第54話 クーリアからのお返し

―――――――――――16時21分・・・・・プライベートルーム


どれくらい時間が経ったのだろうか・・・・・ミストやクーリア達はまだ買い出しをしているのか・・・・未だに帰っては来てはいなかった―――――


「ムクロ君・・・皆・・・少し遅いね・・・・」

「そうだな、クーリアやミストの事だ・・・多分クーリアに振り回されてるんだろうな。

エリは俺の行き付けのカフェがあって、そこのマスターと長話でもしてるんだろう。」

「ご主人様、お茶をお注ぎ致します。

それと、先程・・・その・・・私が作ったクッキーがあるのですが・・・その――――」

お茶を注ぎながらレイは手作りクッキーの話をしながら顔を赤くしてモジモジしていた。


「レイの手作りクッキーか、折角だから貰おうかな。」

「レイちゃん、私も貰ってもいいかな?」

「はい!すぐにご用意いたします!

少々お待ちを―――――」

レイはペコリと頭を下げるとるんるんしながら台所からできたてのクッキーをカゴに山積みにして持ってきた―――――


「す・・・すごい量だな・・・・」

「わぁ~クッキーがいっぱい!

すごく形もカワイイ!」

「ご主人様とユリハならこの量でも大丈夫だと思ったのですが・・・・」

俺たちの反応を見て、レイが盛りすぎたクッキーを見ながらシュンとしてしている姿を見ても入れず、俺は両手にクッキーを持ち・・・バクバクと食べ始めた。


「ご主人様!どんどん召し上がってください!」

「ムクロ君・・・無茶しないようにね・・・私も手伝うから・・・ぱくッ・・・

美味しい!レイちゃん、このクッキー美味しいよ!」

「―――――もしゃもしゃもしゃ・・・あぁ・・レイの作るクッキーは美味いな。

ユリハにも負けてないぞ~レイ。」

その一言にレイは喜んではいるが・・・ユリハが険しい顔をしながらム~っとこちらを睨らみつけていた。


「私だって、美味しいクッキー作れるんだからね!

もぅ・・・・パクパク―――――」

「ごめんごめん・・・そんなつもりじゃ・・・」

「ご主人様とユリハは本当に仲が良いですね。

―――――夫婦のようです。

こうやって見ていると・・・少し羨ましいです―――」

「!?な・・・ななな・・・何言ってるの!?レイちゃん!」

レイの発言に対してユリハが過敏に反応しながら顔を真っ赤にして手で顔を隠していた。


「レイには俺たちが夫婦に見えてるのか・・・

ミスト達にはどう映ってるんだろうな?」

「さ・・・さぁ・・・でも・・・私は夫婦に見られても・・・悪い気はしないけど。」

「ミストや他の方は、ご主人様とユリハとの些細なやり取りを見て・・・さぞ羨ましそうな目で見ている時がしばしばあります・・・・私もですが―――――」

レイはボソボソと何かを言ったように聞こえたが、これは聞きなおしてはいけないと思い紅茶をすすると――――


―――――玄関からミストとクーリアの声が聞こえてきた。


「みんな、たっだいまぁ~アイテムを色々と買い揃えてきたよ~」

「クーリアがちょこまか移動して消えるから探すのに手間取って時間が遅くなってしまった。

まぁ真実は・・・ムクロにお返しのプレゼントはどれが良いかと尋ねてきた時は――――ムググ」

「さぁ・・・ミスト~だまろっかぁ―――私はアイテムを買ってただけ~だよね?ミ・ス・ト?」

「あぁ・・・そうだな・・・私もそれ以上は覚えていない・・・すごくウキウキしていた事は覚えているが――――いや、何でもない・・・・」

クーリアは知られたくない事を話すミストを強引に黙らせ・・・2人はイスに腰掛けると、レイから紅茶の入ったカップを受け取った。


「あとはエリだけ・・・か・・・・・」

「そうだな、自由時間と言っても少し帰りが遅いと不安になるな。」

「エリなら・・・私、見たよ?」

「クーリア、どこでエリさんを見たの?」

「えっとねぇ―――――」

クーリアが言うには・・・エリはアクセサリーショップ前をうろちょろしてからどこかに消えてしまったらしい――――


「私が知ってる事はその程度で・・・・どうしてショップ前をうろちょろしていたのかわからないけど・・・・」

「ん~でも・・・エリさんの事だから意味のない事はしないと思うしきっと何かあるんだよ・・・きっと。」

「そうだな、不安だが・・・エリの帰りを待つしかあるまい。」

「だな、もう少しだけ待ってみるか――――で、クーリアは目当てのアイテムは買えたのか?」

俺がクーリアに収穫はあったのかと聞くとすごい汗をかき始め、俺を連れ出して寝室に向かうと―――――


「ムクロっち、ほら・・・コレ・・・・この前のアクセサリーのお返し・・・だよ。

私からのお返しなんて、グロリアが4回くらい滅んでもあるかないかわからない特別な事なんだからね!

大切に・・・してね――――ゼッタイだよ!!」

「あぁ・・・クーリアからのレアな贈り物だ、大切にするよ。」

目の前にいるクーリアはいつもの元気なクーリアではなく、すごく女の子らしい表情をしていた――――クーリアは覚悟を決めた顔でこちらに近づき、綺麗に包装された小さな箱を俺に渡すと・・・そっと俺の頬にキスをして部屋からそそくさと出て行ってしまった。

――――俺は箱の中が気になり箱の中を開けて見ると・・・その中には綺麗な指輪が二つ入っていた。

俺はその指輪をそっと、貴重アイテムボックスへしまい・・・皆のいるリビングに戻った。


「なぁ・・・クーリア・・・その―――――」

「シッーーーーー!!!話しちゃダメだから!!私が・・・恥ずかしくて死んじゃうから、言っちゃダメ!!」

「あ・・・・あぁ・・・その・・・うん、何でもない・・あはは―――」

「なんだ、ムクロにクーリア・・・部屋で何してたんだぁ~んん?

お姉さんに話していいんだぞ~おいおい。」

「気になるなぁ~私的にすごく気になるなぁ~悪いことしてないよね?

2人とも・・・・」

ユリハが俺とクーリアを交互に見ながら、奥の部屋で何があったのか・・・・すごく気になりながらじっと見つめていた―――――――


―――――――――16時55分・・・・プライベートルーム

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