第81話 吹雪の中で
―――――――――16時15分・・・・荒野の安全地帯:オアシス
レイを休憩所で看病し始めてから数分が経ち・・・・荒野の太陽も傾きかけていた――――
「んん・・・・・ここは――――――」
「レイ、気が付いたか?気分はどうだ?」
レイのステータスを見ると毒や麻痺のステータスが消えており体力も自然回復で元に戻っていた。
「そうですね・・・特に問題は無いようです、先程の主モンスターは・・・どこに・・・」
「アレは俺が倒しておいたから、気にせずもう少しゆっくりしたらいい。」
「そうですか、やはりご主人様はお強いですね。
それでは・・・もう少しだけ休ませていただきます・・・・そのワガママかもしれないのですが、お水をもらえたら嬉しいです。」
「あいよ、ちょっと待ってな。」
レイは水が飲みたいらしく、俺は急いで空瓶に水を
「ほら、原水の綺麗な水だ・・・ココはオアシスで水が飲み放題なのが良い所だな。」
「ふふふ・・・そうですね、ではご主人様頂きます。」
レイはビンに入った水をごくごくと飲み干し、んん~っと言いながら背伸びをして立ち上がった―――――
「ご主人様、看病ありがとうございました。
これよりご主人様の専用メイド任務復帰です。
これからどうなされますか?」
「仲間として当然だ。
レイが元気になって良かった――――――
ん~そうだな・・・・レイも元気になった事だし・・・・もう少しだけモブでも狩るか!」
「了解しました。
それと・・・ご主人様、遠くへ移動なさるのでしたら私の装甲をお使いになられますか?
この装甲・・・実はフライト機能も備えております。」
「それ、飛べたんだな・・・・よし、モノは試しだ。
レイ、その装甲で雪原フィールドに向かってくれ。」
俺が場所の指定をすると、レイは装甲を飛行形態に変形させ俺を抱っこする形で飛行を開始した――――――――
「スゲ~~~本当に飛んでる!!
レイは本当にすごいな!!!」
「私を褒めても何も出ませんよ?
ご主人様、あと少しで雪原フィールドに到着いたします・・・・」
レイの言った通り雪原フィールドに到着したものの・・・
「レイ・・・これモブがいるとかいないとかの問題じゃないな・・・・」
「そうですね・・・・このような吹雪では狩りどころか私たちが凍りついてしまいますね。」
レイと雪原フィールドを歩きながらモブを探していると、いつの間にか俺達は吹雪に襲われ自分達以外に何かがいるかも確認できない程に
「あぁ・・・これは寒い・・・モブよりも環境の変化の方が怖いな・・・・」
「ですが、本当にこの吹雪を凌げる場所に避難しなければ私達は凍死してしまいます・・・・
あれは・・・ご主人様!あそこに見えますのは洞窟じゃないでしょうか?」
レイが指さす方向に洞窟らしきほら穴があった・・・・・
「よし、ひとまずこの吹雪が落ち着くまで避難だ。」
「了解しました。」
俺とレイは洞窟へ駆け込むと、割と洞窟は広くさらに奥へ続く道があり奥から風が吹き抜けていた―――――
「レイ、この辺りに未発見ダンジョンとか聞いたことあるか?」
「そうですね・・・私の記憶の中ではこの辺りに未発見ダンジョン等は確認されておりません。
私の情報量は姉さんと比べて軽量ですので徹底して調べるのであれば姉さんに聞くのが早いかと―――――」
俺は少し考えレイの判断に従いルミ子を呼び出し、この辺りでの情報を集めさせることにした。
「と、言うわけだルミ子・・・・寒い場所に呼び出して済まないが・・・情報収集を頼みたい。」
「変態マスターの頼みであるなら仕方ないですね。
分かりました、それでは情報を集めてきますので少々この場を離れます。
あと、レイ・・・これでも一応私達のマスター・・・・風邪をひかせるわけにもいかないので温めてあげて―――――――それじゃ・・・後ほど。」
ルミ子はレイに命令を与えると情報を集めに次元の穴に消えていった。
「あの・・・その恰好でおられますと風邪をひく可能性があります・・・・
まずはたき火を作って・・・・ご主人様・・・その・・・濡れた衣服全部を脱いでください。」
「だ、大丈夫だって・・・たき火に当ってればその内に乾いて・・・・ハックション!!!
―――――――・・・・・えっと・・・脱げばいいんだな・・・」
俺は大きなくしゃみをしてレイのジト目に逆らう事が出来ず上下の衣服をレイに渡すと、レイは大きな装甲をハンガー代わりに使いたき火で服を乾かし始めたのだが―――――
「くちゅん・・・・私も吹雪で濡れてしまっていますので・・・・ご主人様の前で失礼なのですが・・・・衣服を乾かしてもよろしいでしょうか?」
「あぁ・・・構わない―――――がッ!!!って・・・ちょっ・・・・レイ!その・・・服を脱ぐなら俺の見えていない所で脱いでくれ!!」
俺の行動にレイがハッと気付くと・・・装甲で仕切りを作ると脱いだ衣服を装甲にひっかけてぶら下げていた。
「あの、ご主人様・・・・私・・・申し訳ありませんでした――――」
「いや、レイが謝る事じゃない・・・レイは全力で対処してくれたのに・・・俺は――――
俺の方こそ悪い・・・何も出来なくってさ・・・・」
俺がそう言うと、レイが装甲の上から顔をヒョコっと出し俺の方を向いて話だした。
「そんなことありません。
ご主人様は私をあの主モンスターから助けて下さいました。
助けられているのはこっちで、ご主人様はとっても頼りになるお方ですよ。」
「レイにそう言ってもらえると・・・なんだか少し恥ずかしいな。
でも、俺がレイにした事は当然の事だから・・・元はと言えば俺がレイを無理矢理モブ狩りに誘ったようなものだったし。」
「それでも、私は最後に自分の意思でご主人様について行く事を決めたので・・・・
ご主人様は何も罪悪感を考えなくて良いのですよ。
だって私はご主人様の戦えるメイドなのですから!」
レイの発言に俺は笑いが込み上げ、我慢し切れずに大笑いをしてしまった―――――
「やっと、ご主人様が笑ってくれて私も嬉しいです。」
「ありがとな、レイ・・・・でも、それにしたってすごい吹雪だよな―――――」
俺が外の吹雪の様子を見ていると背中に生温かい感触と甘い匂いがしたと思うと・・・そこには下着姿のレイが俺の背中に抱きついていた。
「あの、この前読んだ情報によると・・・肌と肌を密着させた方が温まりやすいと書いてあったので実践したのですが・・・どうでしょうか?」
「―――――えっと・・・・その・・・暖かいけど・・・色々と何かが当っているような・・・・気のせいか?」
「はい、気のせいですよ・・・ご主人様・・・・私の方はご主人様の背中を抱いているだけで心も体もポカポカして気持ちいいです―――――」
レイは俺の背中に体を密着させながら、甘い吐息を吐きべったりとくっ付いていた。
「コホンッ・・・・その・・・変態マスターとダメイドがイチャイチャする前にお伝えしたい情報が揃ったので報告に来たのだけれど・・・・まずは2人とも乾き切った衣服に着替えてもらってもいいかしら?」
ルミ子は少し半ギレで俺たちに服を着ろと言うと、レイと俺は服を着て再びルミ子の前に集まると――――――
「レイもレイだけど変態マスターは本当の本当に変態マスターですね。
ユリハと言うモノがありながら・・・・コレはどうして上げようかしら?
変態マスターどうして欲しい?ん?」
「この事はユリハにもその他の者にも内密に・・・・」
「姉さん、これは私が勝手にした事で・・・・ご主人様は何も悪く―――――」
「レイ・・・・いつから私に意見できるようになったのかしら?
はぁ~これもそれも全部・・・・ってこの辺の話はまた別の機会に3人でゆっくりたっぷり話すとして・・・・この場所の情報をお伝えいたします。
ココは、雪原フィールドの中域にあるブリザードケイブという場所で噂ほどにしか出回っていない隠しダンジョンであり、その奥に潜むモンスターも珍種が多く謎に満ちた空間だと言う事らしいです。」
やっとルミ子が冷静になり、集めてきた情報を伝えてくれたのだが・・・・
「らしいって何だ?明確な情報じゃないってことか?」
「だから・・・そうだと言っています。
このダンジョン自体いつ現れるかも分かっていないダンジョンで・・・噂レベルの言わば都市伝説クラスの曖昧な情報でしかないモノでどこまでが真実か定かではない空想でできたダンジョンと言っても良いモノで・・・本当に存在した事に私が・・・滅多な事でもない限り驚かない私でも驚いているくらいです。」
「姉さんがそこまで言うのでしたら・・・・私達がきっちり奥まで探索して完璧な情報を姉さんに伝えれば良いんですね。」
「そうしてくれるとありがたいわ・・・・何せ噂が事実だというこの結果に対して無視して情報を得ないなんてタカラモノを次元の彼方に捨てるような愚行・・・・それにここの情報を集めてくれたら・・・さっきまで見ていた・・・・貴方達の熱い絡み合いを無かった事にしてあげても良いわよ?」
ルミ子が悪い顔をしながら交渉を持ちかけてきたが、ルミ子にある意味で心臓を握られているこの状況から無視も拒否も否定も何もできなかった。
「わかった、ルミ子が納得できるかわからないが出来るだけこのダンジョンの情報を集めてくるから・・・・さっきの交渉は覚えててくれよ?」
「人聞きの悪い・・・変態マスターとの交渉を自ら破棄する程に野蛮でもないです。
私はただ、知りえない情報を得たいだけ・・・その為に使えるモノは何だって使ってるだけです・・・・例えばこの2人の熱い絡み合いと言う映像だったとしても・・・・」
ルミ子は先程の光景を映像として残しており、ルミ子が事実を言っている事を信用して俺はレイとブリザードケイブの奥へ進み始めた―――――――――
―――――――――16時30分・・・ブリザードケイブ入口
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます