた―――――
―――――その頃逃げた狼は・・・・
「愚かな娘だ・・・・アタイを置いて村に返っていればいつもの日常が待っていたのに・・・・
だが、アタイは何故逃げている・・・・これでいつもの日々に戻るのか?戻れるのか?
―――――――
―――――
―――
―――――――――否ッ!!!ここまで不愉快な気持ちは初めてだ!!!
アタイの恩を売ったんだ・・・その身をもって恩を受け取るが良い!!!」
狼は逃げてきた道を全力で引き返すと・・・そこには真っ赤に染め上がり・・・乱暴された少女の姿があった―――――
「愚かな小娘だ・・・・命まで奪われるとは・・・・・
だが、安心しろ・・・お前の無念は、怒りは・・・・アタイの全身全霊をもって復習と言う形で成就させてやろう!!!!!!」
狼は大きく少女に対し慟哭し・・・匂いを辿り、狩人たちの後姿を捉え・・・・その内の最後尾にいた1人の足に噛みつき・・・茂みの中に引きずり込み腕や体をバキバキ酷い音を立てながら噛み砕きトドメを指すと光の粒となって消え去り、仲間がいなくなった事に気付くと2名が消えた仲間を探しに茂みに来た所を襲い・・・残るはポツンと仲間の帰りを待つ2名だけとなった―――――――
―――――くそっ・・・どうなってやがる・・・・・
―――――おい、アレ・・・・さっき逃げた・・・狼じゃ・・・・
狩人の仲間が怯えながら見たモノは・・・仲間が首に付けていたネックレスを狼の口にぶら下がっており、狼はそのネックレスを捨てると・・・ネックレスが消滅し狩人たちは3人の仲間がこの狼1匹にやられた事を悟ると剣を抜き耐性を整えた―――――
――――――まさか、
―――――――う、うおあぁぁぁぁぁ!!!!
仲間を先行させると、狩人は反対方向に全力で逃げだしていた・・・・
――――――お前の命一つで俺が助かるならお前の命くらいその狼にくれてやらぁ!!!
―――――――裏切ったなッ!!!う・・うぁ・・・ぎゃぁぁあぁぁぁぁ!!!
剣を抜きこちらに向かって来た狩人の仲間の1人は悲愴な顔で剣を振るがかすりもせず・・・狼の返り討ちに合い・・・牙の前に儚く雪のように散っていった――――――
――――――ここまでくりゃ・・・・大丈夫だろ・・・・・・・なッ!?ウソだろ!?
「アタイはここを知り尽くし、お前たち以上に狩りを極めている・・・獣道も全て把握済み・・・だが、お前のような何もかもが腐ったゲスのような匂いを放つ外道は何も無くても探しだせる・・・・」
――――――ひっ!?ひえぇぇぇぇぇぇ・・・お助け下さいませ!!何でもします!何でも言うとおりにしますので!!!命だけは・・・・」
「そうか、いい心がけだ――――――」
――――――じゃ・・・じゃあ、お命は・・・・・
「――――――――それはダメだッ!!!」
狼の発した言葉を聞き終える前に狩人の首と胴体は分割され瞬く間に消滅した―――――
そして、狼は少女のいた場所に戻るとそこには何もなく、ただ轟々と吹雪が吹き始め・・・休む所を探しながら今までに感じ得なかったこの感情は何なのか・・・答えを求めていると―――――
―――――――それは、悲しみという感情だよ・・・・
「小娘・・・なのか?お前は死んだはず・・・・」
―――――そう、私は死んだ・・・でも狼のアナタはまだ生きてる・・・だからその悲しみを糧にして、次に会う誰かを信じてあげて・・・・・それが最後の私の願い・・・
「そうか、それが
狼は最後の最後に知りたかった答えを知り吹雪の中・・・体に力が入らなくなり意識を失い・・・・再び目を覚ますと・・・・目の前の世界は先程まで吹雪いていた世界とは違い、人の存在は無く・・・同じ類のモブのいる建造物の溢れる所であった―――――――
「と、まぁ・・・これがアタイのここまで来た理由と経緯と体験した話だ・・・・・
どうだ主殿・・・笑えぬくらい滑稽な話だろう?」
「そんなことない、ユキシロはきっと俺と出会うためにこの
「あ、主殿は口説きが上手いのぅ~アタイ・・・本気になってもいいのかのぅ?」
ユキシロは俺に頭をこすりつけながら尻尾をパタパタと振りながら喜んでいるようであった。
「ユキシロ・・・・一体どういう――――――」
「アタイのユニークスキル特別に見せてやろうぞ!
――――――
ユキシロがユニークスキルを使用するとボンッと煙が上がり・・・その中から全裸の獣人の女性が現れ、俺にギュッと抱きついてきた―――――――
――――――――17時12分ブリザードケイブ・・・ユキシロの寝床
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