第82話 新たな仲間?

―――――――――16時30分・・・ブリザードケイブ入口


洞窟を道なりに進むと、人の手が加えられた痕跡のある階段があり・・・・その階段は下へ下へと続いていた―――――――

その階段を歩いて行くとそこには街がそこにはあった。


「ご主人様・・・これは街でしょうか?

街にしては静かで・・・それに・・・凍てついていませんか?」

「そうだな・・・見た感じは街だが・・・この様子だと破棄されたか作り掛けの街の構造データがそのままこの洞窟の地下に残っていた・・・と考えるのが妥当だろうな。」

俺達は不自然で静かな街を探索する前に、ユリハ達に現在地のポイントをマッピングした地図を添付して送ると謎の街探索を開始した―――――――


「ご主人様、どう思われますか?

この街は機能していませんが私達の街に近い外観をしています――――

それにNPCやナビがいない事から街と判断するより廃街はいがいと言うべきでしょうか・・・」

「廃街か・・・でもNPCやナビがいない代わりにらがいるけどな―――――」


―――――――GRRRRRRRRRRR・・・・・


街を探索していると街のとある一角で休んでいたスノウファングがこちらに気付き威嚇するように唸りをあげていた。


「ご主人様、どうしますか?

攻撃を仕掛けてこない所から見ますと、あのワンコからは戦う意思を感じませんが・・・・」

「あれはスノウファングだな・・・でもって俺達が縄張りに侵入したから怒ってるんだ。

――――――でも、こういう時は・・・・ほらよっと!」

俺はアイテムカーソルから食料のパンを出しオオカミの入る方向に投げ与えると・・・・


――――――――GRRRRRRR・・・・!!!!


スノウファングはお腹が減っていたのかパンに警戒する事無くむしゃむしゃと食べ始めた。


「あのワンコは相当お腹が減っていたのでしょう・・・・この雪原地域では食料を確保するのは大変なのでしょうね。」

「かもしれないな・・・・さて、警戒も解けた事だし・・・・先の大きな建物を目指して移動再開だ!」

俺達は先に見える巨大な建物を目指し歩いていたのだが―――――


――――――――・・・・・・・・


「あの~ご主人様・・・私達の後ろに先程のワンコが付いて来ているように思えるのですが。

私の身間違いでしょうか?」

「そうか・・・珍しい事もあるもんだな。

一般の食料アイテムで餌付けできる確率は相当低いはずなのにな・・・・

レイ、これはな・・・あまり知られていないシステムなんだが。

モブに対してさっきのように食料系のアイテムを与えるとたまにこうやって懐く時があるんだ・・・・・つまり、ペットにできるというわけだ――――――」

俺は後ろの方に座ってハッハッと息を吐くスノウファングの頭を撫でてやると、気持ち良かったのかすごく喜んでいた。


「あの、ご主人様・・・私も撫でてもよろしいでしょうか?」

「そりゃ、もちろん!ほらこうやって撫でてやると喜ぶらしい。」

スノウファングの撫で方のコツをレイに教えると、レイは恐る恐る手を伸ばし・・・スノウファングの頭を撫でるとスノウファングも機嫌が良さそうだった。


「このワンコ、もふもふですね。

でも、他の仲間たちはいないのでしょうか?」

「この種のオオカミは群をなさないからコイツ1匹なんだろうな。

―――――――よしよし・・・・

で、どうする?このスノウファングを家で飼ってみるか?

きっと良い仲間になると思うんだが・・・どうだ?」

「そうですね、でも私には決定権がありません・・・・

ですからご主人様の意思に従います。」

レイはそう言いながらスノウファングの頭を撫でていた。


「よし、レイにも懐いているし・・・このスノウファングを飼おう!

まずは名前だな・・・・レイがこのスノウファングに名前を付けてあげてくれないか?

俺には名前を付けるセンスが無いから―――――」

「本当ですか!良かったですね・・・。」

スノウファングの名前は既に決まっており名前はシロとステータスにも表記されていたのだが、1つ追加しておくとシロの毛並みは白色と言うよりは青みがかかった毛並みでレイの名前を付けるセンスもそこそこでしかなかったと感じた事は口に出せなかった――――――


「それじゃ、シロ・・・これからよろしく頼むぞ!」

「ご主人様や私の声を認識したのでしょうか?・・・・シロが返事を―――――」

「そりゃ~ここまで生きてると話もできるようになるよ~」

「「!?」」

俺とレイは驚きながら顔を見合わせ、シロを見るとシロはテレパシーのようなスキルでも持っているのか・・・俺達の脳内に直接語りかけてきているようであった。


「悪い悪い、驚かせて悪かったねぇ~アタイはスノウファングの・・・主殿あるじどのたちが名付けてくれたシロ・・・実名をユキと申す・・・」

「びっくりした・・・今までこんな体験したことなかったからな・・・・

名前がユキか―――この際だし・・・ユキシロって名前の方がオシャレで良いと思うが・・・

レイとユキはどう思う?」

「私はとてもお似合いだと思います。」

「ふむ、良い名じゃな・・・主殿の頼みとあれば仕方ない・・・ホレ。」

ユキが鳴くとステータスにある名前がユキシロと名前が変わった。


「で、ユキシロには色々聞きたい事があるんだが・・・まずは――――――」

「ここが何処で何のためにこのような所があるのか?じゃろ?」

「話が早くて助かります。

ご主人様と私の2人では・・・・この街の情報をまとめるにも時間がかかるので方がいて助かりました。」

レイの発言にユキシロは大きく笑いだしコロコロと転げまわっていた――――――


「アタイはな~んも知らんよ?0ゼロではないけど知っている事だけ話すとしようかの。

未知や憶測の話は返って混乱を招くだけ・・・真実、これだけは事実と言える部分のみ話してやんよ~」

「それで、その事実って言うのは一体・・・・」

「ご主人様、それはこの状況から抜けた後にいたしましょう―――――

――――――モブ・・・エネミーです!」

レイは敵を見つけると装甲を次元の穴から出現させ・・・・そのままパンチを繰り出した。


――――――GYAGYAGYAGYA!!!!

―――――GAAAAAAAAAAAAAA!!!


「コイツは・・・アイスゴブリンに氷塊の悪魔・・・・上級層のエネミーがどうしてここに!

とか何とか言ってる暇はないな!!!ハァッ!!!

ユキシロお前は戦えるのか?」

「主殿は戦闘中でも余裕あるの~それは立派立派・・・それでこそアタイの主殿やね~

と、2人にばっかり戦わせるのは良案じゃない・・・・アタイの見せてやんよ!

呼声之剣ハウリングソード!!!」

ユキシロが急に吠えたと思うとどこからともなく刃の長い剣がユキシロの目の前に突き刺ささるとその剣を咥えてユキシロが加勢に来た。


「りゃりゃぁ!!!」

「ユキシロ・・・お前・・面白いスキル持ってるな!!!

―――――こりゃ、今後が楽しみだ!ハァッ!!!」


――――――――GYAGYAGYA・・・・・・GYA・・・・・


「ご主人様、こちらのエネミーは討伐完了しました。」

お疲れ~それで2人とも、どう?アタイの剣の切れ味はよぉ~

ほらほら、褒める時にはこう・・・あるやろ?褒め方っていうもんが!」

「2人ともお疲れ・・・・ユキシロはこうだな!!」

ユキシロは口に咥えた剣を放り捨て・・・・レイの事をレイレイと呼び、レイはまんざらでもないと言う顔をしていた――――

そして、俺はユキシロの要望に答え頭や体をワシャワシャと撫でてやるとコロコロ転がりながら喜んでいた。


「ご主人様、私も撫で撫で・・・・」

「したいのか?ほら、変わってやるよ――――」

「いえ、私にもご褒美の撫で撫でをしてください。

――――――ダメですか?」

「はいはい、良く頑張ってくれたな。」

レイは頭を撫でてもらうと良い笑顔でにまにましていた。


「主殿、この辺はまだ雑魚のテリトリーや・・・少し場所をかえてさっきの話の続きでもしようかね~・・・・・いつまで撫でまわしてるんや?」

「あ、あぁ・・・レイを見ながら夢中になってしまった!悪い悪い。」

「コホン・・・・それでは撫で撫で充電をした所で・・・落ち着いて話ができる所に移動しましょうか。」

そう言う事ならとユキシロはな場所に案内してくれるらしく・・・俺とレイはユキシロについて行くことにした――――――――


―――――――――――16時47分ブリザードケイブ・・・ユキシロの寝床

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